世界の視線
──ピキィィィン……
「……また鳴ったわね」
拠点中枢。
正体不明の反応音。
「解析中」
エリシア。
異常な集中状態。
「外部干渉ではありません」
「じゃあ何よ」
「……」
一瞬の沈黙。
「観測です」
「……は?」
言葉の意味は理解できる。
だが状況が理解できない。
「観測って……誰に?」
エリシアは静かに外を見る。
「……世界規模」
空気が変わる。
ほんの僅かに。
「冗談……よね?」
「冗談を言う状況ではありません」
湖。
噴水。
拠点。
空。
何も変わらない景色。
だが。
「……妙な圧迫感があるな……」
ガルドの呟き。
的確。
「敵じゃない」
「攻撃でもない」
「だが……見られている」
理屈ではない感覚。
「……なあ」
俺は空を見上げる。
雲。
光。
風。
「なんで今さらだ?」
神域認定。
楽園拡散。
巡礼暴走。
全部これまであった。
なのに。
「……臨界点を越えたのでしょう」
エリシアの答え。
淡々としているが重い。
「楽園という概念が」
「世界の無視できない異常になった」
沈黙。
終末世界。
壊れた法則。
崩れた秩序。
その世界が今。
この拠点を認識し始めた。
「……最悪ね」
「非常に」
リナが深く息を吐く。
「平和に暮らしてただけなのに」
その時。
「つまり!」
ノアが割り込む。
なぜ元気。
「有名になったということですね!」
「違う!!」
「スケールが違うのよ!!」
「喜ぶな!!」
だが。
誰もまだ理解していなかった。
この異変が。
物語終盤の決定的局面であることを。




