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突撃!?夜の訪問者ヤンデレ水無瀬神威(パパ、来ちゃった♡)


私がお風呂から上がり、バスタオルで髪を拭きながらドライヤーで入念に乾かして、浴室から出てきた頃には、時計の針は22時前を指していた。


(もうダメ、色々ありすぎて……本当に頭がついていかない。う、頭が……( ੭⌯᷄ω⌯᷅ ))


考えれば考えるほど、知恵熱が出そうに頭が痛い。

私は早く布団に入って現実逃避するべく、ローテーブルの端っこで丸くなっていたミズチを手招きで呼んだ。


「ミズチ、そろそろ寝るよ?」


鳥さんを丸々一枚食べてさぞかし満足したのか、今日のミズチは珍しくシュルシュルと素直に床を滑り、私の足元からパジャマの裾を潜ってふくらはぎ、太ももへと絡みついて這い上がってくる。


(はぁ……普段から、これくらい大人しくて聞き分けがいいと助かるんだけどなぁ……)


服の隙間から胸元の『指定席』へと収まった小さな主神に息を吐く。

放っておくと、夜な夜な私の美味しい霊力を分け与えてもらう(吸い尽くす)ために、隙あらば私を「食べよう」としてくるエロ蛇と化すのがこいつの本当に困ったところだ。今日も隙を伺うように、心なしか私の胸の谷間でいつもより熱を帯びている気がする。


「いい? 今日は本当に疲れてるんだからね。変なことしたら、その瞬間にあの瓶(特性ミズチお仕置き部屋)に詰め込むからね♡」


さすがに、今日は勘弁してほしい。

いや、フリじゃなくてマジでダメだから! と最大限のハートマーク付き(脅迫)の念押しをして、私はお気に入りのパジャマの襟元を正し、ベッドの中に潜り込んだ。

ちなみに、私の枕元には、実家から護身用に持ってきた『退魔師ご愛用・怪異封印用の特製ガラス瓶(強力な呪符付き)』がバッチリとスタンバイしている。


『ヒェッ……カイ、ミズチいい子にしてるぉ……瓶はやだぉ……』


ミズチは谷間からひょこっと顔を出すと、枕元の瓶を見てと小さな身体をさらに縮こまらせた。よし、牽制は完璧。


スマホの電源も切ったし、これでようやく泥のように眠れる――。


そう思った、まさにその瞬間だった。


ピンポーン、と夜の静寂を切り裂くように、アパートの、安っぽいインターホンの音が鳴り響いた。


(……は? 22時前に、誰……?)


新聞の勧誘にしては遅すぎる。あみちゃんがこんな時間にアパートに来るはずもない。

背筋に冷たいものが走ると同時に、私の胸元にいたミズチが、一瞬にして小さな身体をカチコチに強張らせて、低い警告の声を脳内に響かせた。


『……カイ。アパートの前に、ヤバいのが二人いるぉ……。ひとりは、お昼のあの生意気な三白眼。……もうひとりは……お昼の奴なんてゴミに見えるくらい、おそろしい人間の匂い……だぉぉぉっ』


「――っ!?」


お昼の三白眼(靈影暁人)がここにいる!? なんでアパートの場所がバレてんのよ!

いや、それ以上に、ミズチが恐怖するほどの「おそろしい人間の匂い」って、まさか――。


ドンドンドンドンドンドンドンドンッッッ!!!!


狂ったようにドアを叩く暴力的な爆音と、防音性の皆無な木造アパートのドア越しに、聞き覚えがありすぎる「あの男」の、優しく狂気に満ちた声が響き渡った。


「カ〜イ〜? パパだよぉ。スマホの電源が切れてるから心配になって、新幹線の〇みの最高速度(え?何それ)で京都から来ちゃった♡ ああ、それとね、アパートの前にコソコソ隠れてる不審なクダ狐使いの男の子がいたから、とりあえず今、パパの術式で五体大満足に動けないように生け捕りにしておいたよ。さあ、ドアを開けておくれ、我が愛しの娘よ!!」


(はぁぁぁぁぁぁぁ!? 人の話聞いてましたかぁぁぁぁぁぁお父さんーーー!!!)


最悪のヤンデレ親父と、満身創痍のストーカー祓い屋。

アパートの玄関前で、私の平穏を木っ端微塵に打ち砕く「絶体絶命の地獄絵図」が完成していた。


私の安眠は何処いっっったのぉぉぉ!!!

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