第37話 逆パンダ
「おーい!神島こっちだー!
ギャハハハ!楽しいぞ神島!
今日から俺はハーレム王じゃ!」
「あっ!旦那様が迎えに来た」
「新太、新しいお父さんが来たよ!」
「うん!お兄ちゃんが新しいお父さんなんだね!」
「いや、全部違うから……コイツら飲み過ぎだろ!中田ここから離れるぞ!」
イェー!
「ほら、メグミさんも良子さんも行きますよ」
「サトル君オンブして〜よ」
「あー、ずるいメグミちゃん!私もオンブして〜!」
「二人もおぶれませんよ!一人中田にして貰えば?」
「「嫌よ!」」
えー!とは、僕が言った。
「中田、新太君と荷物を頼む!」
オーライ!
僕は両脇にメグミさんと良子さんを抱え二人は僕の首に手を回している。側から見れば三人で肩を組んでいるように見えるだろ。
「うっ!思ったより重い……」
「なによ!私達は呑むと体重がマイナスになるのよ!それは良子さんのオッパイの重さだわ」
「嫌ー!言わないで恥ずかしいー!」
今更かよ!とは言えなかった。
少し進むと良子さんがトンデモない事を言い始めた。
「サトルちゃんは良い匂いがしますねぇ
お姉ちゃん我慢出来ないから今日も乱入しますよ」
何を言っているんだこの人は!
「あーズルイ良子さん!私も乱入する!」
糞!この酔っ払いめ!
「イェー!新太君!俺は無敵だぞー!」
突然と現れ道を塞ぐ男達。
「兄さんよ彼女達まだ飲みたがっているだろ?俺達が面倒見るから置いてきな」
おー!見るからに頭の悪そうな三人組だ。何故こうゆう輩は一人で行動出来ないのか毎回、不思議に思うよ。
「邪魔だから退いてくれるか」
「兄さんよ、あんましイキがるなよ」
「炎天下のなか二人を抱えていると触れている所が汗ばむんだ、ぐぇっ!!」
膝をつきそうな所を耐えたサトルは男達を睨みつけた。
「テメェ卑怯だぞ!イキナリ殴り掛かるとは男の風上にも置けない!糞どもめ!」
「いや、今のはそこの美人の姉ちゃんが、殴ったろ」
「どっちだ!二人共美人だから、分からんだろ!」
「若い方の……」
ジロリと良子さんに睨まれるチンピラ
ひっ!とビビり後ずさった。
「兎に角邪魔だ退け!」
「悪いなコッチも退ける訳は行かないんだよ」
想定済みの確信犯か。
「新太君!お母さんの防犯ブザーを鳴らして!」
「分かった。新しいお父さん!」
「へっ?」
新太君は良子さんのバッグに付いてある革タグ風のブザーを鳴らした。
ファン、ファン、ファン、ファン、ファン、
外国のパトカーのような音が辺りに響き渡った。
「あっ!糞っ!テメェらさっさと拉致ってずらかるぞ!」
「兄貴任せろ!やるぞ!」
向かってくるチンピラ二人を右脚の蹴りを鳩尾に喰らわせ動けなくさせる。
「やっぱり、サトル君は強いんだ」
「三和子ちゃんが言ってたね、マスター級チョット手前だって」
ウンウンと納得の二人だが自分で歩けるのなら離れて欲しいと思う、サトルだった。
ファン、ファン、ファン、ファン、ファン、
未だになり続ける防犯ブザーに運営スタッフと警備の人達が駆け付けて来た。
「やっと来たか、そこのチンピラが女性を無理矢理拉致ろうとして来たんだ!
早く拘束して警察に引き渡して下さい!」
何故か躊躇している運営スタッフと警備の者達。
まさか、コイツらもか?あの日の三和子さんのトラウマが思い出される。
「何をしている?逃げられるぞ!」
「あ、いや、その……」
やっぱりか……僕は大声で叫んだ。
「美しい女性の皆さん!ここの運営とチンピラは、グルです!裏で繋がっていますよ!」
えっ?とこちらを振り向く人達。
「お酒に強いこの二人が酔うなんて何かを盛られたと思います!」
うっそ!マジで。
「次は美しい貴女が狙われるでしょう!
良く考えて下さい!何かを見落としていませんか?」
次は私なの?
「貴女の目の前の男性、素性はハッキリしてますか?騙されるのは自己責任で済ます風潮ですが、その後の人生も耐えられますか?よーく、考えて下さい!」
こいつ、ナンパしてしつこく誘って来たわね。
「兎に角、美しい女性の人達は直ぐに避難したほうが懸命だと存じます!」
ヤバいわね、逃げないといけないわ。
「急いだ方がいいですよ!僕達みたいに力づくで来ますからチンピラは!」
周りが、ざわつくなか、一人、二人と席を立ち上がり足速に会場を出ていく。
えっ?殆どの女性客が逃げ出したようだ。
「何とかなったかな?」
「凄いね、サトルちゃんはお姉ちゃん少し濡れちゃった」
「何を言っているのかな、良子さんは」
「ふふ、良いのよ、また後でね」
ファン、ファン、ファン、ファン、ファン、
防犯ブザーの音に本物のパトカーのサイレンの音が混ざり出した。
「ふう、来たかアンタ達もそこを動くなよ。ソイツは武道の達人で大会の決勝戦で相手を殺しちゃって負けになったけど、ヤバいのは変わらないからな」
まあ、ゲームの設定の話だが。
びびらせたかな、うんうん頷いてるから理解したんだろう。
警官がやって来て手短に説明したら僕達は直ぐに開放され、チンピラと運営スタッフと警備が応援のパトカーに乗せられて行った。ドナドナを思い出した。
帰りの車の中で僕は彼女達に聞いた。
何故サングラスを外したのかと。
この日射しだと日焼けして逆パンダになると言っていた。
逆に観てみたいわ!
アンタ達は日焼け止め塗っているんでしょう?それと来た時から見られていたから、いつもの事だと思っていたらしい。
十分ぐらいで僕の実家に着いた。
「すみません!お邪魔します」(メグミ)
「お世話になります」(良子)
「こんにちは!」(新太)
「お邪魔します」(中田)
「いや、いらっしゃあ……」
ジャバ、ジャバ、ジャバ、ジャバ、
「お前ら!またこぼしてんぞ!」
「はっ!何をするんだー!サトル!」
「アンタちゃんと拭いて置きなさいよ!」
「糞ニィ!」
「俺!関係無いだろ!」
苦笑いの三和子だった。




