第67話 北方玲華吊される
北方玲華は獄門坂偽善次郎の磔の前に立てられている柱に吊るされた。
酷い火傷を負っているが、まだ息がある。偽善次郎の前の柱には妻や妾、その子供のみならず獄門坂の血筋一族が吊るされていた。
玲華は手首を縛られて柱の上部にある滑車にロープを通して引き揚げられる。
地上1メートルの所に足場がありその上に立たされるのだ。
手首だけで吊るすと肩が外れいずれ腕が重みで千切れて地面に落ちるからだ。
「おい!あれを見ろ!偽善次郎が何か言っているぞ!」
「泣いているのか?」
「人類史上に残る見るクズヤローがか?」
「これは、あれだな、ボーナスイベントだ北方を痛ぶってみようぜ!」
男はバットで玲華の脛をフルスィングでへし折る。
ばっき!
「ぐっぎゃぁぁぁぁぁーーー!!」
力無い悲鳴が偽善次郎の耳にも届いた。
「玲華ぁーっ!!お前達止めるんだー!」
ポーン!
「おお、100万ゲットだぜ!」
「俺にも振込まれているわ」
「ほう、あの獄門坂がね?
妻や妾達、子供も目の前で嬲られて殺されても眉一つ動かさなかった男がね……」
「皆んなもう一つ稼ぎをするぞー!」
「「おう!」」
北方玲華の呼吸が止まった。
「ん?死んだか、どうせ生死不問だもんな、よってたかって、殴りつけたから見た目酷いよね」
「マッパだけどピクリともしねぇや」
ガッハハハハと笑う男達がいた。
「おお、獄門坂のあの姿自分の女がやられる側になると、こうもヘタれるのか?」
「相手の事など何も考えていないんだろ
だから、こんな目に遭っても理解できないだよ」
「こうなって、当たり前か早く死ねばいいのに、とつくづく思うね」
獄門坂の周りには百本以上の柱が立っていて、老若男女の全ての血縁者や側近の人間が吊るされている。
「まさしく、一族根絶やしだな、物凄い怨念を感じるわ!どれ程の酷い目に遭ったんだろう」
「俺なんか、恐ろしいわ」
残りの柱は後一本になった。
その最後の一人は松坂メグミだった。
☆
私は宮田さんいや、カオリに付き添われて実家に帰って来てた。
今カオリはスマホの画面を見て真剣に悩んでいる。
「どうしたの?カオリ」
「あ、ごめん美和子気が付かなくて」
「良いのよ、そんな事私はカオリに感謝の気持ちしかないわ」
えへっと照れくさそうに笑うカオリだった。
「マンハントが募集されていてね。
ターゲットを見つけて、ある条件を満たすとお金が貰えるんだって。所謂賞金稼ぎだね」
「ある条件って?」
「多分美和子の想像通りだと思うよ
被害者が訴えないと動け無い警察より
余程実用的というか被害者よりだね。
特に性犯罪なんてその典型でしょう
今も大手を振って表通りを歩いているなんて、絶対許される事では無いと私は思うんだけどね」
「カオリは強いのね」
「美和子の方がずうーと強いよ!男性恐怖症なのに一人で署まできたのだから」
伏し目がちに美和子は言った。
「それは、多分だけとサトル、元夫に誘導されたんでないかと、思うんだ」
ちょっと顔を赤らめる美和子は凄く色っぽく見えた。
「へぇー、いきなり突き離されてもまだ好きなんだね?」
「当然だよ!私の大好きで大切な人だからサトルさんは!」
「でも、離婚されたんでしょう?」
「!?」
まさしく、美和子の今の顔は漫画の表現の「ガーーン」と言う言葉の通りだ。
「あっ!ゴメン美和子そんなつもりは無かったのよ、元旦那さんいやサトルさんは何か、考えがあったんだよ!愛し合う2人が簡単に別れる事なんかない筈でしょう」
冷や汗をかきながら、必死になって宥めるカオリ。心に傷を負っている相手に軽々しく言ってはなら無い言葉だったと猛省する。
もう、講習会で習ったでしょう!
「御免なさい美和子……」
サトルさんの事情……酢蛾の逮捕……
テレビや週刊誌のマツザカの暴露……
会社の崖から落ちるような業績悪化……
突然だけど狙ったように現れた謎の組織マンハント……サトルさん……
悪魔のAI……LoLoMk-III……
ああ、サトルさんは私の為に怒ってくれたんだわ!
「美和子!本当御免なさい!」
「えっ?何カオリ……少し考え事してたわ
私こそ、御免なさい」
「わー!ビックリしたよ美和子!ほれ触って見て私の胸ドッキンコ、ドッキンコしてるでしょう」
力ずくて私の手を自分の胸に当てるカオリ。その馬鹿力に抵抗虚しくその胸を揉んでやった。
あっ!私は聖母のように優しくカオリに微笑む。それに気付いたカオリは烈火の如く暴れ出した。
「ムキーー!どうせ私のオッパイは貧乳よ!美和子のオッパイがデカ過ぎるんだー!」
「きゃ!」
自分のベッドに押し倒されて、散々カオリに胸を揉みしだかれた。
「はぁ、はぁ、糞っ!モゲロ!」
「はぁ、はぁ、酷いよカオリ……」
二人してベッドに横たわっていた。
「美和子、私明日帰るね」
「えっ?まだ幾らでも泊まっていてもいいんだよ!ウチの両親も喜んでいるし!
第一私がいて欲しいよ!」
それを聞いてニコっと笑うカオリ。
「ありがとう美和子、私に帰ったら警察官を辞めてマンハントになるわ。
大手を振って歩く犯罪者に正義の鉄槌を喰らわしたいのよ。
泣き寝入りするしか無い被害者の怨念をクズ共に思っ切りブチ込みたくなったんだ」
一瞬何を言っているのか分からなかったが、カオリの熱意は伝わった。
「そう、カオリなら被害者の気持ちも分かってあげられるし、その力もある……
だけど、無理はしないでね!
相手も死に物狂いで抵抗してくるから
って私か言わなくても分かっているか
でも、本当に無茶はしたら駄目だよ!
これはお姉さんとの約束だよ!」
「あん!私の方がどう見てもお姉さんじゃないか!」
「無茶しそうでお姉ちゃん心配だよ!」
「ムキーー!!」
「イヤーー!!カオリやめてーー!!」




