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第39話 置き去りにされた男

 哀れ中田氏、誰にも気にされずに、バーベキューが繰り広げられて行った。


キャハハハハ!

お父様のエッチ!

私もう、飲めませんわ!


 美女二人を両脇に侍らせ、上機嫌の糞親父。母さんの目付きが悪くなっている事に気付いていない。


「サトルさん、コレ美味しいですよ。

はい、あ〜ん」


「え?あ〜ん」


「嬉しい!私のを食べてくれるのね」


「あ、そうだね。お返しにコレをどうぞ」


 僕はタラバガニの一番太い脚をへし折り、15センチ位キッチンハサミで殻を取り除き三和子さんに渡した。


「うわー!大きい!」


 三和子さんは両手で根元を掴み上からカプッと咥えた。


ぐっ!コレは想定していなかった。


 美女が上から咥えもぐもぐしているのだ。童貞の中田なら即暴発の事案だ!


 流石、天然の三和子さんだ!

途中でジュルジュル吸うのは是非、辞めて

下さい!


「あっん?糞親父コッチ見んな!」


「サトルさん!大きくて美味しいよ!」


 辞めてください!三和子さん!

僕もヤバいでしゅ!


 漸くして日も傾き出して、三和子さんの横顔がオレンジに染まる頃。


 彼女は焼きトウキビをモグモグしていた。時折冷たい缶ビールをグビッと飲み込みリスさんのように、トウキビに齧りついていた。その姿も可愛いと思った。


「カニや帆立、焼きトウキビに冷たいビール、北海道に来たんだと実感します」


「そりゃ、良かった三和子さんに喜んで貰って僕も嬉しいよ」


「サトルさん……」


「三和子さん……」


「糞ニィ、皆んなの前でキスすんなよ」


「はっ!……だ、誰がするか!」


「今する気だったろ!口がタコさんになってたぞ!キモいわ!」


ぐっ、糞がっ!




「サトルさん、そろそろ」


「ああ、そうだね。それじゃ宴もたけなわですが、その後の予定もある方もいらっしゃると思いますので、これでお開きといたします。長い時間ありがとうございました」


パチパチパチパチと拍手が起こった。


「お父様、お母様、美紅ちゃん本当にありがとうございます」


「おお、三和子さん一ヶ月後にまた会えるんだ楽しみにしてるよ」


「お父様……」


「美人の三和子ちゃんの花嫁姿期待してるわね」


「お母様……」


「お姉ちゃん泣くのはまだ早いよ!」


「美紅ちゃん……」


 三和子さんと美紅は鼻を啜りながらお互いを抱きしめ合った。


「お世話になりました。

ありがとうございます!」


「うんうん、また来いよ!もっと美味いもんと、美味い酒用意しておくからな」


「本当に楽しみにしてますからね」


流石、メグミさん。


「ジィちゃん、バァちゃん、またね」


「新太君もまた来るんだよ!」


「分かった!バァちゃん!」


「こら新太!バァちゃんなんて言ったら駄目でしょう!」


「あら、良いのよ良子さん、私がそう呼んでと頼んだから」


「お母様……」


「ジィちゃんは見た目ジジィだから良いのよ良子さん」


「美紅ちゃんまで」


「それじゃ一ヶ月後お会い出来るのを楽しみにしています!」


「お邪魔しました!」


「おお、元気でな!」


「「「はい!」」」



「糞ニィ、中田氏さんは?」


「あ、忘れてたわ!起きたら僕の部屋を使わせてやって」


「分かった」


 僕達は中田を置き去りにしてタクシーで宿泊しているホテルに向かった。



「お父さん、私達だけでは大の男を運べないわ」


「だな、じきに目覚めるだろうよ」


死んだように眠る中田に溜息を吐く。


「いいよ、お父さん私が見てるよ

炭もまだ有るしもう少し此処にいるよ

食べ損ねた物もあるしね」


「そうか、何かあったら呼ぶんだぞ!」


「あいよ」


 美紅は炭を足し、火バサミで炭を整えると、また赤い炎が立ち上がった。


「起きてんでしょう中田さん」


「気付いていた?」


「さっきね」


「横に座ったら」


「ああ、」


 美紅はトウキビを焼きながら中田に聞いた。


「中田さんはニィと同じ部署なんでしょ

今はなんの研究してんの?」


「研究?ウチの部署は経理部だよ

メグミさんも三和子さんも良子さんは違うけどね」


「えっ!経理部?フェラーリでランチ配達する様な途轍もない無駄遣いね!中田さんの会社の社長って馬鹿がやってんの?」


「えっ?馬鹿って!」


「ニィはコッチで優秀過ぎて、東京の超難関大学の大学院から、スカウトと言うか引き抜かれたのよ」


「えー!大学院からの引き抜き?」


「そ、AI技術の超エキスパートからね」


プッシュ!


 缶ビールのリングプルを引き起こし、グビッと一口、口にする。


「んわー!冷えててうんメェー!」


冷静さを取り戻した中田。


「アイツそんなに優秀なのになんで、ウチの会社には入ったんだ?」


「ニィがヤバいのを作っちゃたんだよ!

課題を与えると、完璧にこなす迄止まらない奴を、途中で中止もできない欠陥品をね。まるでニィみたいだよ、中途半端が嫌いだからね」


「コンピュータを止めれば良いんじゃ無い

プラグを抜くとか」


「それがね、命令を受けるとそのコンピュータから自ら消えてしまうんだって、その後色々な機器に潜り込んで情報を集めて精査して実行するんだってさ」


「なんか、凄いな近未来のSFだね」


「試しに同じ研究室の女の子に付き纏うしつこいストーカーの排除を命令したら、三日後にいなくなったんだって!それで教授によって開発中止になったんだってさ」


「え、マジ!」


「今だに行方不明だって言っていたけど

ありゃ、ネタだね私をビビらせようとしたんだよ」


「そっか、安心したわ神島に恨みを買って消されるかも、と思ったよ」


「ニィはそんな事しないよ」


「分かっているよ」


 焼けたトウキビに醤油を塗ると香ばしい香りが辺りに漂い、思わずお腹が鳴ってしまった。


「で、私が悪魔のAIだからDAIデビルAIってつけたんだよ。でもニィは」


「LoLo MKーIIIと付けたんだろ」


 唖然とした美紅は齧りつこうとしたトウキビを落としてしまった。


「なに?ズバリだった?」


 コクコクと頷く美紅、中田はメグミさんの次に可愛いと思った。


 地面に転がったトウキビの汚れを払い自分のトウキビを美紅に渡し落としたトウキビに齧り付いた。


「おっ!採れたてはやっぱり美味しいな」


「ニィ、去年の冷凍物って言ってたよ」


「そうか、でも美味いぞ!」


 神島、奴はやはり、ただもんではなかったか……だからモテるんだ……


 ボソッと言った中田にそれは違うと口に出せなかった。


何故か中田が可哀想に思えたから。


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