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文明が滅びた近未来で、俺の万能ナノマシンが便利すぎて静かに暮らせない  作者: 月灯り庵


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世界が与えた名前

「……また失敗か」


荒野。


撤退した勢力の移動車内。


重い空気。


「交戦すら成立しなかった……」


「いや……」


誰かが低く呟く。


「あれは交戦不能だ」


沈黙。


誰も否定しない。


「攻撃は受けていない」


「だが……」


「生物的恐怖を感じた」


極めて正確な評価。


「理解不能」


「干渉不能」


「制御不能」


「……分類不能」


そして。


誰かが口にする。


「……あそこは」


わずかな躊躇。


「“領域”だ」


空気が変わる。


勢力。


拠点。


敵。


資源地帯。


どれでもない。


「存在そのものが異質」


「法則外」


「理不尽の具現」


言語化されていく恐怖。


「……名付けるべきだな」


終末世界において。


未知を管理する唯一の方法。


「呼称が必要だ」


短い沈黙。


そして。


「……楽園」


「は?」


意外な単語に視線が集まる。


「あの環境」


「あの安定」


「あの異常」


「終末世界に存在するはずのない場所」


「……皮肉だな」


誰かが苦笑する。


「だが最も正確だ」


こうして。


拠点はついに、


外部世界から一つの名を与えられた。


★ 終末世界の楽園


一方その頃。


当の楽園。


──ボンッ!!


「ぎゃああああああ!?」


「なぜですか!?」


「お前だよ!!」


世界観との温度差が極端すぎた。

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