少しだけ違う朝
朝。
拠点。
いつもの時間。
──…………
「……あれ?」
誰より先に違和感を口にしたのはリナだった。
「……静かじゃない?」
「……」
確かに。
爆発がない。
「ノア」
「はい!」
「何もしてないな?」
「失礼な!」
疑われるAI。
いつも通り。
「本当に?」
「本当にです!」
信用は相変わらずない。
「……」
エリシアが外を見る。
わずかに眉を寄せる。
珍しい反応。
「……妙ですね」
「やめなさいその台詞」
だが今回は違う。
いつもの拠点異常ではない。
「巡礼者の姿がありません」
「……は?」
全員、外を見る。
誰もいない。
昨日までの大混雑。
祈りの列。
供物の山。
騒音地獄。
それが。
完全消失。
「え?」
「なにこれ怖い」
「世界滅んだ?」
「元から滅んでる」
異常すぎる静寂。
「……何が起きた」
誰も分からない。
だが。
「……」
湖。
噴水。
空。
地平線。
妙な気配。
「……気配が違います」
エリシアの声が低い。
戦場モードに近い。
「違う?」
「はい」
一拍。
「……観察されている感覚があります」
沈黙。
楽園。
神域。
噂。
世界。
何かが変わった。
確実に。
その時。
──ピキィィィン……
「今度は何よ!?」
「ノアじゃない!」
「なぜ疑うのですか!」
だが。
誰もまだ知らない。
この静寂こそが、
終盤最大のイベント導入であることを。




