真夜中の訪問者は…(なぜ私なのよぉぉぉー!)
引越し当日の夜、私はまだ、組み立てていないベッドの代わりに床に布団を敷いて、その上で眠りに着いていた。
スマートフォンの時刻は23時をさしていた。
荷物の中から、マットレスと掛け布団を探し出して、リビングの床にぽすんッと敷いた。今夜は、これで我慢…。
明日は朝から荷物の整理とベッドの組み立てを1人やらねば…。
山積みのダンボールに埋もれて、眠るはいささか不安があった。
(崩れて落ちませんように……)
布団を頭まで被り、私はそう祈りつつ眠りについた。
そして、深夜に私は夢を見た。妙にリアルな生々しい夢を。
ズルリズルリと何かを這う音が深夜の部屋の外、アパートのそう…私のドアの向こうから這いずるような、
這うような嫌な音が聞こえて来たのだった。
(……?れ、なんだ…なんか…うる…さい?)
私がそれに気づいて目が覚めたのは深夜の、丑三つ時。
ズルッと言う音は、私の部屋の扉の前で止まった。
(なんだろ…?)
モゾモゾと布団から顔を出し、私はスマートフォンのライトを点灯させ玄関に光を向けた。
あいにく、外まで見えるわけがないのだが、寝ぼけなまこで起き上がり、私はフラフラと玄関に足を向ける。
ドアスコープを気だるげに覗き込んだ。
何かがいるなら、見える(視える)はず。
「ー!」
ドアスコープを覗いた私は、手に持っていたスマートフォンをおもわず落とし。
ガタッと玄関の土間に、スマートフォンが音を立てて落ちた。
ドアスコープの向こう側、外には地面に着くほどの長い黒髪、前髪が無造作に伸び、その隙間から(前髪の)赤い目がこちらを同様に覗き込んでいた。
覗き込む相手の口は半開きになっており、ギザギザの歯が不気味な光を放ち並んでいた。
(何、人間じゃない!?)
異様な風貌ー背丈はゆうに2mを超える巨躯(巨体)下肢を見て私は人間じゃないと断定できた。
下半身は黒い鱗に覆われておりそれはとぐろを巻いていたのだ。とぐろを巻いたその先は、尻尾…。
(蛇……?)
こんな怪異は今まで見たことがない。
幼少期から視えていた、怪異、妖はまだ、小さくて可愛らしいようなものばかりだった。
私は息をするのも忘れ、生唾を呑み込んだ。
『みぃつけたぁ…』
低いとても低い声でそれは、ドアスコープを覗いてる私を(認識していたのか)見て、呟いた。
初めて、危険とも言うべき怪異と遭遇した。
ドアスコープから目を離し、体を引き私は滲んだ汗を拭った。
(どうしよう…荷物のどこに入ってるか)
護身用の護符と大切な数珠…。
適当に荷物に突っ込んだのを呪った(自分なんですけど)。




