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白人少女と浮浪冒険者  作者: 逆張りオタクの天照大御神


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王国崩壊の日 その3


「貴様、何故儂らを裏切る…!」


「何故って、見捨てられた腹いせに決まってんだろ」


「頭で物事を考えられん猿が」


「猿で結構、俺は俺のやり方で戦う」


「ぶ、ブレイズ、何で…?」


「言った通りだ、ムカついたから殴りに来た」


「ははっ、助かったよ」


「勘違いすんな、別にお前の為でもねぇ」


「い、今は、それで良い…」


(それよりテスター、時間を稼ぐぞ)


(時間を稼ぐ…?何で、そんなことを)


(良いから言う通りにしろ、もしかしたら勝てるかもしれねぇ)


(本当か!?一体、どんな秘策を…)


「ってことで、お前はすっこんでろ!」


「がはっ…!?」


 ブレイズはテスターを蹴り飛ばしてしまう。


「自ら不利を背負うとは、愚かな奴め」


「俺は俺一人で戦いてぇんだ、邪魔者はいらねぇ!」


「くだらない、一時の感情に惑わされ勝機を見失うとは」


「魔法が、無効化された!?」


「死ね、ブレイズよ」


「爆は―――ぐわああああっ!?」


「やはり、テスターでなければ手応えが無いのう」


「はぁ、はぁ…!くそっ、こうなったら!」


「また魔法ですか、学習能力の無い猿ですね」


 魔力に任せ、炎を放出するが無効化されてしまう。


「だったら、これでどうだ!」


「懲りない奴だ!」


 今度は一点ではなく、複数の方向から炎を放出するが先と同様に消されてしまう。


「何て魔法を使いやがる…!」


「これで分かったでしょ?貴方では、我々には勝てない」


「ああ、そうかい!」


「近距離なら勝てると?」


「ぐはっ…!」


 至近距離に近付き、殴り掛かるも軽くいなされてしまう。


「邪魔じゃ、消えよ」


「ちょっ!?」


 爆発を直撃させられ、ブレイズは黒焦げにされる。


 只でさえ、テスターとの戦いの傷が癒えていないと言うのに、ヴァイスの魔法を食らうのは命取り。


(な、何て、力だよ…)


 出来るだけ時間を稼いではいるが、ブレイズの体力は限界だ。


 魔力はまだ使い果たしてはいないが、行使するだけの力がほとんどない。


「…まだ立つのか、しぶといな」


「俺にもプライドってものが、あるんだ…」


「王よ」


「分かっておる、トドメを刺してやる!」


 魔法は使わず、素手で仕留めに来る。

 

 これなら、やりようがあると思ったがヴァイスの連撃にブレイズの目も体も追い付かない。


(くそっ、このままじゃ、嬲り殺しにされちまう…)


「どうした、もう終わりか!」


「くっ、この野郎!」


 せめて一矢を報いてバトンを渡そうと、一発顔面にぶち込む。


「温いな」

 

「なっ!?」


 しかし、ヴァイスは微動だにせず拳を顔面で受け止めた。


「消えろ、ブレイズ」


「やばっ―――ぐわああああっ!」


 避ける間もなく、爆発で派手に吹き飛ばされる。


(ま、まだ、時間を稼がねぇと…!)


「な、何と言う奴だ…」


 ブレイズの傷は既に死んでいてもおかしくはない。


 しかし、それでもブレイズは立ち上がる。


「何故だ、何故そこまでする!」


「ただの、腹いせだって言ってんだろ…!」


「ええい、いい加減にくたばれ!」


(も、もう限界だ、くそっ…!)


 向かってくるブレイズの拳を避け、一発ぶち込もうとする。


「もう良いだろ、父さん」


「……テスター、貴様何故」


「ま、間に合った、のか…?」


「ああ、すまねぇなブレイズ」


「ははっ、だったら良い…」


(見た所、テスターの傷が回復している…)


 それだけではない、魔力も大幅に上昇し、どこか雰囲気も違う。


「何をした」


「俺は何もしてねぇよ」


「嘘を吐け、貴様以外に誰が―――」


 テスターの背後に目を向けると、死に掛けの白人達が一ヵ所に集まり、こちらを睨んでいた。


「あいつらが必死になって、魔法を掛けてくれたんだ」


 ピュアと生き残った白人達が、出来るだけの魔力でテスターの傷を癒し、残った魔力のほとんどをテスター渡した。


 本来、他人から他人への魔力の譲渡は危険を伴うが、実験体として白人の血も混ざっているテスターなら問題は無い。


 これはピュアが思い付いた案で、テスターが戦いブレイズが時間を稼いでいる間に白人達を説得していた。


 結果、カプセルを服用か、それ以上の力がテスターに宿った。


「そ、そういうことか!」


「ならば私の魔法で無効化してあげましょう!」


 魔法なら無効にすれば、意味がなくなると判断したウォーは賢い。


「させねぇよ!」


「ぐほっ…!?」


 しかし血反吐を吐きながら白目を剥いて、ウォーはそのまま倒れてしまう。


(大臣が、一撃で…)


 先までとは明らかに、レベルが違う。カプセルを服用したような力に、ヴァイスの背筋が凍る。


「父さん、こうなりたくねぇなら大人しくしてくれ」


「……断る、と言ったら?」


「父さんを倒して、罪を償わせる…!」


「やれるものなら、やってみろ!」


(こうなってしまえば、副作用など気にしておれん!)


 ここで抵抗空しく死ぬのなら、暴走を引き起こし巻き込む。


 死ぬ覚悟すら決め、ヴァイスはもう一度カプセルを服用する。


「大海に呑まれ海の藻屑と化す!」


(上位魔法の詠唱!?先と言い、何故だ…?テスターは下位魔法しか扱えぬはずでは…!)


 先はピュアの魔力で、今は沢山の白人達の魔力を貰ったことで一時的にだが能力が引き上げられている。


 結果、詠唱や扱いを何となくで理解し行使するに至っている。


(まずいぞ、テスターの魔力で上位魔法を詠唱すれば)


 ヴァイスが危惧した通り、激流により実験室が水でいっぱいになる。


 白人達はピュアの結界魔法で、溺れずに済んでいる。


 そして、最も危惧しなければならないのは。


「吹き荒れる嵐は全てを切り刻む!」


「がああああっ!」


(このままでは、儂は…!)


 カプセルでのドーピングが全くの無意味になる。


 異常なまでの魔力量に比例した魔法を詠唱出来るようになったテスターを止められるのは、同じレベルの者かウォーのように魔法を無効化するしかない。


 しかしヴァイスが手を伸ばそうとも、そのレベルには届かない。


「これで終わりにしよう、父さん!」


「くっ、ただで負けてなるものか!」


「っ!?随分、諦めが悪いじゃねぇか父さん!」


「儂は負けられぬのだ、負けられないのだ!」


 暴走か、はたまた眠っていた力が目覚めたのか、徐々にテスターを押し始める。


「…スター」


「俺が、あれだけ時間を稼いでやったんだぞ…」


(ああ、分かってるよ。皆の努力を無駄にはしない!)


「うおおおっ!」


「お、押され―――」


「ぶっ飛べええええっ!」


「おわあああああっ!?」


 文字通りヴァイスはぶっ飛ばされ、実験室の壁に埋められた。


「やった、のか…?」


「スター!」


「何、泣きそうな顔してんだ。無事なんだから笑えって」


「うん…!」


 2人は互いの無事を確認し合うように、抱き合った。


(ったく、手こずりやがって)


 ブレイズが1人、誰にも気付かれないように去ろうとした時。


「…何だ、この魔力反応は」


 どこか様子のおかしい魔力反応に、周りにいる白人達も気が付き始めた。


「スター、これ」


「ああ、これは…」


 反応を示している先にいるのは、ヴァイス。


 カプセルの副作用が効き始めているのだ。


 少しずつ魔力が膨れ上がり爆発しようとしているが、ここにいる者はそれを知らない。


 唯一、未完成品であることを知っているブレイズだけがそれに勘付けるが。


「…!てめぇら全員、ここから離れろ!」


「ど、どうしたんだブレイズ」


「良いから、今すぐにだ!」


「…わ、分かった!」


「早く出るぞ!」


「ああ!」


 急いで実験室を出た瞬間、扉を吹っ飛ばす程の魔力の暴走が起きた。


 爆発に吹き飛んだ物で怪我を負った者もいるが、何とか全員無事だ。


「…父さん」


「あんな魔力の暴走が起きたら、中心だった奴は多分…」


 十中八九死んでいるだろう。


 生きていたとしたら、それだけで奇跡だろう。


(大臣も、置いて来ちまった…)


 助からないと考えた方が良い、それが2人への神様からの罪の償いなのかもしれない。


 こうして王様の悪事は静かに消え、生き残った白人達は王国で保護することになった。


 表向きの発表では、白人達を保護していたが悪者が王様と大臣を道連れに死んだ、と言うことに。


 真実を知る者は、テスターとピュア、ブレイズとマスターとマダム、そして白人達だけに。


 テスターとピュアが必死に頼んで、バラさないように頼んだが、真実を話され国が混乱に陥っても文句は言えない。


 ただ、その必死な姿に白人達は一言、「分かった、誰にも言わない」と言ってくれた。


 そして数日が経ち、少しだけ落ち着いた頃。


「なぁテスター、王様どうするんだ」


「どうするって、まぁ誰かがやるんじゃねぇのか?」


「誰かって、つーかお前は仮にも息子だろ。お前が継げよ」


「えっ、俺が!?」


「当たり前だろ、お前以外に誰がいるんだ」


「……ブレイズ、とか」


「何で俺が王様やらなきゃいけないんだ、俺は向いてねぇ」


「そんなこと言われても、俺だって向いてねぇよ」


「じゃあ私がやる」


「「もっと無理だ」」


「…どうして」


「じゃあ王様が何やれば良いか、知ってんのか?」


「いっぱい美味しい物を食べれる」


「ダメじゃねぇか…」


「ダメなの?」


「何で逆に良いと思ったんだ、お前は」


「どうして?」


「ど、どうしてって、どうしてもだよ…」


 顔をグイッと近づけられ、ブレイズは顔を赤くしている。


(こいつ、もしかして…)


「……何だよ、テスター。こっち見て」


「いや、何でもねぇよ?」


「絶対何かある奴の顔してんぞ」


「何かあるの?」


「な、何もねぇよ!」


(こいつがピュアの言うことを聞いた理由が分からなかったが、そういうことか)


 様子を見るに、自分が殺そうとした白人の娘であるピュアに惚れたのだろう。


 この数日、どこか丸くなったように感じるのは、恋心から来るものなのだろう。


(意外と、可愛い所があるんだな)


 そういうのとは無縁のタイプだと思っていたが、案外ちょろいのかもしれない。


「おいテスター、てめぇ今絶対失礼なことを考えてんだろ!」


「何で分かるんだよ!?」


「やっぱり、そうか!」


「ちょっ!?こんな所で魔法を使うなよ!」


「魔法、ダメ」


「……まぁ、今回は許してやる」


「ほっ…」


 やはりピュアには弱いらしい。


「つーか、お前が王様じゃないと納得行かねぇだろ」


 一応表向きは急死と言う扱いで、テスターがヴァイスと深い関わりがあるのは国民も薄っすらとだが理解はしている。


 ブレイズとピュアがいきなりやるよりかは、ある程度納得出来る立場の人間が良い。


「……けど、長くは続かねぇぞ」


「だったら選挙でも何でもすれば良い、問題を片付けるだけ片付けた後でな」


「結局、後始末はしないといけないってことか…」


「そりゃそうだろう、いきなり王様が死んじまうなんてことはねぇんだから」


 病死やら何やらがあったとしても、大体はどうにかなるようにしている。


 しかしヴァイスは、この先何十年も続ける気だったので後継者などは決めていなかった。


(まぁ、なるようになるか…)


 立場上、仕方がないのでテスターは嫌々王様になった。

次で終わり、あとメモ公開

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