楽園の基準がおかしい
「……静かだな……」
楽園拠点内部へ侵入……
ではない。
慎重に足を踏み入れた外部勢力。
湖。
清浄な空気。
整備された環境。
「本当に終末世界か……?」
誰もが疑う光景。
その時。
──ボンッ!!
「うわあああああ!?」
全員飛び上がる。
「なに!?」
「攻撃!?」
「違う」
平然と答えたのは拠点側の住人。
「日常だ」
「日常!?」
意味不明すぎる返答。
煙の向こう。
ノア登場。
いつも通り。
満面の笑顔。
「お客様ですね!」
「誰だこの危険物」
「危険物ではありません!」
「爆発してたぞ今!!」
「調理中です!」
「なぜ調理で爆発が発生する!!」
文化衝突。
価値観崩壊。
さらに追撃。
「朝食にしますか?」
テーブルに並ぶ料理。
見た目完璧。
香り極上。
「……」
「……」
「……なぜだ……」
「なぜ爆発する環境でこんなまともな飯が……」
楽園最大の謎である。
リナ呆れ顔。
「慣れるわよ」
「慣れたくない!!」
エリシア真顔補足。
「爆発危険度は低いです」
「基準がおかしい!!」
その時。
──ゴゴゴゴゴ……
「今度は何だ!?」
壁面変形開始。
「防衛機構!?」
「違います」
「拠点の気分です」
「気分で建物が変形するな!!」
外部勢力、限界寸前。
「……ここは……」
「楽園ではない……」
「何か別の……」
極めて正しい理解へ到達しかける。
その直後。
「おかわりありますよ!」
ノア満面の笑顔。
「なんなんだこの空間はあああ!!」
こうして。
終末世界の住人は理解した。
楽園とは。
安全な場所ではない。
常識が通用しない場所である。




