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ヴァイス(1回目)-1

本当はこんなこと言うつもりはなかったんだ。許してくれなんて言わない、嘘だと、そう言ってその目を開けてくれたら良い。怒らないから、お願いだ。


ヴァイスは静かに涙を何粒も何粒も流しながら、カトレアの真っ白く細く骨と肉の区別がつかないほど痩せ焦げ、冷たい身体を必死に温める。


「殿下、その方のご遺体をお渡しください!」

「いやだ!嘘だ!!嘘だ!眼を開けてくれ、カトレア!!」


衛兵が何人も飛んできて、汚れた牢屋にいる一人と一体を引き離そうとする。

ヴァイスは子供のわがままのように必死にカトレアに縋り付くが本能がわかっていたのかあっけなく衛兵に奪われていった。


あの日、彼女の誕生日だった。本人はその辺りは無頓着であったため気づいていない。

サプライズのつもりだった。懐に隠した指輪を見せて、愛してると伝え、そして彼女の騎士になるという夢を叶えてあげたかった。そのために根回しをしてきたのだ。

それなのに、当日出てきた言葉は婚約破棄だった。

ローゼ・ルヴァ男爵令嬢が何かの魔法をかけたのか、それとも精霊様のご加護か、他の何かか。

ぼんやりと自分が自分じゃないような気分でそローゼを抱き寄せ、カトレアと彼女の一族に死を与えた。


ヴァイスはそのことを思い出し、吐き気がする。

彼女の父は最後に言った。


「あなたならば、娘を託せると思ったのにとんだ読み違いだ」


カトレアの母の軽蔑した目とその父の落胆した顔と声。

違う、などとは言えなかった。

ヴァイスは今になってぐるぐるとカトレアの父の言葉が頭を占める。


洗脳のようなものが解けた時、ヴァイスは真っ先にカトレアの元に行った。まだ間に合うと、騎士団で鍛えた力を目一杯使い、カトレアの牢獄へかけた。

しかし、ぐったりとした栄養を十分摂れていない、愛した人。もう、助からないとわかってしまった。

ヴァイス編ではコバトがたくさん登場する予定です。

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