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神ゲーしようと思ったらクソピーキー性能のチート詰め合わせの初期特典に当選したので悪役に徹することにする  作者: セクシー大根教教区長ミニ丸語
Chapter11 彼岸より愛を込めて狂暴を 痶-下-

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No.559 “ガチ”

あけおめ

ことよろ



「あっち叩かないとダメなパターンか」


 しかしそれでも手が足りない。次々と大鍋から金騎士が湧いてくる。  

 それには直ぐにVM$も気づくが、横から聞こえた声で自分が動かなくていいと判断する。


 皆の攻撃が間に合わず凍結が解けそうな金騎士達には目の前に死霊を召喚させて攻撃させ反撃のタイミングを潰し、同時に鍋本体にはメギド、レクイエム、ザバニヤを向かわせ破壊を指示―――――――をしながら更にマントを刃の様に固定化して攻撃するという予想外の反撃を金騎士から受けた近接勢には回復魔法を飛ばし。自分自身や他後衛職を狙う金騎士はティアに結界魔法で吹っ飛ばすよう指示して時間を稼ぐ。


 頭の回転の速さ、特に1ターンの中で同時に使ってくる手札の数の多さにはVM$もプロゲーマーとしてその異常さに直ぐに気づいたが、知れば知るほどメカニズムが理解不能だった。

 VM$の判断能力は思考の回転速度もそうだが、並外れた反射神経でいち早く情報を処理しているからこそ可能と言える技術でもある。

 そうでないとしたら、この男の技術はどんな手品で実現しているのか。

 

 特に疲れた様子もなく、涼しい顔で全体支援を続けるこの男。

 その瞳にはどんな世界が見えているのか。

 本当に惜しい。これで反射神経と運動神経が揃っていたら、どんな手を使ってでも自分と同じ世界に引き込んだのに、プロゲーマーとしてそう思わざるを得ない強さ。

 

「(こら思ったよりアカンなぁ……)」


 恋愛経験豊富で、人一倍本音を隠すことに長けていて、自分よりも遥かに動揺していたメンバーがいるから直ぐに冷静になれたが、先ほど見せられた幻影で何も思わないわけがない。

 

 いいな、とは思っていた。

 特にアジア系の顔立ちが好みだとは思ったことは無いが、それはそれとして種別が違えど整っているかそうでないかと判断する事は出来るし、その点で言えば整っている方だと思う。ただ、初対面では顔すら分かっていなかった。その状態でも好きなタイプだとは思えたのだから、内面に惹かれたのだろう。

 ただ、人の男にちょっかいをかけたら不味い事は身をもって学んでいる為、本気で踏み込む気はなかった。


 トルコはイスラム教が根強い地域であり、かと言って女性が必ずスカーフを着用したり酒の一切を禁止されているほど“ガチ”でもない。イスラム教で有名な断食もケバプの様な世代の人はする事もあるが、VM$のような若い世代ほど真面目にやらない傾向が強くなってきている。

 それはどの国の若い世代にも言える事。倫理観のベースに宗教があるにはあるが、その行事において負担の大きい事はどんどん無視されていく。VRとリアルタイム翻訳によって若い世代ほど別の文化圏の人々と積極的に交流し、価値観はアップデートされ、人はより楽な方へ流れていく。


 その点において、VM$は若い世代の中でも特に宗教的なアレコレを軽視しているタイプの人間と言えた。

 トルコのイスラム教は政教分離もしておりリベラルな方ではあるが、貞操観念に関してはイスラム教的価値観が強い。

 特に女性には貞淑さが求められるし、日本の様に家族とは関係なく完全に自由に交際するようにはならない。交際と結婚の概念の距離感が近いし、誰かと交際するなら家族にも知らせる方が割と普通だ。勿論若い世代ほどもうこんなこと気にしない傾向があるが、それでも日本よりかはまだ交際に対する価値観は重めだ。

 

 その点において、VM$はトルコ基準で言えば結構なヤンキー寄り、もっと言葉を悪くするならビッチと言う評価を下される。

 色んな男とも遊んできたし、それを一切家族に共有した事もない。嫌いな家族がイスラム教に熱心なタイプだったので、反抗心からより逆方向に舵を切っていた。かなり早い段階からVRを通して異国の若い世代とも交流していたので価値観も欧米寄りだ。

 トルコは日本のように告白から交際にスタートする文化圏ではない。なので幾度もデートをしていたり普段からの態度で交際しているかを判断される部分があるが、VM$の場合は並行して複数の男性と近い距離感でいる事が珍しくなかった。かと言って、ちゃんと真剣交際をしていたかと言えばそうでもない。


 プロゲーマーになってからは事務所から軽率な交際はイメージダウンに繋がるから、と警告を受け、学生時代にしていたそんな振舞こそやめたが、やめて5年も経ってない立ち振る舞いをいきなり捨てるのは難しい。


 だからこそ、ALLFOにおいて初期限定特典に当選し、男性と物理的に交流を断てる状態になった事は結果的に見ればVM$にとって良い事だった。友人の多いVM$は当然の様にALLFOを始めた時に色んな男性から一緒に遊ばないかと誘われた。だが、初期限定特典という名前こそ出さなかったが明確に一緒に遊びにくい理由がある為精神的に断りやすかった。


 それでもソロに限界がきて同じく初期限定特典に当選していたケバプと交流を共にするようになったが、異性とはいえど約70才も離れた相手では恋愛沙汰にはなりようがない。


 だが、プロゲーマーとして偵察依頼を受けて潜り込み、久しぶりに好みだなと思った男性とどんな偶然かALLFOで再会を果たし、行動を共にするようになった。

 しかし、その男の交際関係はアバズレだと他の女性から吐き捨てられることもあったVM$をして想像もしていなかったレベルだった。2人、ましてや3人同時なんてかなり大変なのに、3人どころではなかった。なによりそれを女性陣側が承諾しているのがVM$には考えられない事だった。


 だから、近づく気はなかった。

 そのつもりがなくてもちょっと他の女の男と仲良くすると大変な事になる事は身をもって学んでいたから。

 かといって無駄に他人行儀にするのもキャラではないので、ネタで流しても貰える距離感にしたのに。

 こうしてゲームから客観的に示されると、自覚を促されているようで。

 

 今まで付き合ってきたどんな男とも違う。

 振り回すことはあれど振り回されたことのないVM$にとって、ここまでイニシアティブを握りにくい同年代の男性は初めてだった。

 ことゲームという最大の得意分野において、ここまで人に頼るという経験が新鮮だった。

 

 強引なようで内心を察してフォローをしてくれて、自分の立ち位置がアサイラムでは不安定な事を理解していて自分の立ち振る舞いにも上手く合わせてくれている。ちょっとしたイタズラも面白がってくれて、揶揄っても変に臍を曲げたりすることもなく。特に知恵比べで楽しそうに競ってくれる存在は初めてだった。


 そんな立ち振る舞いを見て、いつしか少しシンパシーの様な物も感じていた。

 考え方や戦略の立て方、何を面白く感じて、どんな風に戦うか。そして、異性との接し方も。

 観察していて思ったが、ノートはナチュラルに距離感が近い。それはツナの人懐っこくて無邪気な距離感とは違うし、JKのように仲良くなるための才能に優れた者が可能とする自然な距離感とも違う。きちんと全て計算した上での近さ。相手に不快感を与えない絶妙な距離感だ。

 アサイラムの中の一番堅物なエロマ相手ですら、額を指で突いても睨まれない程度には距離が近づいているのだからVM$としては感心していいのか呆れていいのか迷うところだ。


 ただのボディータッチでもハードルは低くないのに、顔周りを異性に触らせるのは本能的に忌避感が高いものだ。そのハードルを半年もたっていない交流期間で超えている。ビッチと呼ばれていた自分を棚に上げて、VM$をしてもアレは本当に質の悪い男だとノートを見ていた。むしろ似たことができるVM$だからこそ、他の女性たちよりもノートの悪辣さに敏感だった。


 頭の冷静な部分では、近づいてはいけない男だと十分に理解している。

 だから軽い遊びの範疇にしたかったのに、幻影として表れて、口説かれて、初心な生娘なみたいに嬉しくなってしまったから。言葉の内容そのものは他の男からも聞いたことのある特に捻った物でもなかったのに、それで喜んでしまったのだから余計に悪い。ゲーマーとして直ぐにトラップだと直感したのにも関わらず、咄嗟に攻撃を躊躇ってしまう程度には、悪い。


「(ほんまにままなれへもんやな~………。いらんことをしてくれて。恨むでALLFO)」  


 知らんぷりしていた方が楽だったのに。

 余計な事を自覚させてきたALLFOに対する怒りを込めて、VM$は再度番えた短槍を金騎士たちに向けて放った。



 



 

ざくざくアクターズっていう

私的にフリゲーの中でも頂点に位置するボリュームとクオリティのゲームがあってですね

今2周目を楽しくやってるので探さないでください


みんなもざくアクやろーぜ(マジで無料なのよ)

実は私の神地雷シリーズ全体に関わる考え方に結構大きな影響を与えたゲームの一つなのよ

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― 新着の感想 ―
作者さんの推してるシャンフロもクノンも読んでました! ザクザクアクターもめっちゃおもしろいですよね! 作者様ののこちらの作品先週から読み始め楽しくて最新話まで一気によんでしましました! この作品に出…
2026/03/28 11:30 こたつドラゴン
読み返してたらNo.4の時点でヤバイ魔法披露してて草。これだからバルバリッチャさんはさぁ……! 弱体化してる状態で使えていい魔法じゃないんだよなぁ!? しかもそれで手に入れたアイテムだよ……! 狙って…
絶妙な距離感と忌避感がこないギリギリの境界の見極めが上手すぎる。これまでも何度も描写されてるけど視えてる世界と捉えてる情報の範囲と密度と精度が高次元すぎる。トン2が感性そのままに出力されるとするならノ…
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