後日談:楽園のその後
なし「……増えすぎじゃない?」
湖畔。
かつて荒野だった場所。
今。
普通に街ができていた。
「増えたな……」
簡易住居どころではない。
市場。
畑。
妙に活気ある通り。
なぜか露店文化まで発生。
「なぜ終末世界で経済圏が成立しているの……」
「楽園だからです!」
「違う」
元凶っぽいAIが元気に否定される。
いつも通り。
噴水は今日も吹き上がり。
湖は相変わらず理不尽に広く。
拠点は無駄に目立ち続けている。
「あそこが中心なのよね……」
街の視線。
全てが向かう方向。
例の拠点。
「不本意だが象徴扱いだな」
「完全にランドマークね……」
その時。
──ボンッ!!
「ぎゃああああああ!?」
「なぜですかぁぁぁ!?」
遠くからでも分かる爆発。
安心感すらある。
「……今日も平和ね」
「平和だな……」
誰も気にしない。
誰も驚かない。
住民たちは普通に歩いている。
「慣れって怖いわね……」
「順応能力が高すぎる」
拠点入口。
「おはようございます!」
ノア登場。
満面の笑顔。
なぜか住民に手を振られている。
「完全にマスコット化してるじゃない……」
「違和感しかない光景だな……」
「本日も異常ありません!」
「ある」
「常にある」
だが。
確かに。
争いは減り。
奪い合いは消え。
生き延びるだけの世界だった場所に、
妙な日常が根付き始めていた。
「……ほんと」
リナが小さく笑う。
「変な場所ね」
「今さらだろ」
──ボンッ!!
「ぎゃああああああ!?」
「だからなぜですかぁぁぁ!?」
楽園は今日も騒がしかった。
街ができても。
人が増えても。
世界がどうなろうとも。
何一つ変わらないまま。




