うちから(実家から)やってきた…怪異…へ?
私はドアスコープら離れすぐさま、足音を立てずに(落としたスマホをなんとか回収し)リビングへ後ずさった。
(とにかく、今できるのは…追い払う?それとも、祓っちゃう?)
ただならぬ霊力を垂れ流しにしている、ドアの向こうの怪異は、その存在感をありありと…ヒシヒシと放ってる。
少しは、抑えない?ふつうにヤバいやつだってじぶんで言ってるようなものじゃない?
私は「はぁ…」と、溜息を吐いた。
引越しそうそう…平穏はなしですか…。
(なんか…ムカつく…私はただ、平穏な学生生活を送りたいだけなのに!)
覚悟を決めて、私はリビングの隅に積まれたダンボールから、数珠を取り出した。
(ビビらせて帰ってもらうしかない!!)
そもそも、深夜に騒ぐのは近所迷惑でしかない…。
まだ、挨拶回りも(親にはしなさいと言われ)してないのに。
私は腹をくくり、玄関へと向き直る。
外にまだ、気配はある(早く、帰ってよ…)
すり足で音を立てず瞬足でドアに張り付き、私は玄関の鍵をゆっくりと開けた。
カチャリッ
鍵が外れた。
その瞬間が、長く永遠に感じられた。
ゆっくりとゆっくりと私は玄関のドアを開いた。
開いた先には、ドアスコープから覗いて見た時と、同じ怪異がそこに存在感を放ちたっていた。(へびだから、とぐろを巻いていると言うべきか?)
蘭々と輝く赤い瞳がこちらをジッと見下げていた。
「……」
私は思わず握っていた数珠を落としてしまった。
体長2mを超える巨体に、僅かな時(コンマ何秒とか)呆気にとられた。
数珠が乾いた音を立てて、土間に落ちる。
私は両手を胸元で構え印を切り始めた。
幼い頃からの条件反射のように、印を結び祓いの言葉を無意識に唱えていた。
この動作まで、僅か一、二秒。
目の前にいる怪異に向けて、最後の印をー。
手のひらが青白く光、バチバチッと稲妻が迸った。
それを見た怪異の瞳が「ギョッ」と見開かれた。
同時に、私の印が完成する。
(出たとこ勝負ー!)
「滅せよ!破邪ー」
目の前の怪異が緊迫した中で、涙目になりぽふんっと小さな音と煙を上げて視界から消え去った。
「……へ?」
間の抜けた、私の声は放とうとしていた霊力と共に霧散した。
『ひ、ひどいよぉ……』
ましたから、抗議のような、怯えたようなー声がした。
私はその声の主へと視線を落とした。
黒い鱗に覆われた30cm程の小さな、本当に小さな蛇が私を見あげて涙目になっていた。
(嘘ぉぉぉぉ……なんで涙目ぇぇぇぇ!?)
こうして、私と蛇は初めての(?)邂逅を果たしたのだった……。
続く……?(多分……?)




