第49章 最後の選択
世界が静まり返っていた。
神殿にいる全員の視線が、レイへと集まる。
目の前に浮かぶ三つの選択肢。
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【最後の選択】
① 虚界を完全に消滅させる
② 虚界と世界を融合させる
③ 新たな世界を創り直す
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どれも世界の運命を左右する答えだった。
創世の選定者が静かに言う。
「急いで答えを出してはいけません。」
「世界羅針盤は、あなたの本当の願いを映し出します。」
レイは拳を握る。
(虚界を消せば、世界は平和になるのか……?)
だが、その瞬間。
羅針盤の針が微かに震えた。
《警告》
《選択①の実行率──九十八・七%》
《副作用──世界均衡の崩壊》
レイの目が見開かれる。
「副作用……?」
創世の選定者が頷く。
「虚界は世界の"影"です。」
「光だけでは世界は存在できません。」
続いて、②へ視線を向ける。
《選択②の実行率──九十五%》
《予測結果──長期的な世界侵食を確認》
ゼロが顔をしかめる。
「融合すれば、争いは永遠に終わらない。」
最後に③を見る。
《選択③の実行率──百%》
《警告》
《現在世界の消滅を確認》
レイは思わず息を呑んだ。
「世界を創り直すって……。」
創世の選定者は悲しそうに目を伏せる。
「今生きている人々も、積み重ねてきた歴史も、一度すべて失われます。」
どれも選べない。
誰かを救えば、誰かを失う。
まさに、選定者へ与えられた最後の試練だった。
その時だった。
レイの手を、アリアがそっと握る。
「レイ。」
「……アリア。」
彼女は苦しそうな顔をしながらも、優しく笑った。
「今までの選択を思い出してください。」
「あなたは、一度だって"誰かを見捨てる"ことを選びませんでした。」
その言葉に、旅の記憶が蘇る。
初めて綻びを修復した日。
リュミエールで街の人々を守ったこと。
塔でアリアを助けたこと。
クロノシティで未来を変えたこと。
ティルで仲間たちを救ったこと。
すべて、自分は"どちらかを切り捨てる"道を選ばなかった。
(そうだ。)
(俺は……。)
レイはゆっくりと顔を上げた。
「この三つじゃない。」
その一言に、世界羅針盤が強く輝く。
《確認》
《選定者が第四の未来を要求》
神殿全体が揺れた。
創世の選定者が驚きの表情を浮かべる。
「まさか……!」
虚界王が初めて焦りを見せた。
「そんなことができるはずがない!」
レイは羅針盤へ向かって叫ぶ。
「俺は選ばない!」
「世界も!」
「虚界も!」
「誰の未来も切り捨てない!」
黄金の光が神殿を満たしていく。
羅針盤の針が止まり、新たな文字が浮かび上がった。
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【隠し選択を確認】
④ 光と闇が共に存在できる、新たな未来を創造する
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創世の選定者が涙を流す。
「……現れた。」
「誰も辿り着けなかった、本当の選択肢が。」
ゼロもノアも言葉を失う。
虚界王は怒りに満ちた咆哮を上げた。
「認めぬ!!」
「そんな未来は存在してはならん!!」
闇が爆発的に膨れ上がる。
神殿そのものを飲み込もうとするほどの力。
レイは静かに④へ手を伸ばした。
「俺が選ぶ未来は――。」
その瞬間、羅針盤の中心から眩い光が放たれる。
光はレイだけでなく、アリア、創世の選定者、そして虚界王までも包み込んだ。
世界最後の戦いは、ついに終幕へと向かう。




