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建国記念日

村中央。


まだ血の匂いが残っている。


負傷者は運ばれ、

失われた腕は戻らない。


だが——誰も止まらない。


円の中心。


ヴォイドが立つ。


静かに。


周囲を見渡す。


倒れた者。

立つ者。

歯を食いしばる者。


一拍。


「……森を」


短い。


それだけ。


だが——


一歩前に出る。


一本角、リナイズ。


「森を切り開く」


即答。


「国の範囲を確定」


「視界を確保」


「木材を利用し防壁を構築」


「侵入経路を限定する」


周囲がざわつく。


だが——止まらない。


ヴォイド。


「……監視」


二本角、ディスナイズ。


即座に拾う。


「高台を防壁上に設置」


「交代制」


「光源を用いて監視範囲を明確化」


「死角の排除」


一拍。


「導線を確定」


「侵入は“見える場所”に限定」


空気が変わる。


ただの防衛ではない。


“構造”が生まれている。


ヴォイド。


少しだけ間を置く。


「……道」


リナイズが再び前へ。


「街道まで直線開通」


「森林を間引き、視認性を確保」


「輸送効率を最大化」


ディスナイズが続ける。


「トンネルの強化」


「補強を再設計」


「出入口の限定」


「遮断・開放を制御可能にする」


誰かが息を呑む。


それはもう——“国”の機能だ。


ヴォイド。


視線を落とす。


少し考える。


「……装備」


リナイズ。


「急所特化防具は継続」


ディスナイズ。


「魔法対策の層を追加」


「耐熱・耐衝撃・分散構造」


ニズムが静かに言う。


「個人装備から“部隊装備”へ移行」


「規格統一」


「役割ごとに最適化」


完全に——軍だ。


ヴォイド。


一瞬だけ迷う。


だが——言う。


「……探す」


ニズムが前へ出る。


「王国へ照会」


「半強制での情報取得」


「所属特定」


「確認次第——」


一拍。


「部隊単位で処理」


空気が一段、重くなる。


初めて。


明確な“敵意”。


ヴォイド。


少し視線を上げる。


「……国」


ニズム。


「周辺国家へ通達」


「ドワーフ国、エルフ領、ルインズ王国」


「人員は最小限」


一拍。


「理由については——虚偽も」


その瞬間。


ヴォイドが口を開く。


「……いや、嘘——」


被せる。


ニズム。


「なるほど」


一歩踏み出す。


「真実を流す」


「情報の混乱を誘発」


「同時に——襲撃者のあぶり出し」


「接触、反応、すべてを監視対象に」


ヴォイドは——


何も言わない。


理解しているのか。


していないのか。


誰にも分からない。


その時。


一人。


前に出る。


腕のないオーガ。


布で巻かれている。


「……俺にやらせてくれ」


声は震えている。


だが——強い。


「戦えねぇ」


「でもよ」


歯を食いしばる。


「役に立ちてぇ」


周囲が静まる。


ニズムが眉を寄せる。


「非戦闘個体は——」


ヴォイド。


小さく。


「……防具」


一言。


リナイズが理解する。


「なるほど」


頷く。


「軽装」


「皮装備」


「武器は持たせない」


「戦闘不可を前提とする」


一拍。


「その分、機動力を確保」


「任務に専念させる」


ディスナイズも頷く。


「合理的だ」


そのオーガが頭を下げる。


「……やらせてくれ」


決まる。


役割が。


新しい“場所”が。


ヴォイド。


少し口を開く。


「……みんな——」


だが。


その言葉は、最後まで出ない。


三智将。


同時に前へ。


リナイズ。


ディスナイズ。


ニズム。


声を揃える。


「「「我らは家族」」」


響く。


「「「我らがヴォイド様と共にあらん」」」


さらに。


一拍。


「「「10日以内に、ここのオーガ達は世界各国の対等となる。

 そして、オーガ史上最大の戦闘に臨むことになる。

 “オーガ”。この言葉は、今日新しい意味を持つ。

 我々はもはや、ささいな違いにこだわってはいけない。

 我々は共通の目的のために団結する。

 我々は再び自由のために戦うのだ。

 迫害や、弾圧ではなく、絶滅との戦いだ。

 生きる権利のために戦うのだ。

 我々が勝利し、生き残ったら、世界中にこう宣言するだろう。

 “我々は黙って狩られたりはしない。戦わずして絶滅などしない”

 生き残ろう。我々が生き残る事ができたならば、今日という日を祝おうではないか。

 ここに…オーガのオーガによるオーガのためのヴォイド国の設立を宣言する」」」


静寂。


そして——


爆発する。


「おおおおおお!!」


歓声。


地が揺れる。


武器が鳴る。


誰もが叫ぶ。


笑う。


泣く。


一つになる。


三智将は即座に動く。


「部隊分割!」


「森林整備班、前へ!」


「防壁構築、資材確保!」


「トンネル班、補強計画を再編!」


「ドワーフ連絡班、準備!」


「王国照会、使者選定!」


ナイザー。


メント。


リナイズ。


ディスナイズ。


ニズム。


メタ。


ノイド。


クロル。


ガンジー。


クライム。


それぞれが動く。


迷いなく。


止まらず。


完成された流れ。


——ただ一人。


ヴォイドだけが。


その中心に立ち。


少しだけ首を傾げる。


周囲を見る。


騒ぎ。


熱。


動き。


そして。


小さく呟く。


「……なにこれ」


誰にも聞こえない。


だが。


確かに。


世界は——変わった。

このパロディがしたかった。

正直物語の当初からこれがしたかったのです。

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