第23話 144個入り
無事に三和子さんの引っ越しも終わり
お礼に宅配寿司とオードブルをメグミさんと中田氏にご馳走をした。そこそこの値段で美味しかった。
「中田、ありがとうな本当助かったよ」
「中田さんありがとうございます。沢山食べて飲んで下さい」
三和子さんも僕が居るし同じ部署の同僚社員の中田には普通に接する事は出来るようだ。
美和さんの笑顔にメロメロな中田氏。更に松坂さんのお酌で有頂天になる。きっとやらかすわ。
何やらメグミさんと三和子さんの二人でコソコソ密談をしている。きっと碌でも無い事なんだろうなと思った。
中田氏明日は日曜だから車は置いて行く事にしたらしい。だから二人からドンドンお酌されているコップも少し小さめなのが、二人の魂胆が丸分かりなのだ。
「中田を酔わしてどうするの?」
僕はそーっとメグミさんに聞いた。
「家に帰させるのよ」
「はあ、そうですか」
邪魔者はさっさと酔い潰しタクシーに乗せて帰させる作戦らしい。
料金も先に払い、実家暮らしの中田の家電の番号も聞き出しタクシーの運転手さんに渡すつもりだ。酔っ払いは起きないからな。
小さいグラスは飲み切らせて量を飲ませる、つもりのようだ。理にかなっていると僕も思った。
「美和さん!僕は貴女がうちの部署に配属されてからは運命だと思ったんですよ!
毎日貴女から目が離せれなかった」
あー、語り出したよこの酔っ払いは!
今こんな話、三和子さんにするなよー!
「しかし、僕が行動に移す前に神島が先に動いてしまったのです……」
告白なのか?絶対しては駄目なパターンだろ中田氏よ!酔って告るなんて女の子に嫌われるぞ!
「しかし、神は僕を見捨てなかった。そこには新たな女神が僕の前に現れたのです。それこそがメグミさんなのです!」
ひゃあーー!最低です中田氏!
メグミさん相当顔が引き攣っているね。
中田よ、最悪な展開だぞ!三和子さんが駄目だからメグミさんにしたと言っているようなもんだぞ!誰が喜ぶか!
だから、メグミさんも駄目だよ態と中田のズボンにお酒をこぼしちゃ!
メグミさんに内腿を拭いてもらう中田の顔はとても見ていられなかったと言っておこう。
その隙に三和子さん、焼酎の炭酸ジュース割りはヤバいって氷で冷やせば分からないって……確信犯かい。
僕は、悪徳ガールズバーの手口のレクチャーを受けている気分だった。
財布からお金を抜かれ、怖いお兄さんが現れカード決済を無理矢理させられる。本当に恐ろしかった。絶対近づかないと心に誓ったのだった。
この二人が両隣に付かれたら僕でも逃げ切れないと思ったよ。二人共経験者なのかもしれない。
後で聞いたら、新人講習会で危機管理の内容にあったそうだ。僕の時は無かった時代が変わったんだと言ったら三つしか違わないのに親父臭いと言われた。
予定通り中田氏は潰れた。
二人のしたり顔が少し怖かった。
後は計画通りタクシーを呼び、中田氏を乗せて多めの料金を渡しお釣りはチップだと押し付けた。そして中田氏の家の電話番号を渡した。完璧だウィンウィンの成立なのだ僕は満足していたようだ。
部屋に戻ると茶の間は、古いアパートだからリビングとは言いづらい。これもグレ子さんの為なんだと自分に言い聞かせる。
で、キレイに片付けられた茶の間に布団が敷かれていた。
やはりこの為に中田氏を早く返したようだ。薄々は感じていたけど。
「あー!ゴム買って来るのを忘れてた!」
「ふふ、大丈夫よメグミ、私ちゃんと用意して置いたから」
三和子さんはタンスの一番上の引き出しから一箱持って来たのだ。
「アンタ!これ一箱144個入りじゃない
何箱買ったのよ!」
「えっ?ネットでしっかりした包装で中身が見えないからって、あったから五箱買ったよ」
「五箱!……144個入りで五箱720個だね、一日三個使うとして月30日として24ヶ月、約二年分かい」
「メグミが混ざれば二年も持たないでしょう?サトルさんも沢山出来るからもっと早く無くなるよね」
なんか、呆れるメグミさんと僕……
出すのは僕なんですけど分かって、いらしゃいます?三和子さん。
この日は10個越えました。
直ぐに買い足さないと真剣に悩んでる三和子さんだった。




