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白人少女と浮浪冒険者  作者: 逆張りオタクの天照大御神


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8/17

襲撃の真実、もしくは


 時は、テスターが夜襲を受けた少し前に遡る。


「あの少女、こちらを睨んでいたようだが何者だ…」


「恐らくは白人かと思われます」


「白人じゃと!?まさか、先日逃げ出した白人の娘か!」


「あの異様な魔力、間違いないでしょう」


「ぬぅっ、いくら魔法が発現しなかったゴミとは言え、他国に渡れば大問題だ」


「絶滅したはずの白人がいると分かれば、国は躍起になって探し回るでしょうな」


「苦労をして白人を絶滅したと、()()()()()()()()と言うのに、これでは意味が無いではないか!」


 白人の絶滅、これはある国が流したデマであるとは言え、実際に白人はほとんどおらず数十人しかいない。


 一歩手前ではあるが、生きてはいる。


 では何故、その国はデマを流したのか。それは他国が力を付けないようにする為でもあるが、理由はもう一つある。


 白人の魔法は強力だ、一人いるだけで勢力図を反転させるだけの力を持っている。


 ならば白人を全員捕らえ、自国の力に変えてしまえば良いと。


 そうすれば他国が力を付ける心配はなく、自国が安心して世界を征服出来る。


 戦争を仕掛け、国を滅ぼし領土を拡大し、私腹を肥やしながら戦争を続ける為に。


 だがもし、それがバレてしまい数十の国が一時的とは言え協力されてしまえば、いくら白人の魔法が強力と言えど、敗北する可能性はある。


 その可能性を取り払う為に、白人が絶滅したホラを吹いたと言うのに。


 例え役に立たないゴミとは言え、その白人が他国にでも逃げ込めば自分達の国が危うい。


「しかし、一緒にいるのはテスター・サブジェクトです。加減を間違えれば殺されるのは我々です」


「そんな事は分かっておる、だがこのままでは儂らが危うい…」


 一体、どうしたものかと頭を抱える二人。


「だったら、俺が行ってやるよ」


「…お主は」


 その時やってきた赤髪の男はブレイズ・パーガトーリィ。炎の上位魔法を操り、武道の達人でもある。


 戦闘力は並の兵士20人分と言った所だろうか。


「止めておきなさい、貴方では相手になりません。ブレイズ」


「相手にならない?この俺がか?」


「奴はミリタリー王国最強の兵、貴方如きでは相手にもなりません」


「俺だって訓練でモンスターと戦った、そして勝った!」


「ならそのモンスターと毎日戦い、無傷でいられますか?」


「はっ、モンスターと戦って無傷?そんなの人間じゃねぇだろ」


 この世界でのモンスターは一匹が兵士10人分以上と言われており、とても一人で相手に出来るような強さではない。


 このブレイズもモンスターと戦い勝つことは出来るが、無傷で生還するのは至難の業だ。


「だから言っているでしょう、貴方如きでは相手にならないと」


「っ、だが俺は現王国最強の兵士だ…!」


「お主も知っておろう、冒険者と呼ばれ名乗っている者が他にいないことを」


 冒険者は人に危害を加える危険なモンスターを倒し生業にする職業ではあるが、冒険者と呼ばれ名乗っている者はテスターのみ。


 言わば、テスターだけの職業であり称号のようなものだ。


「……っ、分かったよ」


 モンスターと幾度か戦った経験のあるブレイズは、その異次元な強さを理解出来る。


 名を上げ、認められるチャンスだと自分を売り込みに来たようだが失敗に終わった。


「しかし、どうしたものですかね…」


「このまま黙っておけば、間違いなく他国が協力関係を結び白人を奪おうと躍起になる」


 白人が生きていることを知っているテスターを、何としてでも葬らなければならない。


 最悪でも相打ちに持っていかねばならないが、三人が知る限り、テスター・サブジェクトと肩を並べられる者はいない。


(奴が情報を漏らすとは思えないが、万が一がある)


 何としてでも白人を取り返したいが、あまりにもリスクが高過ぎる。


「……いや待て、ブレイズよ。お主に命ずる、テスター・サブジェクトと共にいる白人を殺せ」


「やらせてくれるのか…!」


(王が白人を捕らえる為の囮にしようとしていると気付かないとは、哀れな奴め)


「それで、金はいくら出るんだ」


「…ふむ、そうか金が必要か」


「当たり前ぇだろ、寝ぼけてんのかジジィ」


「……良いだろう、貴様が望む全てを与えよう」


「マジかよ…!ガキを始末するだけで、全部手に入るのか!」


「ああ、期待しているぞ」


 それを聞いたブレイズは、意気揚々と城を出て行った。


「良いのですか、あんな命令をして」


「あれは人柱じゃ、お主はあれを見張っておけ」


「成程、ブレイズを仕向け私を向かわせると言うことですか」


「気を付けろ、あの白人が儂らに勘付いている可能性がある」


「勘付いている、ですって!?ですが我々とは面識が…!」


「無い筈だが、あれは勘付いている目だ」


「白人は感情を読み取ることが出来ると言う、出会った白人は全員儂を睨みつけておった」


「しかしテスター・サブジェクトは別、と」


「ああ、あやつは馬鹿で愚鈍な奴隷だ。白人は騙せずとも、あれなら騙せるであろう」


「ならば、御身の御心のままに従いましょうぞ」


「作戦は任せる、そういうのはお主の方が得意じゃろ?」


「ふふっ、ご冗談を。王こそ、得意ではありませんか」


「そうじゃったかのう、暫く馬鹿のフリばかりで忘れてしもうたわい」


「とは言え、小細工をした所で出し抜けるとは思えません」


「……そうじゃのう、奴は手強い」


「ええ、ですから()()を使いましょう」


「何!?完成したのか!」


「申し訳ありませんが、まだ…」


「そうか…では何故、アレを」


「未完成ではあり暴走を引き起こしかねませんが、まぁ()()()()()()()()()()()()()()()


 暴走の果てに殺されようと、自分の力に呑まれ死のうと、力を得たブレイズにテスターが殺されることになろうとも。


 二人にとっては全て都合が良い。


「そうか、それなら白人を楽に始末出来るな!」


「そういうことで、使用の許可を頂いても?」


「ああ、存分に使え!儂とお主の、輝かしい未来の為にもな」


「ありがとうございます、我が王よ」


次回、何とバトル回です。そしていつもより長めです。

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