最悪の解釈はいつも正しい顔をする
外部勢力側、緊急協議。
拠点前方、距離を取った位置。
全員、顔が硬い。
「……整理しろ」
指揮官が低く言う。
「相手は」
「攻撃してこない」
「だが」
「攻撃の概念を必要としていない可能性がある」
沈黙。
「湖を“気分で”拡張」
「爆発が“日常”」
「制御していないのに安定」
「……異常すぎる」
副官が唾を飲み込む。
「もしあれが」
嫌な前置き。
「意図的でないとしたら」
誰も続きを言わない。
だが全員、同じ結論に辿り着く。
「……無意識災害型存在」
「刺激すれば、世界が壊れる」
「だが放置すれば」
「いずれ支配構造が変わる」
選択肢は二つ。
「排除」
「……不可能」
即座に否定。
「ならば」
「……神格化」
空気が凍る。
「崇め」
「関与せず」
「要求をしない」
「逆らわない」
終末世界における、
最も合理的な判断。
「……あれは」
指揮官が言う。
「“楽園”ではない」
「“神域”だ」
決定。
一方その頃。
拠点内部。
「なんか静かになったわね」
「帰ったか?」
「……いや」
エリシアが外を見る。
「……跪いています」
「は?」
視線集中。
拠点前方。
武装勢力、全員が地に膝をついている。
武器を下ろし。
頭を垂れて。
「……え?」
「……何してるのあれ」
「儀式でしょうか?」
ノア首をかしげる。
「違うと思う」
指揮官の声がスピーカーから響く。
「我々は……」
「この領域を」
「神域と認定する」
沈黙。
「以後」
「一切の干渉を行わない」
「供物も」
「要求もしない」
「ただ……」
一拍。
「……お許しをいただければ幸いです」
拠点側。
「……え?」
「……は?」
「……ええええええ!?」
ノアが一番驚いていた。
「なぜですか!?」
「聞きたいのはこっちよ!!」
こうして。
楽園はついに。
神域として誤認定された。




