非常にありがちな事故
「……」
気まずい。
まだ気まずい。
三人。
沈黙。
湖畔。
妙な空気。
本当にただ立っているだけである。
なのに精神的にしんどい。
その時。
「……あ」
リナの足元。
小さな石。
非常に地味な存在。
──コツン
「え」
──グラッ
「ちょっ」
転倒発生。
「うわっ!?」
反射的に手を伸ばす。
深い意味はない。
本当にない。
ガシッ
「……え?」
気付いた時には。
抱き止めていた。
「……」
「……」
「……」
時間停止。
世界停止。
思考停止。
近い。
非常に近い。
顔の距離。
危険域。
「…………」
リナ完全硬直。
「え」
なぜか俺も硬直。
「……」
妙に静かな湖。
空気読まなくていい。
頼むから。
「……っ……!」
なぜかエリシアの気配が変わる。
やめろ。
怖い。
「……」
「……あ」
我に返る。
「悪い」
慌てて離れる。
その瞬間。
「……あ……」
なぜか微妙に残念そうな声。
「え?」
一瞬理解が遅れる。
「な、何でもない!!」
リナ全力否定。
顔が赤い。
なぜだ。
「……」
エリシア、完全に無言。
だが視線が刺さる。
なぜだ。
「なるほど」
ノア。
お前はなぜこのタイミングで来る。
「典型的な恋愛加速イベントですね」
「違う!!」
だが。
「……」
誰も完全否定できない空気が残った。
非常にまずい。
湖畔に。
妙な沈黙だけが広がっていた。
主に精神的な意味で。




