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タイムリミットまであと3秒、通信指令室を奪還せよ!<完結>  作者: 黎明まりあ


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3/9

3、バディと合流

「もう来てたのか……」


 てっきり自分の方が先に到着するだろうと思っていたミナトは、見慣れた大きな背中を見て驚く。

 迎えに来てくれた車両にミナトが乗り込み、近くの大通りに出た途端(とたん)、その車両は特権であるサイレンを鳴らして、爆走してこちらに到着したからだ。


「アッ……」

「待ってたわ、ミナト!」


 さっそく大きな背中の持ち主の名前を呼ぼうとしたところ、右横から逆に自分の名前を呼ばれ、ミナトは先にそちらへと体を向ける。


「ボス……」


 上司であるカナエは、険(けわ)しい表情を崩さぬまま、通常より声を一段低くしてミナトに告げた。


「全ての防犯カメラ、扉の入退室履歴(りれき)、可能な限りの聴き取り調査等、あらゆる情報を集め解析したけど、この指令室内に部外者が侵入した痕跡(こんせき)はなかったわ」


 カナエからの情報を聞き、ミナトの眉間(みけん)に皺(しわ)が寄る。


「赤いウサギが自(みずか)ら足を運んで、爆弾を仕掛ける可能性はやっぱりないか……」

「そうね、今回もこれまでの手口みたいに、システムを勝手に改ざんして、対象物を爆発させるみたいだわ。

 だとすると、まずこの部屋の、何をターゲットとしたのかしら?」

「スクリーンだ」


 カナエの疑問にミナトが目を細めたところ、調査している一台のPC画面から目を離すことも、こちらを振り向くこともなく、深みのある耳障(みみざわ)りの良い声がミナトとカナエの耳に届いた。


「スクリーン!?」

「アソウ……そこまで解析(かいせき)できたのか!」


 爆発ターゲットの特定場所に驚いたカナエの声と、2年前から赤いウサギを一緒に追跡(ついせき)するようになり、今では自他共に相棒と呼ぶ人物名を口にしたミナトの声が重なる。

 アソウの右手はキーボード上で激しく何かを打ち込む動作を続けたまま、左腕をスッと上げ、前方の巨大スクリーンを指差した。

 その時、まるでアソウの声に呼応(こおう)するかのように、それまで管轄(かんかつ)地図を表示していたスクリーンがバチっと大きな音を立て、美少女と名高い、赤いウサギの顔をスクリーンいっぱいに映し出す。


「正解♡

 さすがマイダーリン♡」


 緊迫(きんぱく)した空気と真反対の弾(はず)んだハイトーンボイスが、アソウの回答を肯定(こうてい)した。


 相変わらず、アソウがお気に入りなんだな


 ミナトは内心ため息をつきながら、しかしスクリーンからは目を離さぬまま、カナエに尋(たず)ねる。


「ボス……残り時間は?」

「……あと30分」


 いつも気丈(きじょう)なカナエの声が、少しだけ震えたようにミナトは感じた。


「……わりぃ、時間がなくて、ボスの通常PCまで赤いウサギ対策はできなかった。

 今、ここの状況は、赤いウサギによって、全てライブ配信されている。

 だから、今後の対策を例のメールボックスに送っておいた。

 読みにくいかもしれないが、第2に着いたら、ウォッチから読んでくれ」

「わかったわ、ミナト。

 例のインカムも大丈夫よね?

 それをアソウにも装着(そうちゃく)させて、連絡はそちらで」

「イエス、ボス」


 カナエと手短に打ち合わせをして、ミナトは先に赤いウサギと対峙(たいじ)している大きな背中のもとに向かう。


「待たせたな。

 それにしてもオマエ……やっぱりウサギのオキニだな」


 ミナトがアソウの左肩にポンと右手を置くと、ビクッとアサウの体が揺(ゆ)れた。

 いつもなら何かしらの皮肉(ひにく)めいた返事がくるはずだが、アソウは前を向いたまま、沈黙(ちんもく)を保つ。

 不審(ふしん)に思ったミナトは、怪訝(けげん)な声でアソウへ呼びかけた。


「どうした?」

「……スミマセン、ヤツがオレ目当てだから、こんな場所まで」

「気にすんな!

 今回もオレが守ってやるよ!

 それに……オマエだって無傷じゃない。

 足は大丈夫か?」


 そう声をかけて、ミナトの視線がアソウの足を捉(とら)えると、無意識だろうか、アソウの左足がススッと後ろに引かれる。


「大丈夫です」


 小さく返したアソウの左肩を、ミナトがもう一度少し強く叩(たた)くと、背後からカナエの号令(ごうれい)が響き渡った。


「全員、この部屋から撤退(てったい)!」

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