第65話 宮田カオリ
あれから何日が経ったんだろう?
今私は実家の私の部屋に閉じ籠っている
何もしたくない。いや、何も出来ない。
カーテンを閉め切った暗い部屋でサトルさんを思い出す度また泣いていた。
あの日、離婚届を書いて、取り敢えず必要物だけ持ってサトルさんの家を出た。
サトルさんが投げつけたメモリーステック……
それは愚かな私を嘲笑う物だった。
ゴロコロとキャリーバッグを引き摺りなから、気がつくと私は警察署の前に立っていた。
勇気を振り絞り中に入り、窓口で女性の方をお願いした。
男性警官が話なら自分が聴くとイヤラシイ笑みを浮かべながら、私の頭の先から足元まで舐め回すかのように見て来る
気持ち悪い。
「女性の方をお願いします!!」
私の大きな声が静かな警察署に響き渡る。他の警官が何事かとこちらの様子を伺いだした。
それを、察した男性警官は小さな舌打ちをした。
「宮田、変わってくれ」
「はい、分かりました」
お前が下心丸出しで対応すっからだ!
と宮田は口に出しては言えなかった。
「では改めて私宮田が承ります
でご相談の方は……」
「えっ!」
周りを見る美和子に何かを察した宮田は空き部屋に移動した。
「ここなら、私達だけですよ」
「ありがとうございます」
力無く答え美和子は意を決してUSBメモリーを宮田に渡した。
「これは……」
「私、騙されてレイプされました……」
また涙が溢れ出してきた。あれ程にまで泣いたのに……サトルさん……
宮田がノートPCで再生して見ると生々しいやり取りが残されていた。
「分かりました。まずは被害届を出しましょう」
美和子は黙って頷いた。
突然にドアがノックされいきなり男が入って来た。
「イヤーーー!!どうして入ってくるんですかーー!!」
パニクる美和子は宮田の背中に隠れた。
宮田の背に捕まる美和子の手は震えていた。
「おう、宮田俺が手伝いに来てやったぞ
後は任せろや」
「暗山さん!これはデリケートな問題です察して下さい!」
「だから、俺が変わると言ってるんだろ」
「宮田さん……貴方を信じて見ようと思いましたが、私を騙していた……」
ボソリと宮田の肩越しから美和子の声が聞こえてきた。
パッと、PCの画面が明るくなりテキスト文が現れた。
暗山、青地、署長はマツザカコーポレーションと癒着している。この人を守らないとお前も粛清の対象となる。
「なっ!これは……」
私にどうしろと、下っ端に何が出来るのよ!相手は相当格上の上司……詰んだわ私……
「さあ、変われ宮田!」
「嫌だっーー!!嫌だーー!!誰か助けてくださいっ!お願いしますっ!!助けてくださいっ!」
ありったけの大声で叫びだす美和子にハッと我に帰った宮田は暗山に言い放った。
「暗山さん……いや、暗山容疑者か!
全てバレているぞ!
マツザカコーポレーションの事もな」
くっそが!一か八かハッタリをかましてやる!この人を守らないと私も相当ヤバそうだ!
「ふん、下っ端がに何が出来る?どっちの言い分を聞くか明らかだろ」
「くっ、その通りだ……」
「おい!どうしたんだ!」
何人かの男性警官が部屋に押し掛けて来て私を見ていた。
「ひぃっ!」
警察に訴えをしに来たのが私の誤ち……
人を信じたのが私の罪……
美和子にはもう、生きる望みなど無かった。楽になりたいと、そう思うだけだった。
「暗山さんここに居たのですか?随分と
探しましたよ」
「ん?なんだ」
「皆んな確保だ。抵抗するなら二度と抵抗出来ないくらい痛めつけてもいいぞ!
我々警察官の面汚しだ!」
「覚悟しろよ!暗山!」
「なっ!グッアッ!やめろ!ギャッ!」
三人にの警官に殴る蹴るの暴行を受け大人しくなると暗山は引き摺られて行った。
「留置所に入れられたんだわ
だから、安心して私は貴方の味方だよ」
「宮田さん……」
「えーっ!いきなり離婚だなんて旦那酷くない?」
「サトルさんは何も悪くない!悪いのはサトルさんを信じなかった私だから……」
「えっ?あっ!御免なさい言い過ぎた」
「いいのよ、貴方は悪く無いから、それに私を守ってくれたし」
美和子は力無く笑った。
「貴方これからどうするのよ?」
「美和子でいいよ年も近いでしょうから実家に戻るわ」
「男性恐怖症で一人で帰れるの?」
「……多分大丈夫だと……思う」
「ゲームに出て来るゾンビの様な顔して大丈夫な訳ないじゃ無い!
決めたわ!私が実家まで送り届ける」
「いや、それは駄目でしょ宮田さんも仕事があるし」
「カオリ、カオリよカオリと呼んで!」
「はぁ、」
私は手続きを終わらしてカオリと警察署をでた。
カオリの運転する軽自動車に乗り走り出した。その方がが余計な人間と会う事も無いからだとカオリが言っていた。




