ミズチの腕に抱きしめられて⁉(いや、絞め殺される⁉)
私は呆れつつも、この怪異が我が家の敷地内の祠に封印されていた事実を受け止めるしかなかった。
(はぁ…私の責任でもあるのかな…反省)
チロチロと割れた舌を出し、ミズチは嬉しそうに赤い目を輝かせて、私を見ていた。
「うれしぉ、僕に名前…。ねぇ、僕を視てもカイは怖くないの?」
「は?まぁ、視るのは慣れてる(馴れてる?)からね。で遅いからもう寝たいのですが、お話は明日聴くで、言いでしょうか?もう眠いの…」
私はミズチの返事を聞かずに、ベッドにダイブした。
『あ、ぼくも…』
意識を手放す瞬間、ミズチの気配が近づいてくるのが分かった。
普通、怪異を前に寝るなんて知ったら、我が家の父・水無瀬 神威(48歳)はきっと怒り狂い、この蛇を滅するだろう…。
翌朝―。
重みを感じて私は目を覚ました。
「ぶっっっ!」
息苦しさで、肺が押しつぶされそうになった。
目の前には昨晩、ドアスコープ越しに見た、顔が心地よさそうに、私のたゆんとした胸に、あろうことか顔を埋め、屈強な両腕で私をホールドして(私はあんたの抱き枕かよ⁉)幸せそうに寝ていた。
(いつのまに…!重い!)
ぐふっと声を漏らし、私は身を捩り動いた反動で自由になった左手で拳を作り(霊力込めて)、眠るミズチの頭に落とした。
ゴッッッ!!
『ぎゃんんっっ!!』
霊力を込めたげんこつに怪異・ミズチの目覚めの悲鳴が狭いリビングに響いた。
「重い!!潰れる!私が天に召される!!!」
跳び起きた巨体が私から離れ、ぽふんっとコミカルな音と煙を上げ、30㎝の黒い蛇に戻った。
『うううぅぅ…いたいぉ…』
そして、私の上に涙目で這いずり登ってくる。
「いたいぉ、じゃないっっっ。なんで、でっかくなって私を絞め殺そうとしてんのよ!!?」
ミズチの尻尾を摘まみ上げ、私は朝から三途の川を渡りかけたのに。
『だって、気持ちいいんだもん…柔らかく、祠と同じ匂いだぉ?』
「お祓い案件ですかねぇ…?」
リビングの隅に積み上げていた、段ボール箱から、私は祓い用のお札とお清めの清酒(飲んでないから!)を取り出したのは、言うまでもない…。
前途多難なー蛇との同棲(?)生活は始まるのだった。
(;´д`)トホホ




