ヤンデレ化!?(父よ何があった!?)全力で肘打ちやっちゃった…。
嘘ならどれほど良かったか。
激しい後悔が私を襲う。
(なんで、嘘でしょ…)
「またれよ…」
ゾクリとするその声は耳とで響いた。
『カイ〜(涙目)、こ、こわいのがいるぉぉ!』
頭に悲鳴に近い、ミズチの声があがる。
(そんなの、わかってるわよっ!こっちはもっと、怖いんですけど!)
ミズチの怯えが直接、谷間から私な伝わってくる。
怪異とっては、最大の天敵とも言うべき払い屋…。それが今、私の肩をガッツリ掴んで離さない…父・神威が真後ろにいるのだから。
私は逃げることができなくなった。どうしよう、などと逡巡していた私の肩に、置かれた手にぐっと力が込められたのが、わかった。
モール内を歩く人達からはどんなふうに見えているのかて、想像したくもない。鋭い目つきの男に肩を掴まれ呼び止められた、女子大生…。
傍から見ると、ある意味ヤバい。
「やはり……お前か…」
神威の声は、どこか震えていた。
私は諦めて、ぎこちない動きで首を動かし振り向いた。体はあくまで前を向けたまま。
「あ、あれぇ…?お父さん……?な、なんでこんなところにいるのかなぁ…?」
もう、棒読みを超えて、ガッチガッチの緊張で上擦った私の声。
白々しい顔(引きつっていたかも)で、私はにっこぉと半笑いの顔を父に向けていた。
『怖いぉぉぉぉ!!この、おじさん!怖いぉぉぉぉっっ!』
ミズチの大絶叫が盛大に、私の頭にぐわんっと響く。
目の前で放たれる霊力に今にも、ミズチは自動的に祓われそうになっていた。
「カイ……」
振り返った私を見て、我が娘と確認が取れた途端、父の瞳がぶわっと潤んだ。
「えっー(;゜Д゜)!」
何、ファーストコンタクトがこの展開とは!
「パパは、会いたかっぞぉぉぉっっ!」
周りの視線が一気に、集中するのが分かった。
まるで、感動の再会と言わんばかりの勢いで私の前に回りこみ、暑苦しいハグをぶっ込んできた。
『ムギャぅ!』
ハグされたと同時に、胸が父の胸板にむにゅっと形を変えて押し付けられ、ミズチがプレスされた。
(ミズチー、我慢して!動かないで!妖力も出しちゃダメよ!ほんとに消される!)
父の頬擦りと涙が私に降り注ぐ。
「お父さん!ここ、モール内!やめてよ、どんな辱め!!!?」
私は父親を引き剥がそうとするが、ホールドされてビクともしない。
(なによ、これ!父さんじゃない!こんな……)
「パパは、パパは寂しかったぞぉぉぉぉ‼️」
「うるさいぃぃ!迷惑だから、離れて、やめてっ!この、バカオヤジ!」
父は、三年前に最後に見た時とは別人のように、何故かヤンデレ化していた。
(鬼のように厳しく冷たい印象の人だったハズなのに!)
暑苦しいく、こんな人前で抱きつくような親じゃなかった。躾と授業、礼儀にはとてつもなく厳しい人だったはずなのにー!
(この、三年で何があったのぉ!?)
予想だにしない、父親との再会はただただ、私の中にパニックを引き起こすのであった。
逃げたかったのに、逃げられなかった結果が、多くの人で賑わうショッピングモールで人の視線を一身に集めるって、どんな罰ゲームですかぁ!?
私の言葉はまったく届いていない、人の視線が痛い、スマホまで向けてくる人が居る。
(見世物じゃないわよ!)
なんでこんなことになるのぉ。
私の額に青筋が浮かび、プッツンしてしまった。
(このバカ親父、ほんっっとにー!)
暑苦しさと苛立ちで私は右拳に思わず、霊力を込めていた。
火事場の馬鹿力ーが、思わず出てしまう。
「少し、冷静になってよぉぉ!」
父親の耳元で全力で叫んだ。
その声に、耐えられなかった父の、ホールドが一瞬、弱くなるのを私は見逃さなかった。
緩んだ隙に父の鳩尾に、肘打ちをお見舞いした。
「はぶへぉ……!」
父の情けない声が上がり、人だかりの中に父・神威は飛んでゆく。
今ーだ。
そう思った私は、実の父親に肘打ち(霊力100%)をお見舞いし、身を翻し脱兎のごとく逃げ出した。
谷間にいたミズチがきゅっと、情けない声をあげて、目を回していた。
「ミズチ、しっかりしてよ!」
モール内を走り、私は人混みをかき分け出口へと向かう。
(はぁ……なんで、こうなるの!?お父さん、ヤンデレ化してるって何があったのよ!ホントに)




