第42話 ゲーセン
「カニと和牛は最高だね」
「毎日でもいいよお母さん」
「それじゃ新しいお父さんにお願いしないとね」
「お願いします!サトルお父さん」
僕に頭を下げる小学一年生。
「えっ?毎日は無理だなぁ、多分年に数回かな」
「何、気軽に返事をしているんですか!」
「あっ!御免なさい三和子さん」
「アンタらは相変わらずだな」
ケラケラ笑うメグミさん、笑うと胸が揺れる、まさか下着を着けていない?
中田は気づいていないのか?
「新太君、このホテルにゲーセンがあるよカラオケとかバーもあるって」
「ゲーセン!僕行きたい」、
「それじゃ皆んなで行きましょう」
彼女達が半纏を羽織りホテルの通路を歩くと何故か背徳感が湧いてくる。
これ、婚前旅行だよな……不倫旅行じゃないよなぁ……
新太君は僕と中田に手を繋がれていて嬉しそうだ。偶にブランコのように持ち上げられて、はしゃいでる中田が。
「ほう、大して数も無いと思ったら中々のもんでしょう」
「凄いわね街中と変わらないわ」
「あー!パチモンのぬいぐるみだ!」
「クレーンゲームね」
「やってみるか新太君」
「うん!」
五回連続してミス。
「あ〜全然とれないや〜」
「ふふふ、この中田のお兄ちゃんに任せなさい新太君」
「えっ?お兄ちゃんが!」
中田は手持ちの百円硬貨を積み上げて
一枚を投入すると、クレーンゲーム機が輝き出しポップな音楽が流れ出した。
「行くぞ!」
いつもより、真剣な中田。お前仕事にも真剣になれよと僕達は思っただろう。
「ふっ、貰った」
「なっ!あんな大きいのを一発で取りやがった」
「やったー!凄いよお兄ちゃん!」
「中田さん凄い〜!」
彼女達が拍手をすると、鼻高々に前髪をかき上げる中田を見ると無性に殴りたくなった。
「ふっ、こんなの朝飯いやトイレでメグミさんに祈りを捧げる前さ」
うわー、コイツ言い切ったよ!
笑顔のメグミさんが中田に近づくとショートアッパーを鳩尾に叩き込んだ。
「ぐぇっ!」
「駄目だよメグミ直ぐに手を出したらDVで中田さんに訴えられるよ」
「コイツとは付き合っていないわ!」
「じゃ、暴力女として……」
「ひたひ!ひだいひよ!はめてへふみ」
(痛い!痛いよ!やめてメグミ)
メグミさんに両のほっぺを思い切り引っ張られて涙目の三和子さんは可愛いと僕は思った。
「アソコにレースゲームがあるよ皆んなで競争しょうよ!」
良子さんが話題を変えてくれて助かった三和子さん、だがほっぺには赤い指の後が残っていた。
中田を置いてゲーム機のシートに座る。
中田は隣のお姉さんに話し掛けられていたし、鼻の下が伸びていた。
新太君はまだ小さいから僕の膝の上に座らせアクセルとブレーキは僕が担当するハンドルワークは新太君だ。
「皆んな用意は良いかな?お金を入れるよ
メニュー設定をしてスタートだ」
「うっひょー!ロケットスタート成功!」
メグミさんがトップに躍り出た。
後方はダンゴ状態で第一のコーナーに差し掛かると僕と三和子さんの車が弾き飛ばされてコースアウトしてしまった。
ワナワナと震える三和子さん。
「ゴリャー!絶対ブチ抜きブッ飛ばす!」
えっ!三和子さん?
皆んなも唖然とした。
婚約者のサトル君と寝てもひたすら自分の番が来るのを楽しみに待っている。
清楚な女の子が……
豹変した!
「オラ!オラ!邪魔だ!邪魔だ!
全員ブッ飛ばす!」
「ひぇー!」
僕のタマタマが縮み上がるのを感じた。
何故か、子供の頃に見たビデオを思い出した。頭の可笑しいトラックに執拗に追い回され何回も殺されそうになって、逃げ惑う普通のおじさんの事を……
「ひぃ!」
彼女には絶対ハンドルを握らせないと、この時心に誓った。
その後五回レースをしたが誰も三和子さんの前には出れなかった。
その事を不満に思ったのか、三和子さんは先頭に出ると態とスピードを落とし蛇行運転を始めたのであった。
「ひぇー!ゲームで煽り運転を体験するとは思わなかったワイ!」
三和子さんの心の闇を知ってサトルは暫く悩んだとか悩まなかったとか、
「じゃ部屋に帰りますか」
「あー!楽しかったわサトルさん」
「……そうですね……」
「チョットあれ見てよ」
良子さんの指差す方を見ると、中田が三人の女性と一緒にクレーンゲームをしていた。
「あれは、ナンパされたようね」
ふむふむと頷くメグミさん。
中田の人相が変わっていたのだ。
目尻は下がり鼻の下も下がっている福笑いにしたら、爆笑が取れそうな程だ。
「おーい、中田ー!先に帰っているからなお前はユックリ楽しんで来いよー!」
「あっ!待って僕も行くよ」
「いいって、朝レストランでな」
「お兄さんまだお礼もしていないのに帰るんですか?」
上目遣いのお姉さん、浴衣が少しはだけて谷間が見える。
「いいえ!お願いします!」
欲望に忠実な男中田。
☆
僕はメグミさんの一撃で産まれたばかりの子鹿ように震えていると、ふと良い香りが漂って来た。
「あのー、貴方クレーンゲームお上手なのね」
「えっ?」
そこには色気に満ちたオバサ……お姉さんがいたのだ。オッパイも大きい……
「クレーンゲームですか?」
「そうなのよ、もう五千円も使って一つも取れないのよ、私達悔しくてそしたら貴方が一発で大きなぬいぐるみを取ったのを見て、図々しいとは思うけどお願いしたいのよ。勿論貴方が望むお礼はするわよ」
人差し指で僕の胸筋を撫でて最後に乳首を押さえて来た。
「はうっ!」
それじゃ、お願いねと彼女は僕の腕に絡み付きて来た。
お、オッパイが……
「ミカ、交渉成立ね」
「流石ねミカに抗える男は、滅多にいないよね」
「早速だけど、あの右奥の猫さんのスマホカバーお願いね」
「任せてください」
中田は百円を投入してクレーンゲーム機を起動させる。
「行きます!」
狙い澄ました眼差しにお姉さん達はキュンキュンしていた。
上手くリングに引っ掛けて引き摺り落とす。
「うわー!凄い!凄いよ!」
抱きつくお姉さんに中田の心臓は破裂寸前だ!怒涛の血流は頭に回らず中田の子中田に集中するとカチカチになってしまった。
次は私よと、茶髪で肩までのストレートのサラサラヘア少し垂れ目の可愛いお姉さんだ。
「一番奥のワンちゃんのカバーよ埋もれているから全然取れないのよ」
「あい!頑張ります!3、4回は必要になりますけど」
「大丈夫よお金なら沢山あるから、早く入れて下さい」
えっ!早く入れろと……あ、お金か……思わず暴発しそうになったわ!メグミさん達には劣るし年上だし、だけど世間一般からしたら美人だよな。
一人納得する中田氏。
「行きます!」
一回二回と邪魔な景品を退けて本命をさらけ出す。
「次で決めますよ!」
アームが絶妙な所を押さえて持ちあげると取り口に直接落とされた。
「キャーー!!凄い!凄い!素敵!」
僕は彼女から熱烈なキッスを貰った勿論ベロつきだ!
ああ、僕のファーストキッス……メグミさんの為に取っておいたのに……でもこんな可愛いお姉さんなら、僕は幸せだ。
「うっ!すみません!お、お花を摘んできます……」
「え?はい、どうぞ」
中田はトイレに駆け込んだ。
「ふふ、彼良いんじゃない私好きだわ」
「あの子は経験ないかもね」
「私達が大人の世界に導いてあげなくちゃね。折角北海道まで来たんだから楽しまなくちゃ!」
三人のお姉さんは頭を寄せて何やら話しあっていた。
「ヤバいヤバい!暴発しちゃっよ!
アレはまずいって!いきなりキスされて舌まで入れられたら流石がの僕も耐えられないよ……神島に着いて来て本当に良かったと思うよ。ありがとう神島」
キレイに処理した中田は洗面所の鏡を覗き込み気持ち悪い笑顔をしていた。
もし、三和子がここに居たら悲鳴を上げているだろう。
水道で濡れた手で髪を整えお姉さん達の待つゲーセンに向かう中田は、少し自信ありげに歩んでいた。
「いや、お待たせ致しました。夕食に少し飲み過ぎたようです。では続きを」
「最後は私よ」
茶髪のキレイなポニーテールの目元涼しげな美人お姉さんだ
「左端のガラスにへばり付いているパンダちゃんよ」
「あれですね僕に任せて下さい」
きりっと白い歯を見せて笑う中田。
きっとメグミが見ていたらお腹を抱えて爆笑しているに違いない程だ。
しかし、ポニーテールのお姉さんはジワッと来たようだ。
心配そうに中田の背中に寄り添うが大きな胸が押しつけられて中田の心は乱されていた。
「あっ!」
痛恨のミス!
「すみません、もう一回」
またもやミス!
「えーなんでだー!」
「カオルアンタが胸を押し付けるからよ」
「えっ!そうなん?」
「では、改めて」
カタッン!
今度は上手くゲット出来た。
「凄い!凄い!お姉さん少し濡れてしまったかも」
「えっえーー!!」
中田の首にしがみ付き小声で耳元でそっと囁くお姉さんに二発目の暴発が起こってしまった。
「すみません!お花摘みに……」
また、駆けて行った中田を見て確信するお姉さん達。
「間違いないよね」
「童貞だね」
「童貞が一度覚えたらエテ公みたいになって、しまうんでしょう」
「じゃ、三人にで丁度良いじゃない」
「だよね」
話が纏まったようだ。
トイレで二度目の処理を終えた中田は鏡の前で考えていた。
この好感触は間違いない僕は魔法使いにはなれないんだ。
それも、いきなり三人とだぞ!
あの、美人のお姉さん達とだ。本当神島ありがとうよ一生着いていくよ!
でも、こんな事あるのかな?
まさか、騙されてるとか、お金を要求されたり、怖いおじさんが出てくるとか、ありえるわ……
まあ、やったら直ぐに逃げよう、それでも駄目なら躊躇せずに警察だな
ボイスレコーダーを起動しておくか。
中田はスマホのアプリをタップした。
「お待たせしました」
「いえ、待っていないわよ。
これ見てお揃いのスマホカバー登別に来た記念にと簡単には手に入らない物を探して居たんだけど、中々見つからなくて偶々ゲームセンターに来たらコレを見つけたのよ」
「これなら、旅の記念になるとね」
三人がそれぞれ説明してくれた。
「でも、私達滅多にゲームなんてしないから諦め掛けていたのよ」
「そしたら貴方が簡単に大きなぬいぐるみを取っていたから無理を承知でお願いしたのよ」
「そうでしたか、お役に立ち僕も嬉しいですよ」
「じゃ、次に行きましょう」
「え?次!」
「カラオケよりバーが良いでしょう
勿論、私達の奢りだよ感謝の気持ち受け取ってね」
茶髪のセミロングの一番オッパイが大きい人がウィンクをする。
「えっえーー!!」
僕はまた血液が逆流するのを感じた。
「ギャハハハハ!えー!中田さんは皆んなから中田氏さんって呼ばれているの?」
と、ポニーテールのカオルさん。
「初対面でも中出しするんですか?
私にも中出しする鬼畜なんですか?」
と、少し垂れ目の肩口ストレートのエリナさん
えっ?出来るんならしたいけど……
「そうなんですよー!まだ本物も見た事無いのに酷いですよね」
「こんな良い男がまだ童貞なんて私が貰っても良いかしら」
セミロングで首元で軽く束ねているオッパイの大きなミカさん
「またまた、冗談をミカさんったら」
僕達はボックス席で僕が真ん中両脇にミカさんエリナさん正面にカオルさんが座っている。席は固定じゃ無くて常時入れ替わってるのだ。
その度に僕に枝垂れかかってきて少しはだけた浴衣の胸元を見せて来る。
深い谷間とチラチラ見えるレースの透けた下着に僕の頭はクラクラしている。
僕は彼女達の左手を見て気づいてしまった。
「ミカさん達は旦那さんが居るんですよね」
「あら、分かっていたの?」
「いえ、左手の薬指に指輪の跡がありますのでそれで」
「流石ね中田さんは洞察力もあるのね」
「そうだよ皆んな旦那持ち、そして経営者なんだ」
エリナさんが教えてくれた。
「やはり、そうなんですか?だから皆さん美しいんだ」
「あら、中田さんのお友達の女性達の方が断然キレイじゃない」
カオルさんが水割りを飲みながら僕を見る。
「まあ、そうなんですけど……」
あー、何となく事情は察したわ。
「で話の続きね、お金と地位があるから勘違いしちゃって自分がモテると思っているんでしょうね」
「何も考えもなく女遊びばかりなのよ
まあ、じきに事業も傾くと私達は考えているわ」
カオルさんが愚痴る。
「その為の準備もしっかりとしているから
心配しないで」
心配はしていないけど彼女達も色々とあるんだな。
「……はい」
「だから、憂さ晴らしに北海道に来たのよ」
「そしたら、貴方と出逢った。
なんて運命的なんでしょう中田さん」
ミカさんはタバコを一口吸い横を向いて煙を吐き出した。
「僕もそう思います」
「貴方も経験が無いだけで知識はあるのでしょう」
「それりゃ、結構AVも観ていますから」
「ふふ、正直でよろしい」
「恐縮ですミカさん」
「まずは、飲んで飲んで楽しみましょう」
「はい!カンパ〜イ!」
「ギャハハハハ!エリナちゃんのオッパイ柔らか〜い!」
「いや〜ん中田さんのエッチ〜」
「中田さん閉店の時間だって」
「えー!もう終わりなんでしゅか?」
「じゃ、私達の部屋で飲み直しましょう」
「サンセ〜イ!に三票〜!」
「チョット飲まし過ぎたかしら」
「この人なら全然平気だよ多分」
「ホテルのバーだからボラれなくて安心よね少し割高でもね」
「だよね」
「さあ、男はゲットした凱旋だ!」
「おーー!!やるぞーー!!」
「久しぶりだからな!!」




