16「時は来たれり!!」
後日、ザクロの言った通り、もう一度話がしたいとヴァイスから打診が出た。
ザクロによって、筋力などもつけられた。もともと運動は得意で人目を盗んでは体を動かしていたためそこまで苦ではなかった。むしろ、ザクロの強さは圧倒的で彼をその場から動かすことはできなかったのである。
これでルヴァ男爵令嬢をヤる。
良い意味でも悪い意味でも強かにそして筋肉を付けたカトレアは今なら負ける気がなしないと、王都にある教会に入る。
教会には大精霊様の像が存在する。霊族はその恩恵を直に受け、人間は精霊様たちの気まぐれに乗り、恵を借りている。そのお返しが勇者と言われる大精霊様が選ぶ魔王に立ち向かうために力を与えられた者である。
雑談はさておいて、この教会にいるのは身内、つまり当事者のヴァイスとカトレア、ルヴァ男爵令嬢。その身内の者たちと王家が誇る第1騎士団のみ。
カトレアはすでに到着していたヴァイスとルヴァ男爵令嬢を見る。
何が面白いのか、ルヴァ男爵令嬢の赤い唇は常に口角が上がっており、これから起こることに楽しみで仕方がないようだ。
そしてそれはカトレアとて同じこと。
「きゃあ、ヴァイス様。カトレア様が睨んできます」
甘く媚びる声とその大胆な胸を押し当てる姿にカトレアは内心でうぁあと哀れなものを見る眼をする。
「婚約破棄のための書面はこちらに」
カトレアは今更不貞を見せつけられても何も感じませんと淡々と父の部屋から拝借した正式な書面をヴァイスに見せる。
近くで父が驚いているような気がするが、気に留めないでおく。これもあなた方のためです。
「さあ、ヴァイス様。早く署名いたしましょう?」
ルヴァ男爵令嬢はヴァイスに甘く諭す。
ザクロは言っていた、悪魔から力を借りるには何かの手順が必要だと、今回は声だと。
ルヴァ男爵令嬢の声を聞いた者たち、つまり国王たちは虚な目をして命令を待機する人形のようになった。
カトレアはザクロのおかげでその影響は耳鳴りが少しするくらいであった。
その時、カトレアはヴァイスに違和感を感じた。
あれ?目が虚じゃない。
しっかりと光を宿し、ルヴァ男爵令嬢を軽蔑する目を向けていた。
「そうやって、俺たちを動かしていたのか」
ヴァイスはルヴァ男爵令嬢の腕を掴み、動けなくする。その速さはカトレアでさえも追えない。
呆気に取られるカトレアに対して、ザクロは近くを常に警戒していた。
「チッ、アイツ全くみねぇと思ったら相変わらず、甘いやつだな」
ヴァイスの女を拘束する動き、先ほどから感じる同族の視線。ザクロはその犯人がわかり悪態をつく。




