第74話 美和聡子の生い立ち
あの日、酢蛾に穢されサトルさんに離縁を突きつけられ、私の心はグチャグチャに砕け散ってしまった。
もう、此処には居られない無いんだ。
散々サトルさんに言われていたのに、私は旦那様ではなく、メグミを信じてしまった。
全く自分の馬鹿さ加減を思い出すと涙が出てくる……
ただ自分からの不貞では無い事を証明する為に私は警察に行った。
カオリがいなかったら、私が犯された事が無かった事にされていた……警察も奴等とグルになっていたんだ。
でも、奴等は捕まった。全て暴露されたのだ。それが無ければ私はずうっと奴等に脅され慰み者にされていた……
サトルさんに助けられていたんだ。
実家に帰っても辛かった。サトルさんと離れているのが怖かった……サトルさん……
部屋に閉じこもって何日も食事も出来なかった。ある日何も食べていないのに急に、吐き気に見舞われてトイレに駆け込んでしまった。
「美和子ちゃん!大丈夫!」
「げぇーー!」
「貴方まさか……」
私も気がついた……妊娠した?
次の日妊娠検査薬で、陽性反応が示されたのだ。
私のお腹の中に赤ちゃんがいる
サトルさんの子供が私の中に……
また涙が溢れ出て来る。サトルさん
サトルさんの赤ちゃんが……嬉しいっ!
気がついたら、私は見窄らしい姿をしていた。お風呂にも入っていなくて髪もベタベタしていて、こんな母親では赤ちゃんに顔向けが出来ないと心機一転、私はサトルさんの赤ちゃんの為に生きる事にした。
ある日私は、母親に連れられて産婦人科を訪れていた。
「お母さん、本当に女性の先生なんでしょうね。男の先生じゃないよね」
「大丈夫よ何回も確認して貰ったから
安心して」
「分かった」
☆
「美和さん、診察室にお入り下さい」
「はい」
スライドドアを開けると其処には男が座っていた。イヤラシイ笑顔で私を見たている。
「イヤーー!!何で男が居るのよ!!
私を騙したのねー!!」
私の大声を聞きつけた母が慌てて診察室のドアを開けた!
「美和子!!どうしたのよ!!
なっ!男の先生ですって!
どうしてなのよ!」
「お、お母さんっ!」
美和子は母親に抱きつき震えている。
「美和子帰りましょう」
お母さんは、受付で保険証を取り返し、何回も確認したのにどうして女性の先生では無いのかと詰め寄っていた。
最後に先生の診察の予約を入れその項を連絡してろと、約束させていた。
お母さん強い凄い!
「ふう、凄かったですね先生」
年配の看護師さんが、ため息混じりにやれやれと言った。
「そうだね。僕もビックリしたよ」
けど、噂通りメチャクチャ良い女じゃないか!次回は上手くやってやるさ!
しかし、次の日にこの男性医師が妊婦の陰部の写真や動画を隠し撮りしていた事が公になり退職を余儀なくされてた。
当然だが、ターゲットに名前が上がり制裁をも受けていた。医師への復帰も無くなってしまったのだ。
赤ちゃんは順調に育っていると先生から太鼓判を押してくれた。
美和子はツワリにも耐え無理してでも子供の為栄養を摂っている。
「美和子ちゃん、そんなに無理をして食べなくても」
「駄目よ!赤ちゃんに栄養を与えるのが私の仕事なんだから!」
赤ちゃんに良いことは何でもやった。
そして、自分の健康にも気を配っている
邪魔な髪の毛も、肩口でバッサリと切り落とした。
「美和子ちゃん……」
お母さんは驚いていたが、私は気にもならなかった。勿論後でお母さんに髪を揃えて貰ったけどね。
「サトルさん、赤ちゃんまた私のお腹を蹴ったわ!ふふふ、私幸せだよ」
☆
「お母さん……陣痛がきた……」
「美和子ちゃん今病院に電話するから用意しておいて」
「分かったわ。お母さんありがとう」
母親は美和子を、見てニッコリと微笑んだ。
「おんぎゃーーつ!」
「おんぎゃーーつ!」
「美和さん!元気な女の子ですよ!」
ああ、サトルさん……私ちゃんと元気な赤ちゃんを産みましたよ!
「喜んでくれるかなサトルさん」
「きっと喜んでくれるとも、だから心配なんかするんでない!」
「ありがとうお母さん」
二人は喜び合いながら涙を流していた。
命名 美和 聡子
「ん〜、もろ神島さんの名前ね」
「勿論よサトルさんの子供だもん」
嬉しそうに赤ちゃんを、あやす美和子はもう立派お母さんだ。
大事に大事に育てられた聡子は幼稚園に通う事になったが、ある問題に美和子は頭を抱えていた。
「私、幼稚園に行けないわ、折角の聡子の入園式なのに……」
「えっ?ああ、お父さん達も沢山来るもね。美和子ちゃんは……大丈夫じゃないよね」
男性恐怖症が、一向に良くならなかったのだ。更に悪化しているようだ。
前は神島さんが、つききっりで美和子を見てくれたが、今はその神島さんが居ない。
仕方が無いわ私とお父さんとで言って来るわよ。ちゃんとビデオも撮って来るからね
「……お願いねお母さん」
「任されたわ!」
聡子が小学生になってもそれは変わらなかった。
担任の先生が男性だったとしても、顔を合わせる事はしなかった。
学校側には家庭訪問などは女性の先生をお願いしていた。
しかし、今年に限り女性の先生に変わり男性の先生が家庭訪問に現れたのだ。
それもしつこくて、断っても玄関先に居続けていた。困り果てた母親が警察官を呼び引き取って貰った。
後から聞いた話では、聡子の友達から聡子のお母さんが物凄くキレイで胸も大きいと聞いて居ても経っても居られなかったと言う事だった。
その二日後にターゲットに指定されて学校に現れなくなってた。
何故か、美和子に絡んだ男達が全てターゲットにされていた。
薄々美和子も気づいていた。
マツザカコーポレーションの役員や上司の性犯罪の暴露やマンハントによる過度な制裁、そして会社の没落、獄門坂一族の根絶やしの粛清、北方玲華やメグミも対象になり死んでいった。
これは、悪魔のAIの仕業だと、サトルさんが命じたのだと私は思った。
サトルさんはこんな馬鹿な私の為に災いの元を完全に排除してくれたのだ。
二度と手を出さないようにと……
流石に私もやり過ぎと思っていたが、全く落ち度のない被害者を自分達の欲望だけで暴力を振るい、有り余る金の力でねじ伏せて来た。
そのツケがこの結果なのだろうと思う。だから私はメグミ達の末路に否定も肯定もしない。因果応報だ。
多くの人の苦しみや恨み辛みが生んだ当然の結果だと思った。
聡子が中学生に上がる頃私のスマホに通知が入った。
「えっ!LoLo MK-III……ロロちゃん?」
『お姉ちゃん久しぶり!ロロだよ!』
「ロロちゃんが私を助けて助けてくれたんだね」
『う〜ん、まあそうだね。お兄ちゃんのお願いだしね。徹底的にやったよ!
それと、お姉ちゃんの名義で口座を開いて各種投資をしているからね。確認してみてよ』
「えっ!私の名義で?」
スマホのアプリを見つけタップした。
「あ、これね……?!!えっ!!
何コレ!!十億超えているじゃない!」
『ふふふ、凄いでしょうお兄ちゃんのアプリの銭ゲバ君には負けていないよ』
「ロロちゃんまさか、金融操作してないよね」
『し、してないよ……かな?』
あ、やっているな!と美和子は思った。
「サトルさんも十億超えているの?」
『お兄ちゃんのは三億ぐらいだね。
良子さんも同じだよ』
「サトルさん良子さんと仲良くやっているんだ……」
『殆どが良子さんのストレス解消の為だね。新太君の大学進学が原因かな』
「新太君大学生なんだ」
『お姉ちゃん、聡子ちゃんの高校は滅多西高にするといいよ、そしたらまたお兄ちゃんと一緒に暮らせると思うよ!』
「えっ!サトルさんとまた暮らせるの?
ロロちゃんが言うんだから間違い無いと思うけど私サトルさんに嫌われているからどうかなぁ」
『大丈夫だよ僕に任してよ』
「ロロちゃんって僕っ子なのね」
『お兄ちゃんの好みに合わせただけだよ』




