第63話 マンハント
シゲルとタケオと俺の三人でチームを作りマンハントに応募した。
ターゲットを見つけ出し指示された条件で痛め付けるだけで金が貰えるのだ。
「マサ!この辺だよな?」
俺はスマホからの指示によってターゲットを追っている。
「あったぞ、あのビルに違いない行くぞ」
「気を付けろよ相手も反撃して来るからな」
こちらの武器は金属バットにホームセンターで買った山菜採り用のナタとかナイフ、クマ避け用の催涙スプレーだ。
「居た!呑気に焼肉を食っているぜ!」
「自分がターゲットになっている事もしらないんだろ」
「知れ渡る前に稼がないとなぁ」
「なぁ、あのクズ何をやったんだ?」
シゲルが聞いて来る。
「うんとな……ああ、あのマツザカコーポレーションの連中みたいな事だ」
「じゃ、晒せば済むんじゃないの」
「だよな」
「中には独り身や単身で来ている奴もいてそいつらが偽って隠れ潜んでいるんだってよ!」
「それでマンハントか、納得だぜ」
「あの糞のランクはCだ」
「マサ条件は?」
「ああ、手足をへし折るだとよチームで150万」
「なんか、微妙だな」
「日を改めると同じターゲットに3回攻撃出来るそうだ。おっ、いっぺんに3箇所ブチ折っても良いみたいだ」
「ただし器物の破損は無し殺しも無し、手足以外の攻撃も不許可だそうだ」
「ふう〜ん、指をへし折るのは?」
「おっ!可だとよ」
「じゃ、折る場所が無くなれば指でいいのか」
「親切設計だな、後は罪状を伝えるだけでいいそうだ」
「心迄折るとボーナスが出るみたいだぞ」
「俄然やる気が出てきたわ!」
「おい、ターゲットが出てきた俺が跡をつけるお前らは先回りして待機だ」
「了解!マサが背後から行くんだな」
「そーゆこと」
俺は離れたところから、跡をつけシゲル達に伝える。
「ん?何だお前らは!」
「久保さんだね」
タケオが尋ねると相手の顔つきが変わった。
「俺らはマンハント、賞金稼ぎさ」
マンハント……
「アンタの首に賞金が掛けられてんだよ
随分と糞みたい事ばかりやって来たんだな久保さんよ」
「GMZって糞とクズしかいねぇんだな
だから、俺達マンハントが被害者の代わりに復讐するんだよ!」
「ふん、たった二人で俺をどうにか出来るとでも思ってんじゃねぇよ!」
スマホを見たシゲルは一言言った。
「ボクシングだってよマサ!」
「なっ!後ろにもう一人だと!」
「遅ぇよ!久保さんよ!」
マサはバットを振りかぶり背後から久保の右脚の膝に向かって思い切りっ振り抜いた。
ボッキッ!
「グギャーーーーー!!!」
久保は右脚を押さえて転げ回る。
膝の骨が折れる鈍い音がした。
「へっ!右脚貰ったぜ!」
チャリ〜ン!
「何だ今の音?」
マサがスマホを見ると、なんともう賞金が振り込まれていた。
「おい!今ので金が振り込まれている」
「そうか、やり甲斐のある仕事だな」
「シゲル行くぞ!」
「おうよタケオ!」
二人は駆け出し久保の手脚を折って行く。
「ぐぁっーー!!やめろ!やめてくれ!」
「はあ、何でこういう奴らは自分だけ助けて貰えると思ってんのかな?」
溜め息混じりのマサが、久保を睨みつける。
「なぁ、久保よお前は被害者の女性がやめてくれと言って辞めたのか?
当然やめなかっただろ」
「俺達も同じさ!一人三本だサッサ終わらせるぞ!」
「ヒャハッーー!!死ねや糞ゴミ君!」
周りにいた連中が止めようとするがマサが声を高らかに宣言する。
「我々は正式なマンハントのチームだ!
コイツは国中を駄目にしたGMZのゴミだ!罪状はマツザカコーポレーションと同じ事をしたクズだ!従ってマンハントの指示に従って制裁を加えている!」
「GMZのゴミか!」
「これは、すまない事をした」
「お仕事ご苦労様です!」
「俺もマンハントになるか」
「良し!引き上げるぞ!」
「このゴミは?」
「今日の0時迄に死ななければ殺した事にならない。だから放置だな」
「皆さんお騒がせしました」
「おー!頑張れよ!」
「期待してんぞ!」
まばらながら、拍手も送られた。
気分はヒーローが正義の味方だな。
この一部始終はSNSで配信されマンハントは一躍有名になった。
それと、GMZの残党がまだいる事に憤りを感じる者もいる。
この国を自分の欲だけに動かしめちゃくちゃにして多くの死者を出した事は誰もが忘れる筈もない。
その最たる人物は自宅跡地に残った正門前で全裸磔で晒されている。人類史上で、もっとも下衆でクズな男獄門坂偽善次郎だ。
この男の前では、何本もの柱が立てられそこには獄門坂一族が吊るされている
生きている者もいるが、大半は殺されて腐りかけ蠅がたかっていた。
Aランクは生死を問わず獄門坂の前で吊るさなければ、ならないのである。
「ひでぇな、完全に獄門坂偽善次郎への
意趣返しだ」
「まあ、コイツの所為で多くの人間の人生を狂わして来たのは、間違いないからな」
「ツラを見ると石でも投げたくなるぜ」
だからか、防弾ガラスの箱の中に居るのは……
男は手頃な石を拾い偽善次郎に力一杯投げつけたが、硬質な音を立てて足元に転がった。
お前もただの石ころなんだよ!




