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VS後日談

深夜。


オーガの国。


静寂。


復興途中の砦。


組み直された壁。


篝火。


見張りのオーガ達。


その中央。


ヴォイド達がいる部屋。


その空間に。


突如。


魔法陣が展開された。


赤黒い光。


幾重もの円。


文字列。


空間が軋む。


メントが即座に立ち上がる。


ユリも身構えた。


だが。


ヴォイドだけは動かない。


一拍。


光が弾けた。


「おおー!」


元気な声。


現れたのは。


ジュワカボースだった。


満面の笑み。


小さな身体。


豪華すぎる魔王衣装。


そして。


後ろ。


大量の金貨箱。


「うまくいったかの!?」


開口一番だった。


メントが呆れ半分で笑う。


「……ええ」


「大成功ですよ」


ユリも頷く。


「世界中が見ました」


「ヴォイド様が膝をついた瞬間を」


ジュワカボースが嬉しそうに笑う。


「じゃろう!?」


「完璧じゃった!」


「いやぁー!」


「楽しかったのう!!」


ぴょこぴょこ跳ねる。


魔王。


全く威厳がない。


ヴォイドを見る。


ジュワカボースが。


にやりと笑った。


小さな指を差し出す。


「なぁヴォイド」


「うまくいったの」


ヴォイド。


静かに。


その指へ。


自分の指を軽く当てた。


「……ああ」


「うまくいって良かった」


ユリが少し笑う。


「なんだか」


「戦争の後とは思えませんね……」


「うむ!」


ジュワカボースが頷く。


「では!」


「本題じゃ!」


魔王。


後ろを振り向く。


金貨箱。


どん。


どん。


どん。


次々と並べる。


メントの目が細くなる。


「……それ全部」


「ボーダイ家の地下金庫からじゃ」


ジュワカボースが胸を張る。


「三千枚くらいかの!」


「これでメイドの給与が払える!」


「一万年くらい尽くしてくれておるからボーナス込みじゃ!」


ユリの顔が引きつる。


「……三千枚」


人が一生働いて。


ようやく金貨一枚。


それが。


三千。


しかも。


“給料”。


ジュワカボースはけろりとしている。


「大丈夫じゃ!」


「代わりに魔王城の芸術品や古代貨幣を置いておく!」


「価値はもっと上のはずじゃぞ!」


「たぶん!」


「たぶん……」


メントがぼそり。


「雑だなぁ……」


ジュワカボースは気にしない。


箱を開ける。


ぎっしり。


金貨。


黄金色。


部屋が光る。


その中。


ジュワカボースがふとヴォイドを見る。


「そういえば!」


「あの爆発なんじゃ!?」


「すごかったぞ!」


「まさか!」


「ついに我の才能が開花してしまったのか!?」


期待の目。


ヴォイド。


静かに答える。


「……違う」


「自分でやった」


「?」


「魔属石を身体に埋め込んだ」


沈黙。


ジュワカボースが固まる。


「……は?」


ヴォイドは平然としていた。


「爆発させた」


「自分がどこまで壊れても平気か」


「知りたかった」


一拍。


ジュワカボース。


すっと後ろへ下がる。


「いや怖っ!!!」


本気だった。


「なんじゃお主!?」


「正気か!?」


「痛かったじゃろ!?」


ヴォイド。


少し考える。


「……痛かった」


「じゃろうな!?」


メントが顔を覆う。


ユリは遠い目をした。


ジュワカボースはしばらくヴォイドを見ていた。


そして。


ぽつり。


「……オーガ怖……」


本音だった。


しばらくして。


ジュワカボースが部屋を見回す。


「さて!」


「これでしばらくは来れぬ!」


「魔王候補も忙しいのでな!」


「また頼みたいことがあればここへ来る!」


ユリが首を傾げる。


「ですが」


「転移には時間がかかるのでは?」


ジュワカボース。


ふふん。


得意げに笑った。


「甘いのう!」


「ちゃんと考えておる!」


すると。


部屋の隅。


見たこともない巨大金庫。


鉄。


魔法陣。


分厚い扉。


いつの間にか置かれていた。


メントが目を見開く。


「……いつ置いたんですかそれ」


「さっき!」


ジュワカボースが胸を張る。


「危なくなったらこれに隠れる!」


「そして転移!」


「一刻もあればここじゃ!」


「魔王城にも同じのがあるでの!」


ユリが困惑する。


「大丈夫なんですか……?」


「知らん!」


即答だった。


沈黙。


そして。


笑いが漏れる。


メント。


ユリ。


くつくつと笑った。


戦争。


死闘。


魔王。


世界。


そんなものが。


今だけは。


少し遠かった。


ジュワカボースが笑う。


「また来るぞ!」


「次はもっと派手にやろう!」


ヴォイドが頷く。


「……ああ」


その時。


ジュワカボースが。


ふと。


笑顔を消した。


ほんの一瞬だけ。


静かに。


ヴォイドを見る。


「……死ぬでないぞ」


小さな声。


だが。


重かった。


ヴォイドは静かに頷く。


「……お前も」


一拍。


そして。


ジュワカボースはまた笑った。


「うむ!」


魔法陣。


赤黒い光。


転移。


消える。


静寂。


残ったのは。


巨大金庫。


そして。


部屋の中央。


ぽつんと置かれた。


意味不明な古代芸術品だった。


メントがそれを見る。


「……なんだこれ?」


少し見て。


ヴォイド。


「……椅子か?」


ユリ。


首を傾げる。


「たぶん壺です」


誰もわからなかった。

いつもご拝読いただき、誠にありがとうございます。


皆さまからいただく感想やレビューが大きな励みになります。

「続きが読みたい」と感じていただけましたら、ぜひ応援していただけると嬉しいです。今後もより楽しんでいただける作品をお届けできるよう、更新を頑張ってまいります。


また、誤字・脱字のご報告も本当にありがとうございます。

そのほかにも、「ここは分かりにくいかも」「この表現はどうなの?」といった点がございましたら、どうぞお気軽にコメントでお知らせください。皆さまのご意見を参考にしながら、より良い作品づくりに努めてまいります。


これからもどうぞよろしくお願いいたします。

いつも温かい応援を、本当にありがとうございます!

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