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羅針盤が示す異世界で。  作者: AIで書い太郎
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第23章 「ルクスへの道」

 街道は思っていたよりも整備されていた。

 森を抜けた先には石畳こそないものの、荷馬車が何度も通った跡があり、人の気配がはっきりと感じられる。

「文明……!」

 ユウマが感動したように呟く。

「昨日まで命の危険しかなかったからな……」

「まだ安心するのは早いわよ」

 セリアは周囲を警戒しながら歩いている。

「街道は安全な分、“狙いやすい”場所でもあるの」

「盗賊とか?」

「ええ。それに――」

 言いかけて、彼女は後ろを見る。

 ルナが鼻歌を歌いながら歩いていた。

 危機感ゼロである。

「……この子、本当に襲われてたのよね?」

「うん! 気づいたらオオカミさんに囲まれてて!」

「普通そこはトラウマになるところなんだけど……」

 セリアが小さくため息をついた。

 ユウマは苦笑する。

「まあ元気でいいじゃん」

 その時。

 羅針盤の針が、カチッと小さく音を立てて動いた。

「また反応した」

「敵?」

「いや……前方、かな」

 三人は歩調を早める。

 しばらく進むと、道の脇に壊れた標識が見えた。

 倒れた木製の看板には、かろうじて文字が残っている。

『交易都市ルクス →』

「もうすぐね」

 セリアが言った瞬間。

 ――ドンッ!!

 地面が揺れた。

「なに!?」

 前方の丘の向こうから煙が上がる。

 そして悲鳴。

「きゃあああっ!」

「……街の方向だ!」

 三人は走り出した。

 丘を越えた瞬間、光景が目に入る。

 街の外門付近。

 荷馬車が倒れ、人々が逃げ惑っている。

 その中心にいたのは――。

「でか……」

 岩のような皮膚を持つ巨大な魔物。

 四足歩行の獣が、門を破壊しようとしていた。

「ロックボア……!」

 セリアの声が低くなる。

「本来は山岳地帯の魔物よ。こんな平地に出るなんて……」

 魔物が突進する。

 門の兵士たちが吹き飛ばされた。

「まずい!」

 ユウマの羅針盤が激しく震えた。

 針は一直線に魔物を指している。

(……また俺か)

 逃げる選択肢はなかった。

 あの門が壊れれば、街の人たちが危ない。

「セリア!」

「分かってる!」

 彼女は剣を構える。

「でも正面からは無理よ! あの装甲は――」

 その時。

 羅針盤の光が地面へ線を描いた。

 魔物の足元。

 そして少し離れた岩場。

「……弱点?」

 ユウマは直感した。

「セリア、右側の岩に誘導できるか!?」

「できるけど、理由は!?」

「たぶん転ばせられる!」

 一瞬の沈黙。

 そしてセリアは笑った。

「……信じるわ!」

 彼女が魔物の前へ飛び出す。

「こっちよ、鈍重!」

 挑発。

 ロックボアが咆哮し、突進する。

 地面が揺れる。

 セリアがギリギリで回避し、岩場へ誘導。

「今!」

 ユウマが羅針盤を掲げた。

「導け!!」

 光が地面に走る。

 岩の前に見えない段差のような力場が生まれる。

 魔物の足が引っかかった。

 ――ズガァァァン!!

 巨体が前のめりに転倒。

「弱点、首の下!」

「了解!」

 セリアの剣が閃く。

 一閃。

 二閃。

 三度目の斬撃が装甲の隙間に突き刺さった。

 魔物が断末魔を上げ、動きを止める。

 静寂。

 逃げていた人々が恐る恐る振り返った。

「……倒した?」

「うそだろ……」

 門の兵士が呆然と呟く。

 ユウマはその場にへたり込んだ。

「はぁ……また無茶した……」

 ルナが駆け寄ってくる。

「お兄ちゃんすごい!」

「いや、俺じゃなくてセリアが――」

「二人ともよ」

 セリアが息を整えながら微笑む。

 その時、門の上から声が響いた。

「そこの旅人たち! 名を名乗れ!」

 武装した兵士たちがこちらを見下ろしている。

 街の人々の視線も、一斉に集まった。

 ユウマは立ち上がり、少し戸惑いながら答える。

「えっと……ユウマです。旅人で……」

 兵士たちは顔を見合わせた。

「街を救った者として、ルクスは諸君を歓迎する!」

 門がゆっくりと開く。

 その向こうには――活気ある街並みが広がっていた。

 異世界で初めての都市。

 交易都市ルクス。

 ユウマの新しい物語が、本格的に動き出す場所だった。

 だがその背後で。

 誰にも気づかれず、羅針盤の針が一瞬だけ――逆方向を指した。

 まるで、“別の運命”を示すかのように。

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