第22話 付き添いサポート
三和子さんが僕の部屋に来る事はトントン拍子に誰の反対も無く決まった。
一人も文句を言わないとは……唇を噛んで血の涙を流しそうな同僚達は沢山居たようだ。態々握手を求め力いっぱい手を握り締めてくる奴ばかりだったよ。
おかげで書類の僕の字はダイイングメッセージみたいな途切れ途切れの断末のようだと横の二人に笑われた。
三和子さんの引っ越しは細かい物は運び終えていて、明日業者さんが来て大物を持ち込んでくれる事になっている。
「うふふ、明日からは本格的な二人の生活が始まるのね」
「あーそうだね」
今更感がぬぐえないのですが……
「何よ三和子、二人の生活って勿論明日は休日だから私も混ざるわよ!
朝まで愛し合いましょうよサトル君♡」
うっ!メグミさんがエロくみえる……
「駄目よサトルさんそっちを向いたら!」
無理矢理僕の頭を抑え自分の方に向ける三和子さん。ゴキッと鳴っては、いけない不味い音がした。
「グッエッ!」
「キャー!サトルさーん!」
「サトル君!しっかりしてー!」
「糞が!アイツら毎日イチャイチャしやがって!独り身の俺の気持ちも考えろよ!松坂さん、美和さん今夜もメインデッシュありがとうございます!」
「中田氏よ。そうカリカリするで無い。
女の子が逃げてしまうぞ!」
「山下お前もいつの間に清水さんと親しくなってんだよ!」
「ああ、彼女が色々と助けてくれたんだマジ天使だぜあの人は」
「で、やったのか?山下」
「ふっ!青いな中田氏よ!」
「お前!さっから、なかだし、中だしって言うなよ!俺は中田だ!」
「おお、すまぬ。彼女は凄いんだぞ!
軽く触れただけで俺は彼女によって天国に召されるのさ」
「お前チョロそうだもんな」
「今の私は気分がいい、が次はないぞ」
ふふ、内緒でやっていたアルバイトのおかげね。山下君はキープね
☆
「引っ越し屋さんの青山と申します今日は宜しくお願いします」
「こちらこそ、お願いします。
細々した物は終わっていますので後は家具くらいですね。冷蔵庫と数点の家具はそちらで、引き取りになりますよね。
不要な物まで買って貰えるなんて思ってもいませんでしたよ」
「お客様の要望で結構多いんですよ」
「あ、こちら依頼主の美和さん」
僕の背中に隠れるように様子を伺っていた三和子さんを前に出した。
「今日は宜しくお願いします」
一言だけで充分だ。
「彼女、男性が苦手なもんで、その辺の
配慮もお願いしますね」
えっ!と言う顔の青山さん、気を取り直して改めて彼は言った。
「承知しました。全員に周知させます」
よろしくね。と僕、
チャラそうなバイトの兄ちゃん二人がチラチラとコチラを伺っている。
まあ、三和子さん美人だもな、
ってあんまり見んなよ彼女が萎縮しちゃうだろうが!
作業は一時間程で大方片付いた。
その間に管理会社の者が来て退去の手続もを終わらせた。
後は簡単な掃除だけで良いそうだ。
僕は中田氏から借りたボロい……風格のある軽自動車を引っ越し屋さんを先導するかのように僕のアパートに向かっていた。
「中出しさんも手伝ってくれるのね」
「メグミさんも来るって言ったら喜んで
目一杯働きますって張り切っていたよ」
「中出しさんのお友達の山下さんは用事があるとかで来れないと」
「清水さんとのデートだろう」
「えっ、そうなんだ」
「あ、それと中出しさんで無くて中田さんだからね。彼だけは氏を付けないようにしてよね」
「分かったわ」
中田氏……中出し……キャ!
三和子さんは理解してくれたようだ。
さあ、ここが僕の居城だ!
引っ越し屋さんの三人の顔が引き攣っているのが手に取るようにわかるぞ。
なぜ、あのマンションからこのボロアパートに移るか理解出来ないのだろう
僕もそう思う。
中から出て来たメグミさんを見て二度驚いたようだ。若いバイト君は大丈夫か?
僕は上司らしい青山さんをじーっと見る。彼も察してくれたようで二人にテキパキ指示をだす。
カンカンカンと鉄製の階段を登り降りする音が辺りに響き渡る。
事前にアパートの住人には引っ越しの事は伝えてある。ついでに蕎麦まで配って置いた。
「これにて、作業は全て終了です」
「ありがとうございます」
「では早速引っ越し料金を不用品の買い取りで……こちらになります」
「ほう、思った以上に安くなりました」
「買い取りがまだ新しく女性向きな物ですから」
「じゃ、これで」
「毎度ありがとうございます!」
彼らは僕に領収書を渡して帰って行った。
「それじゃ、中出し君働いて貰うわよ」
中田から中出し君にバージョンアップされていた中田君。
メグミさんに言われたら何も言い返せないだろう。僕もだけど……
「はい!頑張ります!め、メグミさん!」
おっ!コイツのメンタル、スゲェー!
一瞬メグミさんの目付きが悪くなったが何も言わないから、良いんだろうな?
中田は働いた。良く動いた。仕事でもそれくらいやれよと少しだけ思った。
「中出し君それは奥の部屋に運んで片付けて!」
「はい!メグミさん!」
次はあれよ!
「はい!メグミさん!」
ほう、息が合っているじゃないか!
僕は、三和子さんの下着を綺麗に丸めてタンスの中にしまい込んでいる。
これはたまたま、作業が僕に回って来ただけだ。下心なとありゃしない!
「サトルさん……」
もじもじと僕の後ろに立つ三和子さん。
「うん?」
「あの……おしっこ……」
「はい、分かりました行きましょう
メグミさん!チョッとトイレに行きます」
「りょーかい!三和子を、よろしくね!」
彼女はあの日から一人でトイレに行けなくなったのだ。当然だ見知らぬ気持ち悪いチャラい男二人にレイプされそうになったのだから!
三和子さんは便器に腰掛け、僕はドアを背に三和子さんを見下ろしている。
「サトルさん、ちゃんと見てて下さい」
「あ、はい!」
どこを見るんだよ!顔なのか?出る所なのか?その大きな胸なのか!
すみません。三和子さん僕の願望が出てしまいました。
チョロ、チョロ、ジョーー!
「終わりました……」
「はい、」
カラカラと僕はトイレットペーパーを巻き取りそっと三和子さんを拭いてあげると、彼女は小さな声をあげた。
本当辞めて欲しいわ。その声色っぽいんだよ!
何!羨ましいって?
ウンコをする時も一緒だぞ!勿論僕の場合もだ!最近、僕は小便も便器に座ってしている。僕の、顔が見えないと不安になるからだ。
二人の時はトイレのドアを開けっぱなしにすれば良いが他に人が居れば閉じ籠るしかないのだ。
会社では付き添いサポートと言う僕だけの許可を作って貰った。顔写真入りで美和さんのトイレに付き添う事が出来るIDカードだ。他でも何回か使った事があった。その時は名の知れた会社で良かったとつくづく思ったわ。
その代わり、沢山の恨みを買ったようだけど……
「僕の首に掴まって」
三和子さんを抱え起こすと僕は手慣れた仕草で下着やジーンズを履かせてあげた。自分でも分かっているよ、甘えやかし過ぎな事、それでも少しずつ良くなっていると思いますよ。
ふと、僕にキスをする三和子さん
「ありがとうサトルさん」
「いいえ、どうしたしまして三和子さん」
顔を赤らめる三和子さん、僕が何かをしたみたいじゃないか!
メグミさんに弄られるだろ!




