第67話 北方玲華の焦り
早くしないとご主人様の体力が持たない何も手掛かりが掴めない……
メールの発信元は直ぐに特定できたがその先の大元が全くの不明なのだ。
その発信元は利用されただけであった。
北方玲華は焦っていた。
「もう一度よく考えるのだ玲華。何か見落としがある筈だ」
「事の始まりは……神島美和子か?」
ご主人様への貢ぎ物の用意の為、事を進めていたが……
その後のマツザカの凋落はあっという間だった。
「神島サトル……奴なのか?……」
玲華は神島サトルのデーターを引っ張り出した。
「……これか……やっと見つけたわ!」
更に調べると出て来た。
「悪魔のAI……世界中を動かしてご主人様をおとしめる……見事だわ」
「神島サトル!お前だけは大衆の前でなぶり殺してやる!親戚縁者とともにな!」
☆
ピリリリリリ、ピリリリリリ!
サトルの携帯電話が着信を知らせる。
知らない電話からだった。
「はい、もしもし……」
「神島君久しぶりね」
「あん?誰だお前!」
「もう忘れてしまったの?私よ私」
「あーもういいや電話切るぞ」
ポッチ、サトルは本当に電話を切った。
「なっ!アイツ本当に切った!」
慌ててリダイヤルする玲華、少しムッとしている。
ピリリリリリ、ピリリリリリ!
「なんだよー!しつけぇな」
「北方玲華よ!」
「北方?あーあ、呼んでないのに人の結婚式で余計な事言った馬鹿か!
その馬鹿が何のようだ?」
「貴方はトコトン失礼ね!」
「まあ、ズンドコ失礼なのは態とだ!
気にすんなよ。で何の用だ」
はぁ〜と相手の溜め息が聞こえた。
「貴方と話しがしたくてね。少しツラ貸してくんない?」
「相変わらず口が悪いなオメェは」
「貴方にだけは言われたく無いわよ」
「いいぜ、五、六分で済むんだろ?
場所は」
「赤咲町のカフェ卍固めよ」
「ここらか遠いだろ!俺歩きたぞ!
もっと近くにしろよ!」
「じゃ貴方が決めて」
「面倒くさいな……青地池のカフェ、スコーピオンデスロックでいいや」
「……分かったわ今から一時間後ね」
返事もしないでサトルは電話を切った。
「何焦ってんだよ!もう時間の問題じゃんか、ジジイだけ生かしているけど、そこまで持たんだろ……だからか?」
「ジジイの前で俺をなぶり殺して少しでも溜飲を下げるのか、馬鹿の考えそうな事だよ」
サトルは久方ぶりの外出という事で買ったは良いが着ないでタンスの肥やしになっていた黒のTシャツを出した。
雄犬ブランドの新作で赤い極太の筆字で「負け犬」と縦書きされていた。
バックプリントは横書きされている。
下はウエストゴムのハーフパンツだ。
相手は気を使う程の奴ではないからな。
「うぇ〜!まだ外は暑いや」
カランコロンとドアベルを鳴らしながらカフェ、スコーピオンデスロックに入ったサトル。
「うひょ〜!涼しいや」
「あ、俺半袖で半ズボンの選択、間違ったかも……多分すぐに寒くなるんじゃね」
北国出身でも寒い物は寒いのだ。
「スンマソン、ホットコーヒーで」
早速オーダーをして糞女を探す。
「あれ?まだ来ていない」
「神島君!ここ」
あ、居たわ。変装していたのかマンハントから命狙われているからな、勿論Aランクでだ。
北方玲華の正面に座ると早速おしぼりで顔を拭くサトル。それをジト目で見ているのが北方玲華なのだ。
「貴方なの?」
「何の事だ」
「今回の件」
「ん、そんなの自業自得だろ因果応報とも言うがね。何今までの事正当化してんだよ!何しても許されるとでも、思っていたか?」
「……」
「まあ、これは世界中の人々の意見だが
俺もそう思うよ」
「……」
「人類史上、最低のクズの認定にギネスに載ってたな。獄門坂偽善次郎。
皆んな同じ事考えていたんだろ?」
「……」
「なあ、一つきいていいか」
「なによ!」
「やっと口を開いたな、どうでもいいけど。お前の父と母はどうなった?
母親はジジイの妾になったんだろ
やはり金なのか?
父親はどうした?偽善次郎に邪魔だから海外で殺されたんだろ?
そんなジジイに拘るお前の気持ちが知りたいのよ、だから話に応じた」
「……」
「だんまりか、母親みたいに金なのか?
保身か?それともある程度の身分か?
だだのジジイコンか?」
「貴様!私を愚弄するな!」
急に立ち上がり俺にコップの水をぶち撒ける。
「アッハハハハ!図星か北方玲華!」
「糞っが!お前達やってしまいなさい!」
「お前達!早くコイツを……?」
玲華が後ろを振り向くと仕込みの手下が全員テーブルに伏せていた。
「なっ!」
目を見開く玲華、漸く先手を打たれた事に気付いたようだ。
「ただの馬鹿が悪魔のAIに勝てると思っていたのか?ジジイの指示通りにしか動けない傀儡が何血迷ってるんだ!」
そこにカフェのマスターがトレイにコーヒーポットを乗せ背後から現れ。
「ホットコーヒーをお持ちしました。
おっと!すみません手が滑りました」
マスターの手から離れた熱々のコーヒーポットが玲華の頭に落とされた。
「ギヤッーーーーーッ!!!」
「熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い!」
床を転げ回る北方玲華、頭から顔に掛けて酷い火傷を負ってしまったのだ。
「お疲れですマスター!いやマンハントのチームスコーピオンさん」
「イヤイヤ、良い仕事を振ってくれてありがとうございます神島さん」
「こちらこそ、ありがとうございます
一人ではこいつらの思う壺でしたから
助かりました」
ポン!
「おっ、百万入っている。本当に早いですねマンハントは……それじゃ最後の仕上げをやりますか」
二つのチームがターゲット達を拘束して獄門坂の磔の広場に向かうようだ。
思わぬ大金が入って皆んなホクホク顔だ笑顔が溢れている。
サトルは遠くの景色を観ていた。
後少しで全てが終わる。




