第77話 聡子の入学式前
大変申し訳ございません。
第73話が抜けていました。
前日まで入学式で揉めていた神島家、
お母さんが、行くか行かないでだ。
「大丈夫よ、私は強い女だから!」
と謎の自信を見せていたので近所のコンビニ迄行く事にした。
勿論一人では行かせない、お父さんに付き添って貰う。
エテ公除けにサングラスとマスクにキャップを被りマンションを出る。
直ぐ後ろにはサングラスとマスクにキャップを被った見るからに不審者二人が跡をつけている。
「なんか、恥ずかしいな俺もマスクとサングラス持ってくれば良かった」
最初は美和子もウキウキと俺と恋人繋ぎで浮かれていたが、男の姿を見る度に俺にしがみ付いて来る。
「おい!大丈夫か?」
「へ、へいきです……」
「無理していないか?」
「むりしていません……聡子ちゃんの入学式には必ず行きます!」
「そ、そうか……」
ピロピロピロピロピロピロ〜!
「い、いらしゃいませ……」
コンビニに入るとめちゃくちゃ注目された。マスクとサングラスの女がビビり捲り男にしがみ付き、後から入って来た二人組もサングラスとマスク姿だ。
「て、店長!」
「しっ!慌てるな……犯人を刺激するんじゃないぞ!」
「はい」
ん?なんだこの感じは、店の人に可笑しな緊張感がある。
幸いにも店内には客がおらずスムーズに買い物が出来た。カゴに入った商品をレジに置くと現れた中年の男性に。
「ひぃーっ!!」
それを見た途端、美和子は小さな悲鳴をあげた!
「ひゃーっ!!」
それを目の前にいた中年の男性も声をあげた!
その緊張感に、耐え切れなかった店員が防犯ベルに触れてしまった。
ジリリリリリリリリリリリリリリリリ!
「うわーーつ!!お金はやる!だから命だけは取らないでくれーー!!」
「イヤーーーツ!!サトルさーーん!!」
「みわこーー!!」
「ぷっ!なんじゃこれ!」
「イヒヒヒヒ、お腹痛いよ!息が出来ないよー!グッヒヒヒヒ!!腹痛ぇー!」
良子さんと聡子が揃って腹を抱えて笑っている。
ファン!ファン!ファン!ファン!
パトカー登場。
俺達と店の人と別れ警察に事情を聞かれたが、直ぐに開放された。
当然だろ買い物に来ただけだからな
あと、しつこくマスクとサングラスを外せと言っていたが、無視をした。
「おい、おい、俺達に逆らうのか?」
「公務執行妨害行為で逮捕しちゃうぞ!その後でじっくりと身体検査を行えばいいんだからな」
二人の警官は前を膨らまして、ゲスらしくイヤラシイ笑みをしている。
コンビニの店員さん達も、青い顔をしながら俺達を見守ってる。
「おーおー!正体を表したなゴミ屑君!
マンハントのターゲット確定!
精々苦痛に苦しんでくれ!」
「あ、俺達は正義の味方だぞ!
寧ろマンハントから感謝状を貰っても良いくらいだ」
「だな、全くその通りだぜ!じゃ全員逮捕
だな」
ポ〜ン!
「アリャリャ、ターゲット認定されたぞお前ら……ぷっ!ランクCだってよ!」
「ランクCって殺さなければ何してもいいんでしょう」
「そうだね、私も実際見るのは初めてなんだわ」と楽しそうな良子さん。
いきなり立場が危うくなったクズ警官達。
「ちっ!ズラかるぞ!」
「ああ、分かった」
バッキ!! ボッギッ!!
「ぐあぁぁ!!」
クズ警官が踵を返した瞬間に何者かに顔面を強打されたようだ。
鼻は潰され前歯が飛び散った。
「マンハントだ!害虫駆除に来た。
早速制裁を与える!」
あっと言う間に手足を折られうめくゴミが二つ。
「カオリ?カオリなの?」
マスクとサングラスを外す美和子。
「ん?誰だ……美和子か?」
「えへ、久しぶりカオリ」
「美和子だ〜!」
がっしりと、抱き合う二人は背中を叩き合っていた。
一般人の美和子だけが痛がっていた。
「美和子アンタ全然あの頃と変わらないじゃない。オッパイも張りがあるし美容整形してるんだね」
「残念、カオリ私何もしていないよ」
「ムキーーツ!!」
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!
カオリ!痛いよ!
ギブギブギブだからーーつ!!」
必死にカオリの背中をタップするが離してくれない。
「おお、見事に決まっているな」
「良子さんあの技はなんなの?」
「ベアハッグ鯖折りだよ」
美和子〜!サトルは心配そうだ。
「ママー!いきなり走り出すから、ビックリしたぞー!」
買い物袋を両手に持ち駆け寄ってくる男は焼きチンの関係者か?
「なっ!ターゲットか!まだ三人も居る」
荷物を放り投げ特殊警棒を構えこちらににじり寄ってくる。
なんだ!やるのか!
俺も身構えると、どこか見覚えのある男だった。
「中田か?……」
「神島なのか……」
俺達もガッシリと握手する。
俺は男同士では抱き合わない主義だ。
「ん?ママは何やってんだ」
ああ、焼きチンと結婚したんだよな。
「多分悔しかったんじゃないかな」
「なにが?……ああかもな」
全てを悟った中田大丈夫か?焼かれないのか?
焼きチンも決して小さくは無い!
今の周りがデカ過ぎるのだ。
「おおー!流石、焼きチン実績No.1
見事な手際だ」
「凄いわカオリ!」
「やっぱり、臭いがするね汚物処理は」
クズ二匹は手足を折られいる為、身を捩ることしか出来ない。あと、悲鳴を上げる事だけだな。
「ただオイルを掛けて火を着けるだけだろ褒め過ぎなんだよ」
でも、焼きチンは嬉しそうだ。
「コイツらの拳銃はこのままなんか?」
「両腕折られているから掴めもしないし
直ぐに警察が回収に来る筈だ。
その間に誰かが盗んだら、そいつがターゲットになる。多分ランクC以上でな」
「実質の死刑ね」
「そう言う事」
「そうだ、神島近くに僕達の事務所兼住宅があるんだ!寄って行けよ」
でも、とサトルは美和子を見た。
「美和子ウチの事務所は女性ばかりだよ
男は旦那のコイツだけだ」
コイツ……
「ひでぇなママは口が悪過ぎるよ」
「マンハントは舐められたらお終いだからな、仕方が無いんだ」
☆
「おー!スゲェデカいな!」
「カオリ凄いわ!」
「どっかで見た様な気がする」
「コレ、ウチのマンションと同じだよ!」
まさかな……
「詳しい事は中で話すよ」
豪華なエントランスを過ぎエレベーターの横を通ると一基のエレベーターが見えて来た。
「まるっきり同じじゃん」
直通で最上階に到着した。
「皆んな好きな所に座ってくれ、僕がお茶を用意する。……ママは家事が駄目なんだ……」
それを聞いたら、なんか気不味くなるんじゃねぇか!
豪華なテーブルにお茶と茶受けが置かれた。
「テーブルもウチと同じじゃん……」
「あ、ここか?ここは元GMZホールディングスの物件なんだ。そこを譲り受けた形だな」
えっ!ウチのマンションもGMZホールディングスの物だったのか……納得。
「まあ、紹介させてくれ!この人がウチの、ママ中田カオリ」
「宜しくね」
「美和さんは知っているよね、何せカオリがマンハントになったきっかけの人だからね」
「あの時の決断に間違いが無かったよ」
「それは良かったじゃないカオリ」
ふふふ、と二人して笑い合う姿は長年の親友のようだ。いや親友だったわい!
「その子は……」
「私の方から紹介するよ、この子は私の娘、聡子よ」
「聡子です宜しくお願いします」
「まあ、美和子に似て綺麗な子ね。
胸もデカい……」
「まあ、まあ、ママ落ち着いて」
カオリはジッポを取り出しカシャ!カシン!カシャ!カシン!と蓋を開けたり閉めたりしている。
苛ついているのが良く分かる。悔しんだろうな。
聡子は美和子並みにデカい成人する頃には美和子を超えそうだ。
「その隣が良子さん、古くからのご近所さんで私達の飲み友達だったんだけど最近では家族同様です」
「川上良子です、サンダーランスのご活躍は良くテレビで拝見しております。お会いできて光栄です」
「ご丁寧にありがとうございます」
この人もデカい!何で三人ともと、思わずジッポに手が伸びる。
「後でサインして下さい。良子へと焼きチンカオリさんと入れてくださいね!」
ニッコリと笑う良子も素敵だ!
「ぐぬぬぬ……」
カシャ!カシン!カシャ!カシン!
カシャ!カシン!カシャ!カシン!
「良子さんそんな事言っては駄目だよ
カオリは焼きチンって言われるのが嫌な筈だよ」
「えっ!御免なさい!私ったらテレビの前の視聴者みたいな事をご本人の前で」
「だ、大丈夫ですよ良子さん、カオリは普段から焼きチンって呼ばれていますから……」
カシャ!カシン!カシャ!カシン!
カシャ!カシン!カシャ!カシン!
カシャ!カシン!カシャ!カシン!
カシャ!カシン!カシャ!カシン!
うわー!マジだわ。
「そして、この人が私の最愛なる元旦那様サトルさんで〜す!」
きゃっ!言っちゃったと俺に抱きついて来る。そんな美和子も可愛い。
すると突然にジャッ!とジッポに火が着けられた。
「お前か……美和子をイキナリ捨てた男はお前だったのか……」
おっ!やんのか俺は受けてたつぞ!
「待て待て、ママ落ち着いて!神島がマンハントの創立者LoLo MK-IIIの生みの親なんだ!」
「えっ?ロロちゃんの……」
ふん、俺は自慢げに親指を立てて突き出してやったら、鬼の様な顔でジッポに火を着けやがった。
ひぃ!完全に俺の僕は奥へと縮み上がってしまった。
現役のトップマンハントは伊達では無かった。幾つもの戦場を渡り歩いた歴戦戦士の如くだったのだ。
その時救世主が現れた。
『ヤッホー!ロロちゃんでぇ〜す!カオリさんもお久だね』
「ロロちゃん!」
『僕から説明するね』
☆
『だから、皆んなの今があるんだよ』
「はぁ、分かったわロロちゃんありがとう。貴方には本当に感謝しているわ。でも、貴方にお返しを考えても思いつかないから、マンハントを本気で頑張る事にしたのよ」
『それで良いよカオリさんその方が僕も嬉しいんだ』
「ありがとうロロちゃん、私まだまだ頑張るわ」
『ほどほどにね、カオリさん』
「カオリ、ゴメンネ結婚式に行けなくて」
「良いわよ事情は分かっているから、でも祝電嬉しかったよ」
「俺は行ったよな中田!」
「ああ、二次会にも顔を出さず式が終わるとさっさと帰ったもんな、ママに紹介も出来なかったんだぞ!」
「俺がそう言うのは苦手な事知っているだろ!」
「まあな、やっとお前をママに紹介出来るよ!」
「美和子何でクズ警官と揉めていたのよ」
「ああ、それはね……」
「ギャッハハハハハハハ!腹痛てぇー!
美和子その様子じゃ絶対無理じゃん
親父のポマードの臭いを嗅いだだけでアンタ吐くわよ!」
今時、ポマードなんて……
げっ!焼きチンに睨まれた!
「でしょう、だから私がサトルと美和子ちゃんの代わりに聡子ちゃんの入学式に行ってあげんよ。ビデオも写真もいっぱい撮ってくるから家で待ってな」
「えー!」
「分かってるって、校門の前で三人での写真も忘れないって第何回入学式の立て看板の前でだろう」
「えー!私一回も聡子ちゃんの行事に出た事無いのに……」
「まあ、出られないから仕方が無いよね」
ほっぺを膨らませカオリを睨む美和子も可愛い!
「それなら、神島式が終わったら皆んなで写真館に行って家族写真を撮れば良いんじゃね、記念にもなるし」
「おお!中田お前は最高だ!」
だが、俺は男とは抱き合わない主義だ!




