第67話 再戦
ルナを拾ってから一か月程が経った。この国は広く、目的地まで半分ほどの距離しか消化できていない。
「……暑くなってきたな」
奴隷商は木漏れ日から目を守る様に手をかざす。辺りの自然は春らしく青々とし、直射日光は容赦なく突き刺さる。すると隣から差し出される見覚えのあるサングラス。
「使う?」
そう差し出してくるのはディアナ。この一か月間あまり変わりはなく、相変わらずルナに対しては警戒したように冷淡な様子。
「いや。いい。俺には似合わん」
サングラスを押し返し、前方を見れば2人並んで歩くルナとシエナ。この一か月移動のついでに剣術と魔法を教えているからか、体格が少し良くなったような気がする。
(まぁまだ一か月だしな)
そう心の中で呟く奴隷商自身、ルナに対しての関り方は未だ定まっていなかった。出来るだけ距離を置こうとはしているが、偶に見せるルナに浮かぶ面影。それのせいで決断は先伸ばされ続ける。小さな2つの背中を見ながら、かつてクラウディアが作ってくれた外套の解れを見る。
「……」
もしルナがオークランス伯爵家に受け入れられなかったら。それ以上奴隷商らが連れていく訳にいかない以上、自分の手で処理しないといけない。もし仮にその時クラウディアの見た目と声になったとしてもだ。だが、それを想像するだけで手に力が入らず震えそうになり歯噛みをする。
「……ッ」
そんな奴隷商を仕方なさそうに目を細めたディアナは、手に持ったサングラスを無理やり掛けさせてくる。
「えいっ」
奴隷商の視界が一気に薄暗くなる。真上にあった日光は眩しさが減り、その耳に掛けられた違和感を感じる。
「……なんだよ。急に」
掛けられたサングラスを外し、奴隷商は再び眩しくなった視界でディアナを捉える。すると奴隷商の手にあったサングラスを再び掛けさせようと、ディアナは手を伸ばしてくる。
「その辛気臭い顔少しでも隠してやろうってね」
そう言われて大人しくサングラスを掛けるのも癪に感じた奴隷商は、ディアナの手を掴んで抵抗する。
「いつもこういう顔なんだよ。勝手に辛気臭くするな」
そんな2人の取っ組み合い。年齢だけで見たら相応では無さすぎるその姿に、前方にいた2人が呆れた様に振り返ってくる。そしてルナは目を細め腰に手をやって言う。
「……何してるんです」
その言葉に奴隷商とディアナは一瞬固まり、その後すぐに手を引っ込め、何事も無かったように歩みを再開させる。ルナもこうやって普通に会話をするようになったが、その首にある紋はいつも不満そうに気にしている。
「何でもない。ほら夜までに次の宿場まで行くぞ」
誤魔化すように奴隷商はルナの背中を押して無理やり歩かせる。シエナも何か言いたげだったが、相変わらず奴隷商には委縮してしまうのか、大人しく引っ込める。だが今日のルナは不服と言った感じで、奴隷商に背中を押されながらも言い返してくる。
「散々私の事お荷物だなんだ言ってたくせにさ。そっちがそんな気が抜けててどうすんの」
ルナは慣れたように奴隷商へと話しかけて来る。こちらの悩みなど知らぬようなその姿。自分が今どこに連れていかれそうになっているのか、その結果どうなる可能性があるのか。それをあまり認識していないからこそなのだろう。
「良いからいけ。命令するぞ」
そう冷たく突き放してやっとルナは渋々自分の足で歩き出す。その髪はいつもより麦色の髪が多い気がして、日によってその割合は疎ら。それこそ性格も微妙に変わっているようにも感じる。
(特に今日はラウラっぽいしな)
まだ今日は話しやすい。殆ど髪色が銀の時はどんな顔をすればいいのか分からず困ってしまう。
そんな悩み事があってぼんやりと思考ができるぐらい、この所は何事も無かった。追手の影も無く、街に入っても特段怪しまれる事も無い。そんな日々が続いており、更に数日経った頃。奴隷商らは街道から外れ、藪の裏に隠れていた。
「……どこの貴族の兵だ?」
奴隷商は声を落としディアナに尋ねる。すると迷いなくその答えは耳打ちされてくる。
「ブルーノの所だな。確か子爵」
恐らく奴隷商らを探しに来ている訳では無い。何かしら戦争なり反乱なりがあったのだろうが、その情報について奴隷商らは知らない。だが農兵は見えず騎士ばかりなのを見ると、大きな戦争では無さそう。
「そこまで多くないな。せいぜい100人か」
流石にシエナもルナも騒ぐような考え無しでは無く、大人しくしてくれる為奴隷商らはやり過ごす。そして足音が聞こえなくなったのを確認すると、奴隷商は深く呼吸をして、浮かしていた腰を地面に戻す。
「一旦休むか」
奴隷商がそう言うと、外套を掴んでいたルナは緊張が抜けたように肩を落とす。
「……怖かった」
そう言った今日のルナの髪は銀色が殆どを占めている。顔立ちも幼く感じ、今日は一段とその面影を感じてしまう。それを直視しないよう奴隷商は鞄を漁ってタオルを出し声をかける。
「ほら。タオル」
ルナは少し戸惑いつつ受けとるが、そのはにかんだ口元から聞こえるのは優しい声色だった。
「ありがと」
奴隷商はその感謝に返事をすることなくその場を離れる。ルナはそれに対して寂しそうな声を上げ、手を伸ばすが奴隷商の外套を掴む事が出来ない。
「……何かしたかな?」
一々その弱々しい声が奴隷商の心をざわつかせる。髪が麦色の時の方がよっぽど会話しやすいと、つくづく思う。そしてそんな奴隷商に代って、シエナがルナの傍に立つ。
「ま……まぁ気にしないで……」
シエナもルナの様子の移り変わりには気付いているが、そこに触れることなく甲斐甲斐しく世話を続ける。そしてディアナもそこを突っつこうとはせず、視線を逸らして触れない。
「次の街どうする。あの兵もいるかもしれないけど」
遠く木々の間に消えた鎧の反射と擦れる音。それを追うように視線を送るディアナで、奴隷商も同じようにしつつ悩む。
「食料も心許ないし何よりな……」
奴隷商はシエナに視線をやる。今の所なんでも無さそうだが、この所咳を繰り返していて呼吸がしずらそう。放っておくには少々危険な容態に見えていた。そんな奴隷商の様子にため息を零しながらディアナは決断する。
「じゃあ行こうか。アンタは絶対フード外さないでよ」
その言葉に奴隷書も頷く。
「勿論」
そうして奴隷商達は次の街の扉を叩く。そこは心細い城壁があるだけで、広大な麦畑に囲まれた中規模の都市がポツンとある。近場には川も流れ水運が盛ん都市らしかった。
「はい。通って良いよ。滞在は一週間以内ね」
特に疑われる事無く奴隷商らは都市の中へと進んでいく。やはり写真も無い時代だと、似顔絵だけでは早々バレないらしい。それかそこまで衛兵が責務に対して忠実じゃない可能性も大いにあるが。そんな事を考えながら歩いていると、外套を軽く引っ張られる感覚。
「え、ねぇねぇ」
振り返ればまたルナだった。今日やけに話しかけてくるのはその髪色のせいだろう。
「なんだ」
辺りはこの街の主要な通りなせいか人通りもそれなり。シエナがルナの手を握って離さないようにしている。それを拒む事無くルナは握ったままこちらを見上げる。
「名前なんていうの?」
その問いかけに奴隷商の喉は動かない。
「……」
どういえば良いのか分からなかった。だがら逃げるように顔を伏せ無視して正面へと向き直るが、手のひらにある冷たい感覚。それに目をやれば小さな手を伸ばし並んでくるルナ。
「迷っちゃうから。いっしょに……ね?」
ルナは奴隷商とシエナ両方と手をつなぎ両腕を伸ばす。だがその手を奴隷商は振り払ってしまう。
「大丈夫だ。シエナと一緒に居ろ」
その顔と声で「いっしょ」と言って欲しくない。それはクラウディアと亮太の間の言葉で、その記憶を更新させないでほしかった。だからそっけなくするのだが、ルナは寂しそうな声で呟く。
「……やく……そく」
奴隷商の心臓が止まるような感覚。目を見開いて振り返るが、ルナ自身なぜそう言ったのか分からないのか、首を傾げるだけ。それに酷く疲れたような感覚を覚え、奴隷商は隣のシエナを見る。
「しっかりな」
「あ、えっ……はい!」
そう唐突に話しかけられ慌てるシエナを背に奴隷商らは歩き続ける。食料を買い込み一応の薬も何種類かを集めておく。こういう大き目の街じゃないと手に入らない物も多く、出費は嵩んでいく。そしてシエナの療養の為一泊ぐらいするかと、ディアナと話し合っていた頃。正面から騎士数名が見え、咄嗟に道路脇に避ける。
「流石に多いな」
それなりに大きい街とはいえ100人規模の騎士が居れば、街中にはしばしば見かけるその鎧姿。自然とディアナと奴隷商の手はナイフの柄に手が伸びる。
「フードちゃんとね」
そう言ってディアナが奴隷商の外套に触ろうとした時。ふとシエナの持っていた紙袋から芋が零れ落ち、それをルナが拾おうと前に出てしまう。
「あ、まて━━」
今ルナの姿を見られたら不味い。アリシアと外見が似過ぎている以上騒ぎが起きてしまう。だが、そんな些細な音すら目ざとく聞き取るのは、騎士達の後ろを歩いていたその老兵。それと奴隷商は目が合ってしまい、その名前を零す。
「……クロヴィス」
息が詰まり、そして目が合ったとなればあちらも気付くのは当たり前。その老体に似合わない鎧と大斧を抱え、こちらをジッと見て来る。
「ディアナ。2人を連れて逃げろ」
奴隷商はナイフを抜いてそう指示を出す。だがディアナは引く所か奴隷商の隣に並ぶ。
「ほら切り捨てれない。中途半端」
ディアナもナイフを抜いてくれる。だがそれでも奴隷商はそのナイフを鞘に納めさせないといけない。
「もしもの事があって龍化されたら困る。頼むから逃げてくれ」
ジッと奴隷商はディアナを見る。その内にもタイムリミットの様に鎧の擦れる合う足音は近づいてくる。それは聞こえるだけで10数人まで膨らみ、怒号が響く。
「ここにきて私が逃げると思ってんの?」
だがそう言われた所で巻き込む訳にいかない。所詮追われる身なのは奴隷商だけで、ディアナやシエナは関係無い。
「思ってない。俺も死ぬ気は無いから信じてくれ」
また出来ない約束をしている自覚はある。100人の騎士に加えこの街の衛兵にあの老兵。4人で子供連れでは絶対に逃げきれず、1人でも怪しい。
そして奴隷商に引く気がないのを察したのか、ディアナは仕方ないと言いたげな顔をする。それはこれまで何度も奴隷商の我儘でさせてしまった顔で、ただただ申し訳なく感じてしまう。
「死んだら一発殴りに行くから」
ディアナは気を遣わせないため、そう言ってナイフを鞘に納めてくれる。そしてその代わりにシエナとルナの手を掴む。この時ばかりは1人に慣れそうで良かったと、奴隷商は少しだけ目を伏せ答える。
「……あぁ死んだら目いっぱい殴ってくれ」
そうして消えていく足音。そしてその代わりに聞こえてくる道路の両端から囲むようにやってくる、鉄の足音。
「彼女はディアナかな?逃げるんだね」
そう正面に一歩前に出るのはクロヴィス。相変わらず首元の紋々とその大斧で見分けが付きやすい。
「さぁ。知らない町娘だな」
奴隷商はナイフを抜き魔力を腹の底から沸き立たせる。ざっと見半円に囲む騎士たちは20人ほどだろうか。その向こうには野次馬もいて正面突破は難しそう。だからと言って背後の路地裏に逃げれば、ディアナ達も危険に晒されてしまう。
「それで。なんであんたがここにいる」
稼げるだけ時間は稼ごうとする。するとクロヴィスは、ディアナを追う気は無いらしく、その会話に乗ってくる。
「ん~まぁお使いかな。やっぱ辺境は動向が怪しいしね」
奴隷商は周囲に石塊をいくつも浮かべる。打撃力を増すように質量を重視して、重く重く出来るだけ多く作り出す。それを見てクロヴィスは微笑む。
「君から話しかけた割にやる気満々だねぇ。もうちょっと老人との会話は大事にすべきだと思わない?」
そう言いつつも大斧を構えこちらに向けて来るクロヴィス。周囲の騎士達もそれに呼応して剣を抜き、野次馬たちはザワザワと声を上げる。そして奴隷商の背後の路地裏からも足音が聞こえ、包囲されつつあるのに気付く。
「老人にしては元気過ぎなんじゃないか。アンタは」
腰を落とし息をゆっくりと吸う。やんわりと全身に魔力を込め身体機能をささやかながら強化する。そして奴隷商の準備が終わる前に、クロヴィスはワンテンポ早く一歩を踏み出す。
「秘訣は毎朝の水浴びかな。君もやって見ると良い」
そう言いながら大斧を振り上げこちらに吶喊してくるクロヴィス。この囲まれた状況では避けれないと判断し、奴隷商は咄嗟に路地裏へと下がるが、そこにいるのは2人組の騎士。
「反逆者がッ!!」
奴隷商のがら空きの背中へ向け剣を振り上げようとする2人。だがそれを込みで引いたのだと、奴隷商は用意した石塊2つを、その大層な兜へと叩きつけるように飛ばす。
「すまんな」
ゴツンという重い音が2つ響く。そして剣が石畳にカランカランと落ちる音。そして少し遅れ、大斧が地面を割り大きく土煙を上げ、奴隷商は顔を手で覆って飛びのく。
「仲間もお構いなしか」
眼下には脳震盪を起こしたのか手足をピクつかせ、首を変な方向に曲げる2人。その足すぐには大斧が突き刺さった岩畳があり、その土煙から老人の鈍い眼光を覗かせる。
「私は君みたいに優しくないんでね」
この狭い路地裏だというのに大斧を縦に大きく振り上げ、こちらを叩き潰そうと距離を詰めようとしてくる。リーチの差があるせいか、既に奴隷商の真上には大斧の切先が迫る。
「避けれないか━━ッ」
ならばと重心を前へと戻しクロヴィスの懐へと潜り込む。リーチが長い分ここで小回りが利かないはずで、ここまで近づけばナイフの間合い。そして奴隷商は邪魔をされる事無く、そのクロヴィスの脇腹にナイフを突き刺そうとするが、そこにはニッと笑う老人。
「誘いだよ。毎度同じ手を食らう訳にゃいかん」
右肩に走る鈍い痛み。いつの間にか大斧を短く持っていたクロヴィスは、その木の柄で外套を押し曲げ、奴隷商の肩にそれを埋める様に押し付ける。
「……ッ」
どうにか踏ん張る奴隷商。だが、そこで終わりでは無くクロヴィスは伸びきった腕を引き、大斧で奴隷商の首裏を切り落とそうとしてくる。
「このクソジジイ」
奴隷商は半ば膝をつくようにしてクロヴィスの手を掴んで、それをなんとか阻止する。大斧は小刻みに震え、その老人の力強さに苦笑いせざる負えない。
だがこんなタイマンの時間もすぐに終わり、背後から増援らしき騎士達がやってくる。それを感じると奴隷商は、再びクロヴィスを睨み上げ。
「やっぱまともにあんたを相手にするもんじゃないな」
ふっと手を離す。互いに力を込め合っていたから当たり前に、クロヴィスは後ろにたじろぎ一瞬の隙が出来る。だがそこで殺しに行くのは相打ちのリスクがあると、奴隷商は石塊をクロヴィスの顔面目掛けて飛ばす。
「おおっ!?」
更に避けようとしてクロヴィスは体勢を崩す。その隙に奴隷商は姿勢を落として、間を抜け路地裏から脱出する。背後には転びかけとはいえクロヴィスがいる以上、脚を止める訳にいかない。
「20人抜きは流石に経験ないがッ」
足を踏み込み、その騎士達へとそのまま突っ込んでいく。石塊の残弾もまだあると、そのすべてを半円に囲む騎士達へと滅多打ちにする。それはいくつもゴンッと鈍い音を立て、それが反射し地面にぶつかる事で土煙を辺りに立ち込めさせる。そしてその土煙を縫い奴隷商は、突然の変化に追いつけないらしい騎士1人を前にする。
「悪い」
ナイフでは騎士の鎧の奥に突き刺すのは無理だと判断し、手のひらをその首元のチェーンへと押し付ける。それで変な声を上げる騎士。
「んなっ!?」
そのまま手のひらに全体重をかけ、その首を一気に押し込み地面へと叩きつける。流石に騎士だからか重かったが、それで1人押し倒し、そのまま放置して駆け出す。
「あと1人ッ」
20人と言っても半円状に広がっていた。勿論今も後ろから体勢を立て直した騎士に、クロヴィスが追いかけてきているが、正面にはその1人の騎士だけ。その兜の奥から見える、僅かな怯えた眼。恐らく新兵なのだろう。
「すまん」
手に持ったナイフを投げる。それは真っすぐにその震える瞳に向かい、綺麗に兜の間を縫ってその中へと消える。そして兜の中くぐもった様に響く悲鳴。それを聞かない振りをしながら、奴隷商はその脇を通り抜ける。
そうしてあとは野次馬の中を駆けぬけ、どうにかディアナ達と合流するだけ。なのだが、次々と集まる衛兵に騎士達が邪魔をしてくる。それらを相手しないよう進路を変え、刃を避け足を止めない様にしてきた。
それで何とかの思いで、街の城壁を前にする事が出来た。これでやっと安心できると思ったのだが、そこに何故か先回りをして立つ老人。
「……お前魔法でも使えんのかよ」
城壁と家屋に囲まれ薄暗く湿った狭い通路。そこに立つのは何故か背中の後ろに置いて行ったはずのクロヴィス。それは首を傾げ大斧を肩に乗せる。
「ん?私に魔力無いよ?」
そういう意味の魔法ではないのだがと思いつつ、この世界じゃ魔法が当たり前だから伝わらなくて当たり前かと反省する。そんな呑気な事を思いつつも予備のナイフを抜いて構えると、クロヴィスは付け足すように言う。
「ただ予測しやすくてね。長年の勘とも言うが」
もうそれ以上会話は要らないと大斧を構え、手を招くクロヴィス。他の騎士達を連れていないのは、彼なりの意地なのだろう。だがそれは手札の減った奴隷商からして助かる意地であった。
「あっそうかよ。早く老兵は引退してくれ」
奴隷商に残りの魔力はあまり残されていない。それにナイフもさっき投げてしまい、この一本を最後。それでもこの男を放置して、呑気に城壁を登れるはずもない。
こうなってしまえば、もうやるしかないと強く石畳を蹴る。そしてそれを前にしてなおクロヴィスは、楽し気に笑うと。
「若者の成長を間近で見たいのが老婆心って奴でね」
今日二度目の2人は視線をまっすぐに交わし、互いの得物を向け合うのだった。




