20「やるしかない」
「このまま行くと、アイツらは死んでテメェが死ぬと、そのあとは、アレはあの女になり変わるんじゃねぇか?」
何が面白いのか、ずっと笑顔でヴァイスたちの苦しむ顔を見ているザクロ。そんなザクロよりも何もできない自分に沸々と怒りが込み上げる。
「別にテメェとの契約は不履行になってもオレは構わねぇんだぜ。そもそも、代償が安いからな、ここまでする必要はねぇんだ。オレにとっては人間の命なんぞ、ただの食事やら力を手に入れるのに必要なテメェらでいうところの魔力回復薬くらいでしかねぇからな」
カトレアは思わず、今なお霧を一生懸命払い、もがく二人を見た。
ローゼから何かが落ちる。
それは、昔、学校でいじめられていた少女を助けた時に渡したものだ。
ローゼだったのかと今になって思い出す。
なおさら死なせなたくない、カトレアはザクロに出会ってからの会話を思い出すために頭を捻り続ける。
ふと天啓のように言葉が思い出された、言っていたじゃないか、解決策をザクロ自身が。
カトレアは勢いよくローゼにつかみかかり、身体中を触る。霧がカトレアにまとわりつき始めるがそんなことを気にせず、見つけたのは一冊の本。
それのページをパラパラとめくっていく、何をするのかわかった霧はローゼとヴァイスにまとわっていたものは全てカトレアに向いた。
「聖女ってのはこんなんばっか」
ザクロが手から炎をだし、霧に引火する。不思議なのはその日が燃え移らないことだ。まるで火花のように一瞬で消える。
ザクロは絶対にカトレアを見殺しにすることはできない、そう、ザクロ本人が言っていた。
あれは、ザクロなりの誘導。
カトレアはその間に契約書からザクロに見せてもらったものと似たものを見つけ出し、勢いよく破いた。
「きゃあああああああ」
霧は再び人型を保つが初めて見た時によりは全く恐ろしくない。
奇声をあげて、カトレアの首元に爪が届く前にザクロが用意していた小瓶に吸い込まれた。
「回収完了。あ゛ー、疲れたー」
呑気そうなザクロは小瓶を懐にしまって伸びをした。
本当に終わったと実感し、カトレアは腰が抜けて座り込んだ。
「テメェとの契約も遂行した、じゃあな」
本当にあっけなく、カトレアの言葉も聞かずにザクロは小瓶を抱えて消えた。
「ありがとう、ザクロ」
もう二度と会えない数日の友にカトレアは礼を述べ、気絶したヴァイスたちを起こすために立ち上がった。
あと1話で本人が終わります。
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