東京のアパートは…
相容れない者たち
妖とひと
巨体の怪異
黒い長い髪に赤い瞳
そして、
ギザギザの歯を持つ蛇の化身
小さな蛇になり
人の子と出逢う
それは、逃れようのない 運命の出逢い 400年前、人の娘の病を治し
助けた代わりにその娘を 花嫁として所望する
でも、娘の親はそれを拒否し、霊能者にその怪異(当時は名前もない)は祠に封印された。
時は流れー現代のとある地方。
その祠は、水無瀬神社の敷地内の片隅にあった。
遅くに降り出した雨と雷は我が家の敷地にあった小さな祠に命中したらしく、焦げた匂いと木っ端微塵になった木の破片が黒焦げになって落ちていた。
私は傘をさしたまま、その祠の前に来ていた。暗がりの中、微かに見えた、小さな黒い影。
煙る中を私は足元に気をつけながら、懐中電灯で照らして呆然としていた。
(もう、何もいない……?)
祠は落雷によりまっ黒焦げに。
そして、先程見た、蛇は私の目の前で消えた。
私は祠のことを父に伝えるため、踵を返した。
ポケットからスマートフォンを取り出す。
父、神威の番号を表示させ僅かなー逡巡をした。
(どうせ、どっかの山奥ですよねぇ……)
父親は祓い屋として日本では名の知れた人物。厳しい厳格な父親とあったのは、三年前が最後。
高校の入学式よりも怪異、妖退治に生きがいを感じる人だ。何より、怪異は人をたぶらかす危険な存在だと、幼少期より教え込まれていた。
(たぶらかすって…視えてますけど……?別に、害はないじゃない…)
ポケットにスマートフォンを無造作に突っ込み、私は母親の元に足を運んだ。
それから、時間は流れー。
私は引越しの、トラックと共にアパートの前にいた。
(ここ、事故物件とか言ってたけど、何があったんだろ?)
安い家賃と大学進学のために借りた半世紀のボロアパート。
水無瀬 カイ(とある地方の神社の娘)が住むことに。
(なーんにもいないけどなぁ)
そんなことを呑気に考えながら、私は青空を見上げた。
「きっと、いいことが待ってるはず!」
だが、この時の私は知らなかった。
このアパートにあの蛇が転がり込んでくることなど……。




