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文明が滅びた近未来で、俺の万能ナノマシンが便利すぎて静かに暮らせない  作者: 月灯り庵


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たまには静かな朝……のはずだった

珍しく。


本当に珍しく。


拠点の朝が静かだった。


「……平和ね……」


リナがぽつりと呟く。


「平和だな」


ガルドも同意。


ノアはメンテ中。


信者はまだ起きていない。


爆発もない。


落下もない。


騒動もない。


……逆に怖い。


「不気味ですね」


エリシアが真顔。


「お前が言うと説得力あるな……」


湖のほとり。


穏やかな空気。


風も静か。


噴水も通常出力。


奇跡的状況。


「……こういう日もあるのね……」


リナが少しだけ緩んだ顔を見せる。


珍しい表情。


普段はツッコミ疲労気味。


常識維持担当。


苦労人ポジ。


だが今は。


少しだけ。


本当に少しだけ。


「なんだよその顔」


思わず口に出てしまった。


「え?」


「いや……なんか」


言葉を探す。


「珍しく落ち着いてるなと思って」


一瞬。


空気が止まる。


「……は?」


「いやその」


「……は??」


なぜか威圧感上昇。


理不尽である。


「普段どんな顔してると思ってるのよ」


「いや違う違う」


「騒いでばっかりみたいな言い方ね?」


「そんなことは」


「あるわよね?」


「…………」


否定できない。


だが。


リナはなぜか少しだけ笑った。


「……まあ」


「たまにはこういう朝も悪くないわね」


その言い方が妙に柔らかくて。


少しだけ困る。


終末世界。


荒野の拠点。


異常環境。


なのに。


この空気だけ妙に平和。


「……だな」


短く答える。


それだけなのに。


妙に照れくさい。


なぜだ。


戦場でもないのに。


撃ち合いでもないのに。


「……なにこの空気……」


ガルドが呟く。


余計なことを言うな。


「妙ですね」


エリシア真顔。


やめろその分析口調。


「なにか発生しそうな予感がします」


フラグを立てるな。


その瞬間。


──ボンッ!!


「ぎゃあああああああ!?」


「なぜですか!?」


ノア復活。


通常運転開始。


「台無しね!!」


「安心した」


「安心するな!!」


拠点の平和は長く続かない。


だが。


悪くない時間だったのは事実だった。


ほんの数秒だけ。

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