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お留守番

オーガ国。


中央広場。


巨大な丸太机を囲み、

幹部達が集まっていた。


机には地図。


中央山脈。


北砂漠。


そして。


その先。


賭博国家スパイダーウェブ。


ディスナイズが口を開く。


「まず結論から」


「行く人数は絞ります」


ニズムが頷いた。


「現在、国の構築途中です」


「ヴォイド様不在で、戦力を抜きすぎるのは危険」


リナイズが指を鳴らす。


「特に今は、各国の使者が来始めてる」


「魔王関係もある」


「つまり」


「“留守番役”が超重要」


メントが腕を組む。


「なら俺は残る」


その言葉に、若いオーガ兵達が顔を上げた。


メントは続ける。


「魔王がまた来るかもしれねぇ」


「その時の窓口は必要だ」


ヴォイドは静かに頷いた。


決定だった。


リナイズが笑う。


「じゃあ私とニズムも残留かな」


「外交調整」


「国内運営」


「復興管理」


ニズムも続ける。


「各国との交渉記録整理」


「街道整備」


「資材管理」


「今止まると、国そのものが止まります」


五武人の一人、メタが鼻を鳴らした。


「なら俺も残る」


「装備開発がある」


「ドワーフ共が面白ぇもん持ってきやがった」


別の五武人、ノイドも頷く。


「全体統括は必要だ」


「ヴォイド様がいねぇ間、まとめ役がいる」


ガンジーは笑った。


「俺は兵を鍛える」


「最近増えた若いの、まだまだだ」


若いオーガ兵達が青ざめた。


「うわぁ……」


「地獄だ……」


その空気の中。


ナイザーが立ち上がる。


「今回は俺が行く」


静かになる。


ナイザーは続けた。


「北砂漠」


「未知の国家」


「賭博国家」


「揉める気しかしねぇ」


「だったら、現場で動ける奴が必要だ」


クロルが笑う。


「なら俺も行く」


クライムも肩を回す。


「久々に暴れられそうだ」


ディスナイズが眼鏡を押し上げた。


「私も同行します」


「相手は国家運営者」


「頭での勝負になります」


「交渉役は必要でしょう」


ヴォイドは静かに頷いた。


決まった。


遠征隊。


ヴォイド。


ナイザー。


ディスナイズ。


クロル。


クライム。


最低限。


だが。


十分過ぎる戦力だった。


若いオーガ兵が恐る恐る聞く。


「……で」


「どうやって行くんです?」


全員がヴォイドを見る。


ヴォイドは少し考えた。


「…走って」


若い兵士が固まる。


「えっ」


ヴォイドは続けた。


「…船」


沈黙。


リナイズが瞬きをした。


「船?」


クロルが首を傾げる。


「砂漠だぞ?」


クライムが笑い出した。


「ははは!」


「いや待て!」


「ヴォイド様ならやるかもしれん!」


ナイザーが頭を抱える。


「また始まった……」


ディスナイズだけが真面目に考えていた。


「砂を流体として扱えば、理論上は……」


リナイズが吹き出す。


「考え始めるな!」


その空気の中。


ヴォイドは普通に続けた。


「…駄目なら歩く」


「…飛ぶ」


「…なんとかなる」


全員。


静かに納得した。


「あぁ」


「ヴォイド様だ」


それで終わった。


その後。


準備が始まる。


巨大水袋。


干し肉。


塩。


保存肉。


薬。


布。


予備武器。


北砂漠用外套。


オーガ達が慌ただしく動き始める。


その夕方。


ヴォイドは、一人で国を歩いていた。


工事中の城壁。


木材を運ぶオーガ。


槌音。


火花。


訓練する兵士。


肉を焼く匂い。


笑い声。


子供達。


少し前まで、何も無かった場所。


だが今は違う。


国になり始めていた。


ヴォイドは静かに空を見る。


北。


山。


さらにその先。


砂漠。


そして。


スパイダーウェブ。


未知の国。


未知の敵。


未知の欲望。


風が吹いた。


新しい物語の匂いだった。

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