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第59話 酢蛾の逮捕

 警察署署長の小木は朝から頭を抱えていた。


 マツザカコーポレーションの酢蛾の逮捕状が裁判所から降りたのだ。

それだけなら、いつもの如く嫌疑不十分で釈放すればそれで済む事だった。


 が、今回はそれも出来ない。匿名のメールが私個人宛に届いたのだ。

私のこれ迄の法に背いた行動が細かく書かれていたのだ。


 調べて見て私は驚愕した。差し出し人のところが公安委員会からだった。


 何故これが私の所に……公安は何を掴んでいる……ただ今回のマツザカコーポレーションの事案は正規に扱えと言う事らしい。


 私の罪には一言も触れられていない。

今回は見逃すと言うことか……


「しかし、それではあのお方の怒りを買う事に繋がる……くそっ!どうしたらいいんだ!」



 俺はスーツを着て出掛ける準備をしていた。玄関ドアを開けるとそこには良子さんが腕組みして俺を睨んでいた。


「あっ!良子さんおはよーございます」


ヤベぇ!良子さんお冠だよ。


「おはよーじゃないわよサトル三和子ちゃんはどうしたのよ!」


 良子さん三和子を心配してくれているんだ。だからといってまた、無防備な姿で外に出ないで欲しい。


「やっぱり分かりました?」


「やっぱりじゃないわよ!死にそうな顔でキャリーバッグを引き摺ってんだからな!」


見られていたんだ。


「すみません!良子さん帰って来たら必ず話しますので!御免なさい!」


 俺は良子さんの横を走り抜け、急ぎ足で階段を降りて行った。


「あっ!おいこらっ!サトル!」


 不味い不味い良子さんに、知られてしまった。いずれ分かる事だけど昨日の今日だぞ早すぎるわ!




「丁度いい時間だな」


俺は勤務している経理部に入る。


 タイムカードなど押さないし鞄も持って来てないしネクタイもしていない。


仕事をする気は全くないからだ。


 今日は酢蛾が逮捕される瞬間を見に来ただけだから。


「おっはよー!皆さんグッドモーニングってか!」


「なっ!神島お前福岡支社に行っている筈だろう!」


中田が騒ぎ出すコイツはいつも煩い。


「貴様!何故ここにいる!」


「何焦ってんだよバカが!」


「何だって!貴様上司に向かってその態度は何だ!」


「はあ〜その上司様が新婚の新妻を騙くらかし、脅かして、レイプするのが仕事ですか?性犯罪者の酢蛾さん?」


「なんだって三和子さんを騙してレイプ」


 何人かが立ち上がり大声で断罪し始めた。そりゃ、こんな大事件、騒ぐよな。


「抱き心地は最高だろう俺が保証してやるよ。泣き叫ぶ女を強姦して、さぞかし気持ち良かったんでないの酢蛾」


「何を根拠にそんな事を言う名誉毀損で訴えるぞ!」


「その前に相当の数の損害賠償の訴えが上がっているけど、お前の全ての財産で賄えれるのか?」


「皆んな覚えているか、毎年入る綺麗な子が次々と辞めていったのは、このようなカラクリがあった訳だ。

ここの役員共はそう言う連中だ!」


「この会社はどうなるんだよ!」


「次の仕事なんて直ぐに見つからないわ」


「あー!家のローンが……」


「まあ、暫くは辛抱だな、ここは優秀な人間が揃っているから、その内どっかの会社が買うんでないの」


「そんな悠長な……」


 外が騒がしくなって来た。やっと到着かちゃんと仕事すれよ!おまわりさん。


「酢蛾!お迎えが来ましたぜ!

ああ、お前にも娘がいたな」


「貴様!イナミに手を出して見ろ殺してやる」


「あん?俺の嫁に手を出したお前は如何なんだよ!答えろてみろよ!糞っが!

まあ、二十年以上は確定だからイナミちゃんの成人式も結婚式も観られないな

その前に犯罪者との縁を切っているか」


「貴様!……」


「なあ、三和子の気持ち考えた事あるか」


「……」


「無言か、刑務所の中で考えなハゲ!」


 ドアが急に開かれ大勢の警察官が雪崩込んできた。


「逮捕の瞬間だぞ!動画を撮る事を薦めるよ必ずバスるから」


 それを、聞いた何人かはスマホをコソッと取り出した。おおぴっらにやって警察に取り上げられたら、たまったモンではない。


「酢蛾だな!恐喝、婦女暴行、不同意性交の容疑で逮捕する!」


 カヂャ、カヂャ、と酢蛾の両手に手錠が掛けられていく。


 それでも、何故か酢蛾の表情に余裕がある。


「あー、一つ言い忘れていた。闇の総統の力は期待しない方がいいぞ」


「なに!」


「管轄の警察署長とその協力者も捕まったからだよ。誰もお前なんか見向きもしない家族さえもな!じゃ、ちゃんと生きて刑期を終えろよ、バ〜カ」


 酢蛾はうな垂れ警察官に支えられながら部屋を出て行った。


「神島!三和子ちゃんは大丈夫なのか?」


「ああ、ちゃんと離婚したから実家に帰ったんじゃないの」


「なっ!お前っ!夫婦だろうに!」


「元な、それに中田も見ていただろう俺の出張話、あれ程馬鹿臭い話しはねぇよ!」


「あいつは俺が会社の金三億も横領したと吹き込まれそれを信じた」


「俺の業務は金関係には一切関わらなかったのによ!」


「更に何回も俺に福岡行きを薦めた。

理由を聞いても、俺の為しか言わなかった。直ぐに気づいたよ口止めされているってな」


「そんな事って……それとメグミさんは」


「そのメグミが三和子に吹き込んだんだよ

酢蛾達とグルだったんだ」


「メグミさんが……そんな事あるはずが無い……」


「いや、関係大アリだぞ!

あの糞女は獄門坂偽善次郎の本当の娘だ

糞親父の命に逆らえる筈無いだろ」


「えっ!あのGMZホールディングス会長

闇の総統と呼ばれる事実上のこの国支配者……獄門坂偽善次郎……メグミさんが」


説明ありがとう中田。


「ああ、その糞女な今頃街のチンピラ共に肉便器にされているんで無いかな?

多分そうなるだろうと俺は思うよ」


肉便器だと!……


「お前はこれからどうするのよ」


「俺か?まあ、獄門坂が破滅していくのをゆっくりと見届けるよ」


「獄門坂が破滅?」


「したらいいなと思っているよ。俺達をこんな目に合わせたんだ許せる筈が無いだろう」


「そうだよな……」


「お前どっかに行くのか?」


「いんや、あの部屋にいるよグレ子もいるしね」


「分かった!何かあったら顔を出すよ」


「いいって気にすんなよ!じゃぁな中田」


「おう!気をしっかり持つんだぞ!」


「お前もな」



 その日の午後にはネットニュースやワイドショーなどでマツザカコーポレーションの闇の実態が暴かれ女性に鬼畜な行為があからさまに報道されて行った。


 勿論、実名、顔写真付きでだ。

偽善者ぶった著名人が世紀の悪の如く弾劾していく様をみて俺は笑ってしまった

当然、グループトップの獄門坂の批判も忘れずにして欲しいものだ。


「あっ!良子さんに説明しに行かなくちゃ

彼女相当怒っていたからな三和子の事を妹のように思っていたから」


 メッチャ怒られるのを覚悟して良子さん家のチャイムを押した。


ピンポ〜ン!


「は〜い!」


「あの神島です」


 ドアチェーンが外されロックが外されドアが少し開くと、いきなり手を掴まれ中に引き摺り込まれた。


 抱き締められ口の中に舌を捩じ込まれ後ろからドアの閉まる音とガヂャとロックされる音が聞こえてた。


ぷっはぁーー!!


「良子さん!何をするんですか!」


「サトル辛かったんだなぁ!私が慰めてやるからな、目一杯私に甘えろよ!」


「良子さん!新太君が見ています!」


「大丈夫だ、新太は私とサトルが仲良しにしていれば、嬉しいそうだ」


「えっ?なんで」


「サトルがお父さんに思えるそうだ。

そして、私達が本当の家族だと言っていたぞ!」


えっ?新太君……


「サトル!私はいつでも準備おつけだぞ

早速寝室に行こう!」


「ちょっと待ってくださいよ!ちゃんとお話ししますから」


「それは、事後のピロートークで済ましていいぞ」


「まずは座って下さい」


仕方が無いサッサと終わらせるか。


「あれ?新太君は」


「近所の友達の所でゲームしに行っている

それに、話はロロちゃんから全て聞いているしな」


「はっ!ロロが?良子さんに……」


「おう、いきなりスマホが話し掛けてくるから新手の詐欺かと思ったぞ!」


「はあ、何かすみませんね」


「最初美和子ちゃんが狙われていたなんてビックリしたけど」


「情け無い男で済みません。嫁も守れないし何もしなかったクズですから……

人間として失格だと思います」


「私も初めはそう思ったよ。

けどこれで良かったんだろ犯された三和子ちゃんには気の毒だけど二人で逃げても、もっと酷い事されていたかも知れないんだろう」


「俺はそう考えました。多少の時間稼ぎですけどね。今回酢蛾が捕まりその後マツザカコーポレーションの役員共も逮捕されるでしょう。会社の信頼はマイナスに落ち株価も暴落するでしょう会社の価値なんてゼロですよ」


「確かに」


「そんな中で三和子に拘っている暇は無いと踏んだんですけど、奴らは俺をターゲットにするでしょう。だから俺の側では危ないんです。だけどあいつは絶対に俺から離れない」


「たしかに三和子ちゃんならそうする

けど、生贄みたいな事しなくても」


「ですよね。頭から三和子は俺の話を聞かなかったそれどころか糞女のメグミの話を鵜呑みににして、俺を福岡に行かせようとしていた」


「そうなんだ」


「そんな姿を見ていたらどうでも良くなってね、何回も何故か聞いたんですけど同じ事しか言わないんです。

メグミに口止めされていて俺よりもあの糞女を信じたんですよ」


「腹いせかな」


「腹いせねそうかも知れない。俺が五日も居なくなればやる事は決まってる。

騙され、脅され、レイプされると言ったんですけどね」


「それは三和子ちゃんどうかしている」


「俺が留守の間の五日間に毎日毎日糞親父共に三和子が犯されるのは流石に俺も我慢が出来ない!口で言っても言う事を聞かない。だから最悪の選択を取ったんです」


「はあ、なんか切ないね」


「誰も俺の選択に避難するでしょうね」


「でも、どうやって音声を録ったの」


「彼女最近スマートウォッチをしていますね」


「あのピンクのバントのヤツね嬉しそうにしていたわよ」


「まあ、ペアで買ったんですけど、そのスマートウォッチの中をちょいちょっと弄って改造したんです」


「へぇ〜流石工学部だね」


「スマートウォッチには血圧や心拍数が測れますよね」


「私も少し血圧が高いかもサトル私にもプレゼントして」


「良子さんは俺の隣に座って大きな胸を押し付けてくる。


「あうっ!やめてください!良子さん!

それで、心拍数が急激に上がると俺に通知が来てボイスレコーダーが起動するんです」


「心拍数?」


「そうです!襲われたり、ショックな事を言われたりしたら心拍数が上がりますよね」


「ああ、それでね分かったわ、私にも必要だよねサトル」


「はあ、用意しておきますバントの色はどうしますか」


「サトルと同じ色!」


躊躇なく答える良子さん。







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