表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/108

地の交差点/会話

崩れた壁。

 

繋がった二つの道。

 

粉塵が、まだ落ちている。

 

細かく。 静かに。

 

その中で——

 

対峙。

 

オーガと、ダークエルフ。

 

誰も動かない。

 

だが、全員が“いつでも動ける”。

 

一歩踏み込めば——終わる距離。

 

張り詰めている。

 

空気が、軋む。

 

その中で。

 

ダークエルフの男が、一歩だけ前に出る。

 

無駄のない動き。

 

視線は鋭い。

 

まず——奥を見る。

 

トンネル。

壁面。

削り方。

支柱。

鉄材。

歪みのない補強。

 

そして——足元。

レール。

資材の流れ。

導線。

 

さらに——

 

オーガたち。

数。

装備。

鎧。

槍。

呼吸。

間合い。

“掘削中でも戦える配置”。

 

一瞬で、理解する。

 

(……準備されている)

 

(遭遇は、想定内)

 

(ここは——戦場だ)

 

一拍。

 

低く、吐き出す。

「……ここでは、我らが不利だ」

 

空気が、わずかに揺れる。

 

オーガ側は——動かない。

 

反応もない。

 

だがそれが、答え。

 

ダークエルフの男は続ける。

 

「地の利は貴様らにある」

「構造、導線、退路——すべて掌握している」

 

視線が細くなる。

「武器も、防具も、仕込んでいる」

 

事実。

否定はない。

 

「我らは——掘削のみ」

「隠匿を前提とした布陣だ」

 

一拍。

「戦闘用ではない」

 

沈黙。

 

それは——弱音ではない。

 

判断。

 

冷静な、選別。

 

その時。

 

オーガ側。

 

リナイズが、一歩前に出る。

一本角。

 

静か。

余計な力みはない。

だが——視線だけが鋭い。

全てを見ている。

 

配置。 距離。 圧。 魔力の流れ。

そして——

口を開く。

 

「……現在」

 

短く。

 

「我々の長は——海側から回り、地上のエルフ達と接触することになっています。」

 

一瞬。

ダークエルフの男の目が動く。

 

リナイズは続ける。

 

腰に下げた板。

刻まれた印。

時間。

進行。

それを、指でなぞる。

「日程的に——」

 

一拍。

 

「まもなく、着きます」

 

沈黙。

空気が、変わる。

 

リナイズの提案。

 

「ここで削り合うより——」

 

まっすぐに見る。

 

「地上で決着としませんか」

 

わずかな間。

 

「このトンネルは維持する」

 

「互いに利用可能」

 

そして——

 

「逃げではありません」

 

静かに。

 

確実に。

 

「効率です」

 

沈黙。

 

ダークエルフの男が——わずかに笑う。

 

「……面白い」

 

低く。

 

「オーガが、引く理由を“計算”で語るか」

 

一歩、近づく。

 

リナイズを、覗き込むように。

 

「強さだけではない」

 

一拍。

 

「理解している」

 

さらに——

 

背後へ視線を流す。

 

他のオーガ。

 

そして——その奥。

 

“いないはずの何か”を探る。

 

「……そして」

 

目が細くなる。

 

「お前は、上ではない」

 

確信。

 

「お前の上に——何がいる」

 

一瞬の静寂。

 

リナイズは答えない。

 

ただ——

わずかに、ほほ笑む。

 

それだけで。

 

十分だった。

 

ダークエルフの男が、息を吐く。

 

「……なるほどな」

 

小さく。

 

「いいだろう」

 

短く。

 

「乗る」

 

周囲のダークエルフがわずかに動く。

だが——止めない。

 

「ここで死ぬ意味はない」

 

視線が鋭くなる。

 

「どうせ——地上で決まる」

 

一拍。

 

「“そいつ”が来るならな」

 

オーガ側が動く。

 

「角度変えるぞ」

 

メタの声。

 

四十。

選抜。

 

残りは——補強と再計算。

 

クロルとクライムが即座に指示を飛ばす。

 

「支柱、追加!!」

 

「このラインは残す!!潰すな!!」

 

トンネルは——“道”として維持される。

 

戦場ではなく。

 

通路として。

 

掘削が始まる。

 

今度は——上。

 

一直線。

 

だが、雑ではない。

 

根を避ける。

水を逃がす。

圧を分散する。

 

ダークエルフ達は驚く。

 

彼らの連携。

速い。

異常な速度。

岩や土や根からどれくらいで地上か。

腰の板から日数と時間を把握していること。

日数を見る限り10日もかかっていないこと。


そしてオーガの一声。

 

——破る。

 

光が、差し込む。

 

土が裂ける。

 

根が揺れる。

 

そして——

 

地表へ。

 

 

妖精の森。

地上。

 

空気が違う。

柔らかい。

 

だが——薄い。

 

オーガたちが、次々に出る。

 

続いて——

ダークエルフ。

 

光。

眉をひそめる。

 

森。

静か。

だが——死んでいる。

 

風が、弱い。

流れがない。

 

そして。

視界の先。

 

一本。

 

世界樹。

 

圧倒的。

だが——異様。

 

半分が、生。

半分が、死。

 

緑と、枯れ。

 

境界が、はっきりと分かれている。

 

その姿に——

誰も、言葉を出さない。

 

ダークエルフの一人が、低く呟く。

「……進んでいるな」

 

オーガ側。

リナイズが観察する。

 

魔力の流れ。

地の圧。

吸い上げ。

 

(……地下から奪っている)

 

理解する。

 

「あの木のもとへ、お邪魔しましょう。」

 

誰も否定しない。

 

隊列が組まれる。

 

オーガが外周。

ダークエルフを囲む。

 

敵対ではない。

だが——信頼もない。

 

奇妙な形。

 

共闘。

 

互いに背を預けない。

 

だが——

同じ方向を見る。

 

世界樹へ。

 

一歩。

また一歩。

 

進む。

 

 

風が吹く。

弱い。

 

葉が落ちる。

 

ゆっくりと。

 

その下で——

 

本来、殺し合うはずの者たちが。

 

同じ地を踏み。

 

同じ異変を見ている。

 

誰も、まだ言葉にできない。

 

だが——

 

理解だけが、進んでいる。

 

これは。

 

どちらかの問題ではない。

 

“もっと大きな何か”だと。

 

そして——

 

その中心に来るべき存在は。

 

まだ。

ここにいない。

ダークエルフ側は想定してませんし、何年も前からの計画を遂行してきたある日のこと

いきなり、戦闘準備したオーガとごっつんこしたので、焦ってます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ