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文明が滅びた近未来で、俺の万能ナノマシンが便利すぎて静かに暮らせない  作者: 月灯り庵


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楽園の夜

夜。


湖畔。


静かな風。


珍しく。


本当に珍しく。


爆発がない。


「……」


水面が揺れる。


光が滲む。


終末世界とは思えない景色。


だが。


ここでは当たり前になった光景。


「集落……増えたわね」


隣でリナが呟く。


「ああ」


灯り。


人影。


生活の気配。


かつては死に絶えた世界。


「……不思議ね」


「何がだ?」


「こんな場所ができるなんて」


楽園。


神域。


異常拠点。


色々な呼び名。


だが。


「……ただの拠点だろ」


「ふふ」


小さく笑う。


「その割には世界を振り回してたけど?」


「知らん」


本当に知らない。


気付けばこうなっていた。


「……」


少しだけ沈黙。


「……ねえ」


「ん?」


「もし」


湖を見る。


静かな視線。


「全部なくなってたらどうしてた?」


唐突な問い。


だが意味は分かる。


世界。


楽園。


この拠点。


「……さあな」


少し考えて。


そして答える。


「また作ればいいだろ」


「……は?」


「住める場所探して」


「飯食えて」


「爆発して」


「……同じことやってたと思うぞ」


「……なによそれ……」


呆れたような声。


だが。


どこか優しい。


「……でも」


「それでいいのかもね」


夜風が流れる。


湖面が揺れる。


「特別な場所じゃなくて」


「ただ帰る場所」


その言葉が妙に心地いい。


「……」


遠く。


拠点方向。


──ボンッ!!


「ぎゃああああああ!?」


「なぜですかぁぁぁ!?」


「……台無しね」


「いつも通りだ」


「……ええ」


小さく笑う。


「ほんと……変な楽園……」


夜は静かに更けていった。


少しだけ。


ほんの少しだけ。


優しい空気を残して。

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