番外編⑥ 休日のリゼット
騎士団の訓練試合。
グラウンドでは、今日も騎士たちが野球に汗を流している。
その試合を眺めながら――
「…………」
リゼットは、のんびりと酒を飲んでいた。
今日は休日である。
だから本人としては、何も問題ないと思っているらしい。
「リゼット?」
アイリスが呆れたように声を掛ける。
「いくらお休みの日だからと言って、昼から騎士団の訓練試合を眺めながらお酒はどうかと思いますよ?」
「申し訳ありません……」
そう言いながらも、瓶を置く気配はない。
「それになんです、その食べ物は」
リゼットの隣には、酒のつまみらしきものがいくつも並んでいる。
「こちらも美味しいですよ!」
「そういう問題ではありませんわ」
アイリスがため息をつく。
「あなた、何本飲んだんですの?」
「えーっと……」
リゼットが周囲を見る。
空になった瓶が数本。
「……分かりません!」
「分からないほど飲んだんですの!?」
アイリスが頭を抱える。
そこへエルナがヴィンセントを見る。
「ヴィンセント?」
「はい?」
「何故そんなに甘いのですか?」
「え?」
ヴィンセントは少し困ったように笑った。
「いやぁ……」
ちらりとリゼットを見る。
リゼットは何事もなかったように、また一口飲んでいる。
「リゼット殿が綺麗で、頼まれると断れなくてですね……」
「…………」
アイリスとエルナが無言になる。
「つまり……」
アイリスがゆっくり口を開く。
「リゼットが『これください!』とお願いするたびに?」
「はい!」
「お酒も?」
「はい!」
「食べ物も?」
「はい!」
「全部?」
「はい!」
「…………」
アイリスはリゼットを見る。
そして、ヴィンセントを見る。
「……あなたたち、休日だからって自由すぎませんこと?」
「申し訳ありません!」
「えへへ……」
「リゼットは反省してください!」
「はい!」
返事だけは、とても良かった。




