最終話:楽園は今日も騒がしい
朝。
拠点。
湖。
噴水。
──ボンッ!!
「ぎゃああああああ!?」
「なぜですかぁぁぁ!?」
「うるさいわね朝から!!」
完璧な日常の始まり。
「……」
「……安心するな」
「ええ……安心するわね……」
最終話とは思えない光景。
だが。
これこそがこの拠点である。
「被害状況報告」
エリシア淡々。
「ノアが原因です」
「違いますよ!?」
「反論の速度だけは一流だな」
ノア本日も元気。
「今日は違います!」
「本当に違います!」
「じゃあ何が爆発したのよ」
「……まだ分かりません!」
「最悪じゃない!!」
湖畔。
外。
穏やかな光景。
生活の気配。
小さな笑い声。
終末世界とは思えない場所。
かつて神域と呼ばれ。
楽園と呼ばれ。
災害と誤認され。
世界に観測され。
それでも。
「……変わらないな」
「変わらないわね」
噴水が吹き上がる。
湖面が揺れる。
いつもの空気。
「本日も平和です!」
「どこがよ」
「基準がおかしいのよ」
だが。
誰も否定しない。
ここは楽園ではない。
神域でもない。
特別な場所でもない。
ただの拠点。
帰る場所。
騒がしい日常。
意味不明な爆発。
理不尽な平穏。
「……まあいいか」
「ええ、まあいいわ」
──ボンッ!!
「ぎゃああああああ!?」
「だからなぜですかぁぁぁ!?」
「ノアァァァァァ!!」
楽園は今日も騒がしかった。
終末世界のどこよりも。
呆れるほど。
馬鹿馬鹿しいほど。
そして。
どうしようもなく平和だった。




