↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
護衛騎士?ヴィンセント  作者: れすた
第六章 西国ウェストリア王国
PR
57/91

第五十一話 西国ウェストリア王国ついに

 ウェストリア王国――王宮。


「……動いたか」


 参謀の前に、新たな報告が置かれていた。


「はい」


「皇国軍の一部が南へ向かったのだな?」


「間違いありません」


「目的は?」


「サウレア王国への援軍です。南方で発生した蛮族への対処かと」


「規模は?」


「相当数です」


「…………」


 参謀は地図を見る。


 皇国の兵力が、一時的とはいえ南へ割かれた。


 これまで恐れていた皇国の発展。


 道路。


 産業。


 交易。


 そしてサウレア王国との関係強化。


 待てば待つほど、皇国は豊かになる。


 強くなる。


 南国との結びつきも深くなる。


 ならば。


 動くとすれば――今。


「準備を進めろ」


「はっ」


「皇国軍が南方へ展開している間を逃すな」


 ウェストリア軍が、静かに動き始める。


 その時。


「参謀殿。もう一つ、報告がございます」


「なんだ?」


「皇国の第二皇女アイリスが、西方国境都市へ向かいました」


「……何?」


 参謀の表情が変わる。


「こちらの動きを察知したか?」


「可能性はあります」


「護衛は?」


「皇女親衛隊。そして――」


 密偵が一瞬、間を置く。


「例の護衛騎士、ヴィンセントです」


「…………」


 室内が静かになる。


「あの男か」


「はい」


 金色の鐘鎚。


 盗賊たちを一瞬で倒したという男。


 調べれば調べるほど、意味の分からない報告ばかりが増えていく護衛騎士。


「……他に増援は?」


「確認されておりません」


「皇国軍の大規模な西方移動は?」


「ありません」


「つまり」


 参謀が地図を見る。


「第二皇女と親衛隊。それに、あの男だけか」


「はい」


「…………」


 将軍の一人が口を開いた。


「計画を変更しますか?」


「…………」


 参謀は考える。


 ヴィンセントが強いことは分かっている。


 通常の騎士として考えてはいけないことも。


 だが。


「いや」


 参謀は首を横に振った。


「予定通り進める」


「よろしいので?」


「ああ」


 指先が地図上の国境へ置かれる。


「どれほど強かろうと、一人だ」


「…………」


「我々が動かすのは、数十人の盗賊ではない」


 歩兵。


 騎兵。


 弓兵。


 大量の補給物資。


 そして、それらを指揮する将軍たち。


「軍隊だ」


 参謀は静かに告げた。


「一人の護衛騎士が国境へ来た程度で、今さら計画を変える必要はない」


「はっ」


「むしろ、今を逃せば次の機会がいつ来るか分からん」


 皇国軍の一部は南方。


 皇都から西方への大規模な増援もない。


 確かに、例の男はいる。


 だが――一人。


「準備を続けろ」


「はっ!」


 将軍たちが立ち上がる。


 ウェストリアは。


 皇国軍の配置を把握していた。


 南方へ援軍が送られたことも。


 第二皇女アイリスが西方へ向かったことも。


 その隣にヴィンセントがいることさえ。


 すべて承知した上で。


 それでもなお。


 今こそが、最も勝機のある時だと判断した。


 その判断は。


 軍事的な常識に照らせば――


 決して、間違ってはいなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。