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羅針盤が示す異世界で。  作者: AIで書い太郎
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第22章 「導きの先にある街」

 夜が明ける頃、森は薄い霧に包まれていた。

 鳥のさえずりが静かに響き、昨夜の激戦が嘘のような穏やかな朝だった。

 ユウマは焚き火の残り火に枝をくべながら、大きく息を吐いた。

「……生きてるな、俺」

「実感するタイミングが遅いわね」

 荷物をまとめていたセリアが苦笑する。

「普通は巨大魔物を倒した直後に思うものよ」

「いや、倒したのほぼセリアだからな?」

「きっかけを作ったのはあなたよ」

 そう言われ、ユウマは羅針盤を見る。

 昨夜、確かに力が発動した。

 地面に道を描き、魔物の動きを止めた光。

(あれ……俺がやったんだよな)

 未だに現実感がない。

「ねえ」

 セリアが真剣な声で言った。

「もう一度、あれを出せる?」

「え?」

「あなたの力。再現できるか確かめたいの」

 ユウマは頷き、羅針盤を握る。

 集中する。

 昨夜の感覚を思い出そうとする。

 ――導け。

 あの声。

 胸の奥に意識を向ける。

「……」

 しかし。

 何も起きない。

 羅針盤はただ静かに針を回しているだけだった。

「……出ない」

「まあ、そんなものよ」

 セリアは肩をすくめた。

「覚醒したばかりの力は安定しない。魔術師でも同じよ」

「魔術っていうか、俺の場合なんか違う気がするけど」

「ええ。だから厄介なの」

 彼女は森の奥――羅針盤が指す方向を見た。

「とりあえず進みましょう。このまま森に居続けるのは危険だわ」

「街とかあるのか?」

「半日歩けば小さな交易都市があるはずよ。ルクスという街」

 街。

 文明。

 人。

 その言葉に、ユウマの胸が少し軽くなる。

「……やっと異世界生活が始まる感じだな」

「むしろ今までが前座よ」

 二人は森を歩き始めた。

 朝露に濡れた草を踏みしめながら進む。

 しばらくすると、羅針盤の針がぴたりと一定方向を指した。

「まただ」

「街の方向?」

「いや……ちょっとズレてる」

 セリアが眉を寄せる。

「寄り道を促してるみたいね」

「嫌な予感しかしないんだけど」

 その直後だった。

 ――助けてぇぇぇ!!

 遠くから子どもの声が響いた。

 二人は同時に顔を上げる。

「今の!」

「ええ、聞こえた!」

 セリアが駆け出す。

 ユウマも慌てて後を追った。

 木々を抜けた先、開けた草地。

 そこには小さな荷馬車が横倒しになっていた。

 そして――。

「ギャアア!」

 狼型の魔物が三体、荷車を囲んでいる。

 荷台の陰には、十歳ほどの少女が震えていた。

「ウルフ系か……!」

 セリアが剣を抜く。

「ユウマ、下がって!」

 だがその時、羅針盤が再び光った。

 針が少女を指す。

「……え?」

 次に、地面。

 そして魔物。

 まるで順番を示すように。

(守れってことか?)

 胸の奥が熱くなる。

 昨夜の感覚が戻ってくる。

 ユウマは一歩踏み出した。

「……導け」

 小さく呟いた瞬間。

 羅針盤が強く輝いた。

 光の線が地面を走る。

 魔物と少女の間に、淡い光の壁が描かれた。

 狼型魔物が飛びかかる。

 ――弾かれた。

「なっ!?」

 見えない力にぶつかったように、魔物が吹き飛ぶ。

「今だ!」

 セリアが疾走する。

 一体、二体と正確に斬り伏せ、最後の一体が逃げ出した。

 静寂。

 少女が恐る恐る顔を上げる。

「……た、助かった?」

「もう大丈夫よ」

 セリアが優しく微笑む。

 ユウマはその場に座り込んだ。

「はぁ……今度は出た……」

 羅針盤の光がゆっくり消えていく。

 少女が駆け寄ってきた。

「お兄ちゃんたち、ありがとう!」

 涙でぐしゃぐしゃの顔だった。

「私、ルナっていうの!」

 元気に名乗る少女。

 その瞬間。

 羅針盤が――微かに震えた。

 まるで喜ぶように。

 セリアが小声で言う。

「……ねえユウマ」

「ん?」

「その子、ただの偶然じゃないかもしれないわ」

 ユウマも同じことを感じていた。

 羅針盤が導いた先にいた少女。

 助けるべき存在。

 そして――新しい出会い。

 遠くには、街へ続く街道が見え始めていた。

 ユウマは立ち上がる。

「……とりあえず、街まで一緒に行くか?」

 ルナは満面の笑みで頷いた。

「うん!」

 こうして三人の旅は、新たな仲間を加えて進み始める。

 羅針盤が示す、次の運命へ――。

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