13「私は要らなかったと思う」
「本当に、なんでこんなことに…」
カトレアとザクロは現在、仮面舞踏会に参加していた。
これを発案したのはザクロだ。
この提案をされた時、当然カトレアは拒否した。
そもそも、社交界というものは苦手、嫌いな方だ。身体を動かす方が性に合っている。絶対にボロが出る。
「堂々としてやがれ、オレは他者の記憶操作なんぞできねぇ。せいぜい、影を薄くさせるくらいだ。強く記憶に残るような行動はするなよ」
ザクロの囁く声が耳に響く。
ザクロは現在は透明な状態でカトレアの方に乗っているらしい。
らしい、というのはカトレアにはその姿が見えないからだ。なんとなく肩が暖かいと感じるくらいで、そこにザクロがいるとは到底思えない。
「それで、その女はどいつだ?」
ザクロに問われ、カトレアは再度会場全体を見回す。
「あの人」
胸元をひらけた派手なドレスを身に纏った女性を指す。カトレアは顔を覚えていないが、口元のほくろや仕草などを明確に覚えていた。
「派手なやつ。オレのタイプじゃねぇな」
ザクロはカトレアの方から降りたのか、首元が少し涼しくなった。
「私はどうしたらいい?」
「知らねぇよ。適当にふらついとけば?」
なんとも投げやりな答えが返ってきた、呼び止める間も無く、ザクロの声が聞こえなくなってしまった。
仕方がないとカトレアはカクテルを持ってバルコニーへと出た。
ザクロはパーティとかは詳しくないです。
仮面舞踏会を知っていたのは、昔仲間と潜入したことがあったから。




