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11 「お客様?」

ぐっすりと眠れてしまった。

今も横で丸まっている子狼は置いておいて、昨日のことがあり、眠れないかと思ったが、意外にも快眠だった。神経が図太いのか。カトレアは自分の未だ知らなかった新たな強みを見つけた。


「起きたか。身支度しといたほうがいいぜ」


ザクロは寝ていると思ったが、片目だけ開けていた。ずっと起きていたのだ。


「おはよう。それってどういう意…」

「お嬢様、お客様です」


カトレアの言葉を遮って、扉のノックが響く。

客?誰か来る予定だったかしら?

婚約破棄宣言をしたばかりだというのに、傷心中?のカトレアを訪ねるのは親しい友人くらいだろう。

カトレアはすぐに支度を頼み、客間に向かったが、もう帰られたと使用人に言われた。

誰だったか聞いても、ご内密にと言われた。としか返ってこない。

カトレアは若干不服さは残るがザクロのいる自室へと戻った。


「客はいいのかよ」


部屋に戻ると、ザクロが隠していた恋愛小説を器用に子狼の姿で読んでいるではないか。

その状態に一瞬、思考を停止したが、一気に頭にまで恥ずかしさがのぼった。


「キャー!!な、何かってに、読んでるのよ!!」


カトレアは急いでザクロから小説を取り上げ、威嚇する。

どうやって取った、この悪魔。

カトレアは巧妙に隠しているつもりだが、ザクロにとっては何かを隠すときの隠し場所は長年の経験からすぐに見当がつくタイプだ。ありきたりな隠し方ではザクロにはすぐにバレるのだ。


「人間のつくる物語はやっぱ、面白れぇな」


ニヤニヤとカトレアを見るザクロ。

1人にさせておくべきではなかった。

カトレアは今すぐ、この悪魔の頭を叩いて記憶を消させたいほどの激情に襲われている。


「じゃ、作戦会議すんぞ」


何事もなかったかのように言うザクロ。

カトレアは渋々、本をザクロから遠い場所に置いた。


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