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ヴァイス(1回目)-2

洗脳のようなものをヴァイスにかけたローゼ・ルヴァは周囲が口で告げることもできないほどの変死体で見つかった。


しかし、ヴァイスには全てがもうどうでも良くなった。

カトレアのいない世界に意味などあるのだろうか。ただ、昔交わした約束だけは守らねばならないと辛く空っぽな身体をひたすら動かす。

気がつけば、世間ではヴァイスのことを悪魔王などと呼ばれ、畏怖されていたがそれさえもどうでも良いと思った。


彼女の命日には花を添えると同時に自分の不甲斐なさが溢れ出てくる。

何周忌かわからないほどの墓参り、誰も知らないはずの彼女の墓前に立つ、堂々とした佇まいの若い女性。

ヴァイスはカトレアの知り合いか?と思ったがすぐにそれはないと思った。この場所には何も埋められていない。あの忌まわしい牢獄を取り壊し、花を置くためだけの場所にしたのだ。

つまり、用があるのは俺か?


ヴァイスはより一層女性に対し警戒をあらわにする。


「そう警戒するな」


女性は口を開く。

凛とした声がヴァイスの耳に響く。


「ただの散歩だからね」

「散歩にしては、随分と領域をわきまえないものだ」


王家の土地に侵入しておきながらいけしゃあしゃあとしているのだ。それを散歩の域で済ませるわけがない。


「本当に、ただの散歩なんだけどね。

それに勝手に人間が領土を決めただけでそれにアタシらは当てはまらない」


ヴァイスの心を読んだように答え、宙に浮き、自分の不気味さ、人間ではないことを女性は見せつけた。


「アンタ、過去をやり直したいって思ったことないか?その方法があったとしたら?」

「できるのか?」

「アンタは何も警戒しないんだね」

「捧げられるものならなんでも捧げる。過去に戻してくれるなら、なんせ俺は悪魔王、だからな」


澱みない声で歪んだ回答をするヴァイスに女性は口を大きく口角を上げた。


「良いね、嫌いじゃないよ。後は、代償をどうするか。

…メイドとやらがやってみたいな…うんそうしよう。代償はアタシにメイド服と美味いものを渡すこと」

「…覚えておこう」


拍子抜けな対価にヴァイスは一瞬、そんなことで良いのかと面を喰らった。


「本当にそんなことでいいのか?過去を変えるんだぞ?」

「本当はダメだが、アタシは特別さ。代償は自分自身の価値観次第、欲しいものを受け取るのさ。

それに、別のやつが動いているのに乗っかるだけだから、アタシとしてはこのくらいで丁度いいんだよ。覚悟があるなら“これ”を飲みな」


そう言って差し出したのは無色透明のいかにも怪しげな小瓶に入った液体。


毒だろうなと直感した。

騙されていたとしても、この場で死んでしまってもいいかもしれない。

全てを諦めた王は投げやりにそれを口に含んだ。


目の前が眩み、立っていられなくなる。

最後の瞬間ヴァイスの目にうつったのは、魔女がこちらを満面の笑みで見下ろしていた。

この女性、本編で本名が明かされたコバトは、後に色々な世界へ奉公に出かけ、偽名を使いながら自由奔放に生きています。

その内の一人が完結済みの作品

見知らぬ美女が旦那の部屋で寝ていたのだけど〜放置妻はメイドと共に逃亡計画を練る〜

で出てきたメイランです。

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