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ヴァイス(2回目)-2

ヴァイスは夢を見た。

まだ幼く、無邪気になんでも夢を語れる頃。

カトレアと初めてあったのは、母親同士が仲が良く、同じ年に生まれたから。

互いに産まれた瞬間からの知り合いで仕事で忙しい両親よりも見てきた顔だった。

子どもの頃とは恐ろしいもので、キッチンで少しお菓子をつまみ食いしたり、二人で使用人たちに見つからないように隠れたり、結構わんぱくな頃を一緒に過ごした。


一度だけ、互いの将来について話したことがあった。

もちろん、ヴァイスは王様になって国民を導きいて、父よりも国を繁栄させることだと言った。

対してカトレアは自信満々に笑いながら答えた。


「カトレアは、騎士になるの!」


騎士は男性の職業という色が濃い。

女性もなれるが男性よりも昇格が難しく、また男性基準で考えてしまうので過酷さに耐えきれず男性でもすぐに辞めてしまうのである。


「聖女じゃないの?」

「聖女様も素敵だけど、カトレアは誰かを守れるようになりたいの!それにこうやって、ヴァイスと話せる関係を続けたいし。聖女様は窮屈そうだもん。それよりも、こうやって口をにーってして笑う方が好き」


無邪気な笑みを浮かべながら告げられた言葉。

ヴァイスは幼いながらも彼女の笑顔を無性に守りたくなった。

この時にヴァイスはおそらくカトレアに恋に落ちていたのだろう。


数年が経ち、互いに婚約ができる年齢になると、見目麗しいカトレアにたくさんの縁談が舞い込んでいるという情報がヴァイスの耳に日々届く。

カトレアに対する恋心を理解していたヴァイスは居ても立っても居られず、カトレアの父親に毎日通い続け、婚約を認めてもらった。

婚約者としてカトレアと会った時、ヴァイスは初めて自分の地位を呪った。


あの頃のように口を大きく開けて、嬉しそうに笑うのではなく、貴族の令嬢のようにお淑やかに窮屈そうな笑みを常に浮かべている。


違う。俺が見たかったのはそうじゃない。これじゃあ、彼女は聖女じゃないか。

カトレアの笑顔と夢を奪ったのは自分だとその時気づいてしまった。

あれほどまでなりたがっていた騎士の道を諦め、逆に聖女と呼ばれ始めたカトレアをヴァイスは見ていられなかった。


もう一度、カトレアの心の底からの笑顔を取り戻したかった。

カトレアの笑顔を奪ったヴァイスにはカトレアの幼い頃の夢を叶えてあげることがせめてものしょく罪になると、近衛騎士団長に直談判したり、父にも聞いたりして、なんとかカトレアの兼職として許しをもらった。

窮屈なカトレアの姿を見るのもこれで最後だと、きっと笑ってくれると信じていた。

そうすれば、その罪悪感からも解放される。

きちんと、カトレアと目を合わせて、話し合える気がした。

それなのにあんなことになるとは思いもしなかった。


そこでヴァイスはベッドから飛び起きた。


これ以上は見たく無かった。

自分がしでかしたことだったとしても、ヴァイスにとって、幼い思い出を汚したく無かった。

きっと、カトレアも離れていくから、せめて記憶だけは綺麗なままで残したいのだ。

本編では明かされなかった幼少期の思い出。

カトレアの父はきちんとカトレアのことを思っていました。むしろ、ヴァイスなどにやるかと対抗心を燃やしていましたが、カトレアのヴァイスへの恋心、ヴァイスの覚悟を告げられ、仕方なく折れました。

自分が認めたヴァイスがカトレアを傷つけたことに激怒していましたが、あくまでも表面上は政略結婚。利益あっての婚約だったので、そういうしかなかった。


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