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ヴァイス(2回目)-3

「なあ、アンタはそのカトレアっていうやつの顔を見なくてもいいのかい?」

「急になんなんだ」


コバトは王城の使用人の格好をしながらも、仕える主人の前でヴァイス用に用意されていた朝食を平らげられた。

普通であれば即、首を切られるのだが、解雇ができないのである。

特にお腹も空いていなかったため、別にいいのだが。


「そう睨まないでくれ、別に好きになってもらえなんて言ってないよ。アタシがザクロをおちょくりたいだけさ」


からりと小悪魔のような笑みを浮かべるコバトにヴァイスはそのザクロという者を不憫に思った。


確かに、カトレアの様子を見てみるべきかもしれない。昨日のことが頭をよぎったが、大丈夫だと心に言い聞かせて、馬車を用意させた。


「申し訳ありません。お嬢様は現在、身支度をなさっておりまして、よろしければ、客間にご案内いたしますが?」


出迎えた執事の顔には嫌悪感が宿っている。

それはそうだ、なんせ、公衆の面前でこの屋敷の姫を自分の都合で振ったんだからな。


屋敷の中は居心地が悪く、メイドや使用人たちが困惑したような顔をする者もいれば、密かに顔を歪めていた者もいた。


「嫌われたな」


一言、自嘲気味に呟く。

その返事を返すものはいなかった。

その空白の時間が自分の罪を表しているのならば、カトレアも同じだろう。


「行くぞ。俺がここにきたことはカトレアには伝えないでくれ」

「承知いたしました」


客室に案内した長年この家に仕えている執事にそういうと、執事は頭を下げて呆気なく了承した。

ヴァイスはコバトを引き連れ、屋敷を出た。


「で、アタシの目的は果たせなかったわけだが?」

「…出された菓子を食べたことで勘弁してください」

「戻ったら、あれの倍はもらうぞ」


料理長が泣くぞ。いやむしろ喜ぶか?

料理人としては自分の好きなものを好きなだけ作れるのだから、この上ない幸せなのかもしれない。

ヴァイスの口からは乾いた笑みしか出なかった。

コバトのせいで国の食材庫の消費量が半端なかった。

1食で半月分がなくなりかけた。

そのため、城で提供するのはお菓子だけ。

食事は賃金を渡して、下町の大盛を提供するところで食べることにさせました。

いわゆる厄介払いのような形なのだが、コバト的にはいっぱい食べられるから良いやとわかっていても知らないふりをする。

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